通級担当がぶつかる壁②【子どもへの指導の難しさと乗り越え方】|通級ラボ

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こんにちは。

通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です。

今回のテーマはこれです。

通級での指導の難しさと、その乗り越え方について

あなたは、個別指導をしていますか? ペアや小集団指導がメインですか?

いずれにせよ、「指導って難しい…」と感じたことがあるはずです。

もしないならこのブログは読んでいないし、そもそもちょっと危ない気もします(笑)

本記事を読むことで、

通級での指導の難しさとは何か。そして、どのように乗り越えていけばいいのか

が分かります。

通級担当として一番重要なのが「指導する力」。

まずは、その難しさについて知りましょう。

通級での指導はなぜ難しい?【学級担任との違い】

通級での指導はなぜ難しいのか? いくつか挙げてみましょう。

  • 教科書がないから
  • 完全にオーダーメイドだから
  • 指導の効果が見えにくいし、見えたとしても時間がかかるから
  • 「45分間1対1」という特殊な状況で、間がもたないから
  • 教材がたくさんあっても、その子に合わせた活用・指導方法が分からないから
  • クラスで特に変化がないから=汎化しにくいから など

どうですか? どれかに当てはまりますか? 全部当てはまるって人もいるかもしれませんね(笑)

これらの難しさは、個別指導であってもペア・小集団指導であっても同じです。

担任は教科書を使って指導をしますね。その時の頭の中はおそらく、

  • 明日の国語、どこをするんやったっけ?
  • 教科書何ページやったかな。見てみよう。
  • あぁ、〇〇ってやつやな。
  • 指導書も見てみるか。
  • さっ、どうやって教えようかなぁ。

こんな感じじゃないでしょうか。つまり、何が言いたいのかというと、

担任は「何を教えるか」で悩む必要がなく、「どう教えるか」だけ考えれば良い。

ということです。

この是非を言ってるわけではないですよ。小学校の担任は特に忙しいですから、教科書を上手に教えるスキルは必須です。良いとか悪いとかの話をしているのではありません。

では、通級担当はどうか? 通級担当は、

何を教えるか」も「どう教えるかも、どちらも考えないといけない。

ここが難しいんです!!

もう一度言いますね。ここが難しいんです!!

担任歴が長ければ長いほど「どう教えるか」スキルは長けています。でも、「何を教えるか」スキルはほぼ皆無でしょう。だって、教科書を見たらいいんだから。

通級での指導の難しさは「どう教えるか」だけでなく、そもそも「何を教えるか」まで考えないといけないことです。

通級指導の難しさを乗り越える方法①【目的を明確にする】

何を教えるのか? これを考えるのは本当に難しいし、しんどいです。

そんな時は、自分に対してこんな風に問いかけてみましょう。

(小学校において)通級で指導する目的ってなんだろう?」

こう問われて、あなたはすぐに答えられますか? すぐにではなくても、何かしら答えられますか?

文科省的な回答としては、

障害のある児童生徒が自立を目指し、学習上または生活上の困難を主体的に改善・克服すること

になりますね。でも、これを知りたいわけではないですよね(笑)?

通級で指導する目的。私はこのように答えます。

その子がクラスで力を発揮するため

そのための指導を、わざわざ通級で・45分間・特化して行うわけです。

通級で指導する目的は、その子がクラスで力を発揮するためです。

と明確に答えることができれば、次はこんな問いが生まれてくるでしょう。

この指導をすることで、クラスでこの子にどんな変化が出る?

現在、通級で指導している子を一人思い浮かべてください。

そして、その子にやっている指導を一つ思い浮かべてください。

思い浮かべましたか?

では聞きますよ。

「その指導をすることで、クラスでその子にどんな変化が出ますか?」

どうですか、すぐに答えられますか? 明確に答えられますか?

私は、言葉がなかなか出てこず質問されてもすぐに答えられない子を思い浮かべました。

その子の指導について、私だったらこのように答えます(※あくまで一例です)。

  • この指導は、語彙を増やすことでクラスで教科書を読んで理解につなげたり、先生の話を聞いて内容を理解したり、自分の言葉で説明したりするために行っています。

通級の目的はクラスで力を発揮するためであり、そのための指導を通級で行う。

通級で指導する目的が明確になることで、あなたの指導に一本芯ができますよ。

通級指導の難しさを乗り越える方法②【45分間をパーツに分けて組み立てる】

では、具体的にどうすればいいのか。

私がやっているのは、

45分間を、5〜10分間のパーツに区切って構成する・組み立てる

ことです。

この説明で「意味が分からない」「どういうこと?」などと思ったあなたは、ぜひ取り入れてください。指導の難しさがぐっと減りますよ。

具体的に説明しますね。

知能検査などの心理検査結果はないと仮定し、担任からこんな話が出てきたとしましょう。

  • 話を集中して聞けない
  • 字が汚い。丁寧に書こうとすると時間がかかる
  • 姿勢も悪い

あなたが指導している子の中にもきっといると思います。こういう子。

では、これだけの情報からパーツで構成するとはどういうことか? それは、こんな風に考えるということです。

  • 話を集中して聞けない
    • ①聞き続けるという経験をしたことがないのかもしれない。注意を持続させたり内容を記憶したりする指導をしてみよう
  • 字が汚い。丁寧に書こうとすると時間がかかる
    • ②そもそも見たい物を正確に見れていないかもしれない。眼球運動のトレーニングをしてみよう
    • ③形を正確に捉えられていないかもしれない。点つなぎなどの指導をしてみよう
    • ④字が汚いのは手先に不器用さがあるのかもしれない。手先の器用さを高める運動や運筆の力を高める指導をしてみよう
  • 姿勢が悪い
    • ⑤座るための筋力がそもそもないのかもしれない。座位保持につながる運動の指導をしてみよう
    • ⑥もしかしたらバランス感覚が育っていないのかもしれない。粗大運動の力を高める指導をしてみよう

こう考えると、45分間を6つの指導・パーツで構成することになります。

例えばになりますが、1つの指導・パーツを7分程度で行ったとしたら、7分間×6パーツ=42分間。あっという間に45分間が終わってしまいます。

もちろん、5分間×6パーツ=30分間でもいいんですよ。残った時間は「思ったよりも運動面の課題が大きそうだな。よし、運動の指導をさらに細かく区切って”運動①”と”運動②”に分けてみよう。運動①では座位への指導をして、運動②では粗大運動の指導をしてみよう」なんてこともできます。

その子の困難さや指導の優先順位に合わせて、45分間を自由にカスタマイズしていくわけですね。

どうです? 45分間を5〜10分間のパーツに区切って構成する・組み立てる、の意味が少しは伝わったでしょうか?

この方法は、あなたにとってメリットが大きいだけでなく、子ども達にもメリットがあります。それは、

短時間で次々に新しい課題に取り組むので、集中力を維持しやすい

ということです。

子どもにしてみたら、どんどん課題に取り組み続けているうちに45分間が終わり、それを数ヶ月間続けていたら力が伸び、クラスで学習・生活しやすくなる、となるわけです。

あなたにも、子どもにもメリットがある方法「45分間を、5〜10分間のパーツに区切って構成する・組み立てる」、ぜひ採り入れてみてください。

まとめ

今回は「壁②:子どもへの個別指導」について書きました。

通級での指導は教科書がなく、すべてをオーダーメイドで考えなければならないため、本当に難しい。考えるのが苦しい。しんどいです。

でも、目的をはっきりさせて芯を持つこと、45分間を短いパーツに分けて構成すること─この2つを意識するだけで、指導はぐっとやりやすくなります。

大切なのは「通級の目的は、子どもがクラスで力を発揮できるようにすること」。この視点を忘れずに積み重ねていけば、必ず変化が見えてきます。

その変化が数ヶ月なのか、1年なのか、2年なのかは、誰にも分かりません。でも、2つを意識していれば「クラスで全然変化が見られない…」なんてことは絶対ありません。絶対、です。

小さな変化かもしれないけれど、必ずクラスで変化は出ます。たとえそれが担任にとっては小さな変化でも、子どもにとっては大きな一歩です。

悩んでいるのはあなただけではありません。大丈夫。

一緒に頑張っていきましょう。

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