こんにちは。
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です。
今回のテーマはこれです。
通級担当の役割は何か?
本記事を読むことで、
通級担当って何をすればいいのか。どう振る舞えばいいのか。そのために必要なマインドとは何か
が分かります。
通級担当として頑張っているあなた。
あなたの悩みは、決してあなた一人だけの悩みじゃないですよ。
きっと乗り越えられるから、大丈夫。
通級担当の役割とは?「4つの役割」と最重要の個別指導
通級担当の役割は、4つです。
- ①障害のある児童生徒に対する教育に関すること
- ②障害のある児童生徒の保護者からの相談に応じ、助言・援助を行うこと
- ③地域の障害のある児童生徒の実態把握を行うことと同時に、該当児童生徒の学級担任への適切な援助や助言を行うこと
- ④障害のある児童生徒の理解の推進に関すること
- (『障害に応じた通級による指導の手引 改訂第3版』文科省,2018)
・・・・・・・・・はい。読む気になりませんね(笑)
だから、もうちょっと簡単に書いてみますね。
- ①個別指導(※ペア指導、小集団指導も含みます)
- ②保護者支援(※保護者対応ではありません)
- ③担任などへのコンサルテーション
- ④職員や保護者への理解啓発
・・・・・・・・・はい。これでもまだ分かりにくいかもしれませんね(笑)
思い切って、現場的な言葉にしてみましょう!
- ①通級に来る子への指導が大事やで
- ②保護者も悩んでるから、相談のったげや
- ③担任は困ってることが多いで。愚痴もあるし。聴いたげて、一緒に考えていこう
- ④できるんやったら、他の先生や保護者に通級のことを広めていこな
え〜、こんな感じでしょうか(笑)
めっちゃ関西弁ですが、伝わりますか?
中でも一番大切な役割は何か。それはなんといっても
①通級に来る子への指導
です。
ここは絶対に揺らぎません。
というか、通級での指導こそが通級担当の「核」の役割です。
②〜④の役割はもちろん大切ですが、①だけは絶対にブレてはいけません。
ここがブレると「あの先生、一体何をやってるんだろう?」、「いろいろと手伝ってくれるのはありがたいけど、通級の先生って結局便利屋さんか」、「大変な子を良くしてくれるって聞いたけど…全然そんなことないやん」と周りに思われてしまうでしょう。
4つの役割は全て意識しつつ、通級に来る子への指導を一番大切にする。
これが、通級担当の役割です。
通級担当の振る舞い:主役ではなく黒子として担任と子どもを支える
担任をしていると、学校生活のあらゆる場面で意見や判断を求められます。
- 保護者から電話があって対応する時
- 欠席者へ連絡する時
- 一日のスケジュールや授業内容を決める時
- 専科の先生が突然お休みになって、何をするか考えないといけない時
- 子ども達から質問されて答えないといけない時
- 放課後、学年やブロックで行事の準備等について検討する時 など
何が言いたいか? それは、
担任の先生は、(良くも悪くも)学校生活において主役である
ということです。
異論があるかもしれません。
けれど、これは現場の事実です。
学級における最終決定権は担任が持っています。
学級の子に何かあったとしたら対応するのは担任です。
通級担当ではありません(※担任が不在で、急遽他の先生が対応せざるを得ない時などは省きます)。
このような現場理論で5年、10年、20年と働くと知らず知らずのうちに傲慢なマインドが育っていってしまいます。
傲慢マインドは、通級担当になる人にとって不要です。
なぜか?
通級担当は、黒子だから。どこまでいっても、黒子だから。
通級担当は主役じゃないんです。
主役じゃなくていいんです。
むしろ主役だと、結果的に通級に来ている子ども達に不利益となります。
どうしてかと言うと、
- 通級に来ている子ども達が学校で一番長い時間を過ごすのは学級であり、
- 学級をとりまとめているのは担任なので、
- 子ども達と担任の関係性や学級のルールなどを理解し尊重したうえで、
- 通級において指導する必要がある
からです。
通級担当が「私は〇〇が大事だと思うから、この指導をしているんです!」、「〇〇先生のクラスではこのルールが徹底されていないから、私が△△さんに指導しておきました」なーんてことを良かれと思ってやってしまったとしましょう。
担任の先生が、通級担当であるあなたを信頼してくれますかね?
あなたが担任の立場だとして、こんな風に言われたらどうですか?
………はい、ムカつきますね(笑)
通級担当は主役ではない。黒子として振る舞う。
だから、時には担任をたてて、ねぎらう。
時には担任の愚痴や悩みを聴く。
時には「こんな支援グッズがあるみたいだよ」と紹介する。
主役として話すのではなく、あくまでも黒子として行動する。
これが、通級担当として大切な振る舞いです。
通級担当に必要な大切な心得:”課題の分離”でメンタルを守る
黒子として振る舞う。
それによって、担任や関係者との関係性が良くなるとは思います。
でも、困ったことも出てくるんです。それは、
通級の子の話や支援に関する話を聴き続けていると、自分のメンタルがしんどくなる
ということです。
担任が学級でいろいろな関わり・支援をしても上手くいかない。
だから、通級担当に愚痴や悩みを言うわけです。
で、悩みを相談されるとあなたとしては「上手く答えないといけない」「解決策を示してあげないといけない」となってしまうんです。
でも当然ながら、毎回毎回「これが正解だ!」という案を示せるわけではないです。
そもそも、正解の支援なんてないですからね。
加えて、担任が「通級に行ってる〇〇さんが今日さ、こういうことしてさ」などと愚痴を言ってくれたとします。
すると、あなたとしては「私は一生懸命指導しているのに…なんか、私が責められているような気分だな…」となってしまうんです。
こんな経験ありませんか?
いや、あるはずです。
それも、何回も。
こういう経験が日々ずーっと積み重なり、「なんか通級担当ってしんどいな…」となり、1年・2年で辞めて担任を戻る。
なんてケースが全国で起きているのかなって個人的に考えています。
通級担当ってめちゃめちゃ楽しいのに。
その楽しさに気付き、経験する前にやめちゃってる先生はもったいないなぁって。
でも、自分のメンタルがしんどくなるのは事実。
じゃあ、どうするのか? それは、
”課題の分離”をし、他者の課題への介入をしない
ということです。
いきなり”課題の分離”という難しい用語を出してすみません。
これは、『嫌われる勇気』に出てくる言葉です。
私はこの本を読み、”課題の分離”という考え方を知れたことでメンタルを守ることにつながったんです。
では、”課題の分離”とはどのような考え方なのか? 以下に引用します。
課題の分離の考え方では、自分と他者の課題とを明確に区別し、その結末を最終的に引き受けるのは「自分」であると認識することが重要です。これは、自分がコントロールできない他者の課題に踏み込まず、自分の課題にのみ集中することで、対人関係のトラブルを回避し、他者の評価を気にせず、自分らしい生き方を貫くための考え方です。
ちょっとややこしいですよね。
どういうことなのか?
- 担任が悩んでいる内容は、最終的には誰の課題(※タスクや責任と言い換えてもいいと思います)なのか?
- 担任が愚痴っている内容は、最終的には誰の課題なのか?
- 通級で指導している時は自分の課題だが、学級では誰の課題なのか?
これらを考え、通級担当である自分と担任であるその先生との課題を、明確に区別するということです。
担任の悩みは愚痴は傾聴する。
共感もする。
時には笑い合う。
支援の紹介をすることもある。
なんだけど、最終的には全て「担任の課題(責任)である」と考えるのです。
えぇっ!? 関係がドライすぎない!?
と感じるかもしれません。
うん、確かにドライかもしれない。
私もしばらくそう思っていたし、慣れるまで時間がかかりました。
でも、考えてみてください。
- 通級担当であるあなたは、いろいろな担任の悩みに全て答えられますか?
- 学級で授業や支援をするのはあなたですか?
- 担任のように、登校してから下校までその子に関われますか?
答えは、全て「ノー」です。
だからこそ通級担当であるあなたは、
通級担当にしかできないこと=自分の課題と、担任にしかできないこと=他者の課題、を明確に切り分けて考え、行動することが大切なんです。
この「課題分離マインド」を身につける努力を続けて、実際に見につけられると通級担当として働き続けることがすごく楽になりますよ。
まとめ
今回は、通級担当がぶつかる壁①:「役割」「振る舞い」「心得」について書きました。
通級担当には4つの役割がありますが、核となるのはやはり子どもへの個別指導です。
何度も言いますが、通級担当は子どもへの個別指導が最も大事!
ここは絶対にブレてはいけません。
その指導を支えるために、担任を立て、黒子として振る舞うことが大切。
そしてしんどくなりがちな自分のメンタルを守るためには、「課題の分離」の考え方がとても有効です。
通級担当は、担任の悩みや愚痴や上手くいかないことが集まりやすい役割。
そりゃしんどいですよ。
迷いや葛藤は日々生じます。
でも大丈夫、あなたもきっと乗り越えられます。
良ければ今回の内容を参考にしてみてください。
一緒に頑張っていきましょう。
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