WISC:VSIの「積木模様」が低い子への通級指導|書字を支える具体的アプローチ【VSI編②】

WISC:VSIの「積木模様」が低い子への通級指導|書字を支える具体的アプローチ【VSI編②】 WISCを活かした指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

前回の記事(VSI編①)では、VSI(視空間)の基本的な考え方をお話しました。
今回はその続き。
VSI(視空間)に含まれる2つの下位検査のうちの1つ、「積木模様」が低い子への通級指導についてお話します。

「積木模様が低いってことは所見を読んで何となく分かるけど…だから何をすればいいの…???」
って思ってるあなた笑
大丈夫。
この記事を読むことで、

「積木模様」が低い子に、通級でどんな指導をすればいいのか?

が分かります。

結論から言うと、「積木模様」で測られている力は、”書字を支える力”
ここが低い子は、漢字や文字を書くことに苦しさを抱えやすいです。
この記事では、積木模様の弱さが学級でどう現れるのか、指導前に何を確認するのか、通級でどう指導を組み立てるのかを解説します。
(オススメ教材の詳細はVSI編③をご覧ください)

「積木模様」を一言で言うなら、

見本の形を分解して、再現する力

です。

検査では、見本の模様を見て、同じ模様を積木で作る…という内容なんですが、私たち通級担当にとって大事なのは検査の中身ではありません。
(※検査の実施や解釈は心理士さんの専門領域。私たちは教員ですからね)
大事なのは、

この力が、学校生活の何を支えているのか?

です。

私の答えはシンプルで、

書字する力

です。

文字を書くって、よく考えるとすごいことをしてるんですよ。
お手本の字を見て、線や点の組み合わせに分解して、それを正しい位置関係でマスの中に再現する。
…これ、積木模様でやってることと同じじゃないですか?
「積木模様」が低い=形を分解して再現することが苦手=書字に困りが出やすい、というわけです☝️

「パズル」との違いは?

「あれ?VSI(視空間)にはもう1つ『パズル』ってのがあったよね?何が違うの?」
と思ったあなた、鋭い‼️

ざっくり言うと、

  • 積木模様:形を分解して、再現する力(手を動かして作る)
  • パズル:断片から全体を補う力(頭の中で完成形をイメージする)

どちらも視空間の力ですが、アプローチは微妙に違います。
積木模様が低い子には書字を中心とした「再現する」指導、パズルが低い子には「イメージして補う」指導。
この違いを意識するだけで、指導の精度がグッと上がりますよ😁
(パズルが低い子への指導は【VSI編④】VSI編⑤で解説しています)

積木模様の弱さは、学級ではこんな「書字の困り」として現れます。

  • 線が一本多かったり、偏(へん)と旁(つくり)が入れ替わったりする漢字を書く
  • 傾きが大きかったり、マスからはみ出したりする字を書く
  • 高学年になっても、カタカナを素早く正確に書けない
  • 漢字50問テストの点数が極端に低い

最後の50問テスト、どのくらい低いかというと…
低学年で50点以下、中学年で30点以下、高学年だと1ケタ台、といったケースもあるくらいです。
「えっ、そんなに!?」と思うかもしれませんが、あるんです。実際に。
私はこんな子たちにたくさん出会ってきました。

担任の先生からすると「練習が足りない」「やる気がない」と見えてしまいがち。
でも、違うんですよ。
形を分解して再現する力が弱いから、人一倍練習しても定着しにくい
ここを理解しているかどうかで、その子への関わりが180度変わります。

「よし、積木模様が低いのか。じゃあ点つなぎやらせよう!」
…ちょっと待て笑
単純すぎる笑
数値だけ見て指導を始めるのはオススメしません。
私が指導前に必ずやることは、この3つです。

①学級担任と話す

まずはこれ。
担任が何に困っているのかを聞きます。
通級での指導の目的は「学級適応」。
だったら、学級で何が起きているかを知らないと始まらないですよね。

②成果物を継続して見せてもらう

担任の困りに対応して、ノート・プリント・テスト・連絡帳などの成果物(またはコピー)を継続して見せてもらいます。
ポイントは「継続して」です。
1枚だけ見ても、たまたまかもしれない。
継続して見ると、その子の「間違いのパターン」が見えてきます。
線が多いのか?
配置が崩れるのか?
マスに収まらないのか?
このパターンが、指導の中身を決めてくれます。

③本人の行動観察をする

可能であれば、いろいろな教科で行動観察をします。
特に見るのは、本人が字を書く様子・ノートテイクの様子
出来上がった字(結果)だけでなく、書いている過程を見ると、「あ、書き順がぐちゃぐちゃだ」「黒板とノートを何往復もしてる」など、困りの中身がさらに具体的になります。

アセスメントができたら、いよいよ指導です。

何から始める?→「点つなぎ」一択

私の場合、積木模様が低い子への指導は「点つなぎ」から始めます。
(教材の詳細はVSI編③で紹介しています)

そして、ここが一番大事なポイント。

その子の実態よりも低い難易度から始める

なぜか?
その子が「簡単簡単!」と主体的に課題に取り組めるからです。

「ちょっと難しいくらいがちょうどいいんじゃないの?」と思うかもしれません。
でも、考えてみてください。
積木模様が低い子は、学級で毎日のように「書けない」「間違える」を経験しています。
そんな子に、通級でまで「ちょっと難しい課題」をやらせますか?
通級では「できる!」「簡単!」から始めて、主体性を引き出す。
これはVCI(言語理解)編でもお話した、私の指導の軸です。

時間は3〜5分でOK

1回の指導の中で、点つなぎに充てる時間は3〜5分くらいです。
「えっ、そんなに短くていいの?」
いいんです。
この種の課題は、長時間やらせるものではありません。
短く、テンポよく、「できた!」で終わる。
…正直に言うと、何分がベストかは「その子による」が答えで、正解はないんですけどね笑
目安として3〜5分、と考えてもらえれば。

「書くコツ」を3つ教える

点つなぎと並行して、書字のコツを明示的に教えます。
私が教えるのは、この3つ。

  • 左→右
  • 上→下
  • 一筆書きしない

積木模様が低い子は、このコツを教える前は規則性なく写すんです。
右から書いたり、下から書いたり、思いついた線から書いたり。
線の交差や形の重なりも意識せずに写すので、線が増えたり減ったりする。
あと、斜線の捉えが特に難しいです。

だから、「①左から右、②上から下、③一筆書きしない」という規則を先に与えてあげる
たったこれだけで、書き方が変わってくる子は多いですよ☝️

声かけはこれ

指導中の声かけは、こんな感じです。

  • 「すご〜!」
  • 「これもできるかな???」
  • 「こんなこともできるんか〜!」
  • 「用意していたプリント、もうなくなってもたわ〜」
  • 「賢いね〜」

ポイントは、「できる!」の流れを切らさないこと。
「用意していたプリント、もうなくなってもたわ〜」ってのせてあげると、子どもはニヤニヤです笑

「やりたくない」って言われたら?

…実は、私はこれまでの指導で「やりたくない」と言われた経験がないんです。
真面目に。
児童1人あたり年間約35回指導(※週2回の子もいるから、実際はもっと多い)✕述べ250人以上=おそらく約10000回
約10000回くらい指導してきて、子どもから「やりたくない」「楽しくない」と言われたことは、本当に一度もないです。
自慢じゃなくて。
何を伝えたいか?

難易度設定が機能している証拠、だと思っています。
「実態より低い難易度から始める」が正しくできていれば、拒否は起きにくい。

もし「やりたくない」が起きたとしたら、
「やりたくないよね〜めんどくさいもんね〜分かる分かる。ここだけ書いてみたら?」
と、共感+スモールステップで返すと思います。
「できない」と言われたら、
「〇〇さんが賢いのは先生もう分かったよ。だからできるよ。やってみよう」
ですね。

通級での指導の効果を最大化するには、担任・保護者との連携が超重要。
でも「視空間が低くて…」なんて説明しても伝わりません笑
私はこう伝えています。

説明するとき:実物を見せる

  • 間違えている字を示して、「(積木模様の弱さは)こういう間違いにつながるんですよ」と説明する

変化を伝えるとき:成果物の変化を一緒に確認する

  • 「バランスよく書字できることが増えてきましたよ」
  • 「マスや行に収めて書けるようになってきています。例えば連絡帳の字、バランス良くなってきてますよね?」
  • 「漢字の宿題の直し、4月よりも減ってきてませんか?」

ポイントは、抽象的な検査用語ではなく、実物(字・ノート・宿題)で語ること。
担任も保護者も、毎日その子の字を見ています。
だから実物ベースの説明は「あ、たしかに!」と腑に落ちやすいんです。

Q. WISCの「積木模様」が低い子は、どんなことに困りますか?

形を分解して再現する力が弱いため、書字の困りが出やすいです。
線が一本多い漢字を書く、偏と旁が入れ替わる、マスからはみ出す、高学年になってもカタカナを素早く書けない、などの形で現れます。

Q. 積木模様が低い子への通級指導は何から始めればいいですか?

点つなぎの教材を、その子の実態よりも低い難易度から始めるのがオススメです。
「簡単簡単!」と主体的に取り組める状態を作ることが、指導を軌道に乗せる一番のポイントです。
あわせて「左→右、上→下、一筆書きしない」という書くコツを明示的に教えます。

Q. 「積木模様」と「パズル」はどう違いますか?

どちらもVSI(視空間)の下位検査ですが、積木模様は「形を分解して再現する力」(書字につながる)、パズルは「断片から全体を補う力」(図形のイメージや読み取りにつながる)です。
どちらが低いかによって、通級でのアプローチが変わります。

今回は、VSI(視空間)の「積木模様」が低い子への通級指導の考え方をお話しました。

積木模様が低い=書字を支える力が弱い
だから、漢字の間違いやマスからのはみ出しといった「書きの困り」として学級に現れます。

指導の流れは、
担任と話す→成果物を継続して見る→行動観察→点つなぎを実態より低い難易度から→書くコツ3つ→「できる!」の声かけ。

そして、変化は実物(連絡帳の字・宿題の直しの数)で担任・保護者と共有する。

具体的にどんな教材を使えばいいのか?
それは次の記事(VSI編③)で、オススメ教材を2つ紹介しています‼️

大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊

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