通級の「手の運動」指導|巧緻性・運筆・道具操作の3本柱【実際の指導編⑥】

実際の指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

少し前にも書いたんですけど…
最近、通級ラボの記事を書くのがすごい楽しいんですよ笑
休日は、超インドア生活がここ最近続いてて🤣
書いてて楽しいのは自分にとってすごくいいことなんだけど、肝心なのは記事内容が通級担当であるあなたのためになっているか、ということ。
ここはブレずに、今日も書きます。

実際の指導編ので「目」、で「体」を扱いました。
今回は「手」✋️
テーマは「手の運動」です。
目→体→手。
土台を育てる指導、これで一通り揃います。

あなたが指導している子の中に、こんな子はいませんか?
学習の場面で…

  • 筆圧が強すぎて芯が折れる/薄すぎて読めない
  • 消しゴムでうまく消せない・紙がぐしゃっとなる・破れる
  • 字を書くとすぐ手が疲れて、途中でやめてしまう
  • 乱雑で読みにくい字を書く
  • 頑張って切ろうとしても、はさみがギザギザになる
  • 定規で線を引くと、ずれる・定規が動く
  • リコーダーの穴を押さえられない

生活の場面で…

  • 給食でお玉を上手に使えない(手首を返せず、身体全体が動く)
  • 体操服や水着の着替えが遅い
  • 雑巾をうまく絞れない
  • 折り紙が合わない・ずれる
  • 図工の作品が「雑に見える」と言われがち
  • 物をよく落とす

「不器用だなぁ」「雑だなぁ」「急ぎすぎなんだよなぁ」。
そう見えてしまいがちなんですよね。
でも、その背景に「手先の力の弱さ」が隠れていること、結構あるんですよ。

本記事を読むことで、

通級で「手の運動」をどう指導するのか? 巧緻性・運筆・道具操作の3本柱

が分かります。

結論から言うと、手の運動は1回5分の独立したパーツとして指導しています。
「運動」(⑤)とは別。
ネーミングも「手の運動」として、別で設けています。
中身は、巧緻性(※手先の細かい動き)・運筆・道具操作の3本柱です。

では、内容に入っていきましょう!

なぜ「手の運動」?──授業は手を使う作業の連続だから

指導編で「授業中の子どもは、ずっと体を使っている」と書きました。
手は、もっと使っています笑

  • 鉛筆で書く・消しゴムで消す
  • 定規・はさみ・のり・コンパス
  • リコーダー・絵の具・彫刻刀
  • 給食の配膳、着替え、雑巾がけ などなど

書く・作る・操作する。
授業も生活も、手を使う作業の連続なんです。
その手先の力が育つと、学級ではこんな変化が出てきます。

  • 筆圧が整って、バランスの良い字が増える
  • ノートテイクできる量が増える
  • 消しゴム・定規・はさみなどの道具を上手に使えるようになる
  • 図工や家庭科などに意欲的に取り組めることが増える

「丁寧に書きなさい」と言われ続けている子、いますよね。
絶対いるよね笑
でも、手先の力が育っていないのに丁寧には書けません。
書きたくても書けないんだよ…。
だから、土台から育てます。

まず「見極める」──アセスメントは三段構え+成果物

指導編⑤と同じ三段構えです。
手の運動ならではの追加が「成果物」。

  1. 聞き取り:保護者と担任に適宜確認します。
  2. 行動観察:教室での書字や道具を使う様子。
    加えて、図工の作品・生活の観察シート・実際のノートなどの成果物も見ます。
  3. 通級で実際に:書いたり作業したりする様子を観察します。

成果物は、手先の力の「記録」です。
その場の観察だけでは見えないものが、見えてきます。

3本柱①:巧緻性──じゃんけんプリントと指体操

じゃんけんプリント──メトロノームに合わせて

一番のおすすめから。
グー・チョキ・パーのイラストが並んだプリントを使った課題です。
(この教材の別冊シートに入っています)

指導の進め方はこうです。

  1. 目の運動と同じ「姿勢セット」をとる(動かす腕だけ自由に)
  2. メトロノームのアプリで、テンポを子どもに決めさせる
  3. テンポに合わせて、イラストと同じ手を出しながら「ぐー」「ちょき」「ぱー」と声に出す

見る→処理する→手先の動きに連動させる。
目と手の協応(※見た情報に合わせて手を動かす力)の、指先バージョンです。
見た情報を手先の動きに素早く連動させる力が育ちます。
つまり、学級ではノートテイクの力そのものですね。

片手バージョンから始めて、慣れてきたら両手バージョンへ。
継続して指導すればするほど上手になるので、子どもの効力感も高まりやすいです✨️

指体操・鉛筆体操

指を動かす体操と、鉛筆1本でできる体操もやります。
「グー・パー体操」「Oリング体操」「鉛筆コロコロ体操」「鉛筆クルクル体操」など。
(※どれも、後で紹介する書籍に写真つきで載っています☝️)

鉛筆1本でできるのが、いいんです。
準備ゼロ。
書字の直前に挟めば、そのまま運筆につながります。

3本柱②:運筆──PSI編の教材を「手の運動」として使う

運筆では、「○✕数字レース」や「ぐるぐる迷路」をやっています。
「あれ? それPSI編で紹介した教材じゃ…」
そうです🙂
同じ教材を、違う目的で使っています。
(詳しくは後述の「棲み分け」で)

運筆の時に、私が大事にしていることの1つは、正しい持ち方で書字させることです。
声かけは、こんな感じ。

  • 「道からはみ出さないように進んでいこう!」
  • 「そうそう、そのくらいのスピードがちょうどいいよ〜」
  • 「その調子その調子!」
  • 「ん〜上手いね〜」
  • (書いている手の小指側の側面が浮いていたら)「ここは軽く紙につけておこうか〜」

最後のやつ、地味ですが効きます。
小指側の側面が紙についていた方が、指先の動きが出やすいので。

3本柱③:道具操作

はさみ、定規、のり、コンパス、リコーダー…といった道具の操作です。
これは、後で紹介する本に載っている指導を、そのままやっています。
写真つきで載っているので、そのまま真似できますよ。
そして、ほんとに改善していきます笑

進め方──1回5分、「運動」の後か中盤に

時間は、1回5分くらい。
45分の中では、「運動」の後や、中盤に取り入れることが多いです。

⑤の運動とは、別パーツ。
体幹・バランスは「体」、こちらは「手先」。
育てる力が違うので、パーツも分けています。

PSI編・目の運動との棲み分け

違いは、困りの入口がどこか、ですね。

  • 書くのが遅い・作業が遅い →PSI編の教材(「作業する力」を鍛える)
  • 板書や音読でつまずく →目の運動③④(「見る力」を鍛える)
  • 不器用・道具が使えない・字が乱雑 →手の運動(「手先の力」を鍛える)

実際は、重なる部分もあります。
どれも目と手を使いますから。
でも、「何のためにやるか」が違えば、観察するポイントも声かけも変わります。
目の前のその子の、入口の困りから選んでください…と言いたいところですが、ここも決まりはありませんよ。

「終了」の目安は三層

手の運動の終了は、課題によって考え方が違います。

  1. じゃんけんプリントは、数値で判断:メトロノームのテンポで、片手バージョン140〜150・両手バージョン120〜130をほぼ確実にできるようになれば、一つの終了の目安です。
  2. 巧緻性・運筆全般は、学級の様子で判断:授業中のノートテイクが周囲のスピードと同等かそれ以上で、特に困ることがないなら、それも目安。
  3. 道具操作は、続けることが多い:はさみや定規は上達が見えやすいけれど、コンパスは使う時期が限られているし、リコーダーは結構難しい。だから、続けることが多いです。

の「終了あり」、の「終了ほぼなし」。
手の運動はその中間、という感じですね。

使っている教材──3冊

④のビジョントレーニングで紹介した本と同じです。
じゃんけんプリントは、この本の別冊シートに入っています。

指体操・鉛筆体操・道具操作は、この1冊。
どの指導も写真つき・難易度の星つきで載っているので、そのまま指導に使えます。

上記2つの教材の難易度でも少し難しそうだと感じたら、これも使ってます。
低学年で使うことが多いかな。

よくある質問(FAQ)

Q. 高学年でも「手の運動」の指導はやりますか?

やります。
学年は問いません。
その子の実態によります。
手先の力は、学年が上がっても求められ続けるので。

Q. 家庭でもできますか?

できます。
保護者に勧めることもあります。
特にじゃんけんの課題は、ゲーム感覚なのか、子どもが家でもやって見せてくれることが多いそうです。
書いた通り、通級から宿題としては出しません。あくまで「おうちでもやれますよ」の紹介です)

Q. 鉛筆の持ち方そのものは、直しますか?

指導はします。
通級で運筆させる時は、正しい持ち方で書字させています。
ただ…正直に言うと、持ち方そのものの改善はかなり難しい、というのが私の印象です。
学級担任をしていた頃、1年かけて言い続けて・正しく持たせ続けても、ほとんどの子は改善しませんでした。
だからこそ、注意するだけではなくて、その手前の「手先の力」を育てる。
それがこの記事で紹介した指導です。

まとめ

  • 手の運動は1回5分の独立パーツ。巧緻性・運筆・道具操作の3本柱
  • アセスメントは三段構え+成果物(図工の作品・観察シート・実際のノート)
  • じゃんけんプリントはメトロノームに合わせて。終了の目安はテンポ140〜150(片手)・120〜130(両手)

「丁寧に書きなさい」「ちゃんと持ちなさい」。
言い続けるだけでは、変わりません。
だったら、手先の力そのものを育てる。
目→体→手。
教科学習に取り組むためには「土台の力」が必須なんです。
この知識は、通級担当であるあなたは持っておかねばならないです。

目の運動や運動、手の運動の指導をしたからといって、数ヶ月で効果は見えてきません。
でも、半年、10ヶ月、1年…と継続すればするほど、効果が見えてきます
ほんとです。
私の周りの先生方は、効果を感じて喜んだり感謝したりしてますから。

大丈夫!
通級ラボを読んで、指導に取り入れて、改善していけば、あなたもそうなれるから。
一緒に頑張っていきましょう😊

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