通級の「目の運動」プリント編|見る力を授業につなげる指導【実際の指導編④】

実際の指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

前回の実際の指導編では、「目の運動」の対面トレーニングを紹介しました。
100均のクリップを、目だけで追いかける。
安くてすぐできる笑

体を固定して、目だけを動かす。
1回15秒〜2分、課題と課題の間に挟んで指導する。
短時間で・継続して指導することで、子どもの目は確実に動くようになってきます。

でもでも。
さらにレベルアップさせていくことができるんです。
教科学習に必要な目の動きにつなげることができる🙂

本記事を読むことで、

対面トレの「次」。プリントで、見る力をどう授業につなげるのか?

が分かります。

結論から言うと、プリント教材は「授業で求められる見る力」に一番近いトレーニングです。
眼球運動(※目を思い通りに動かす力)だけでなく、目と手の協応(※見た情報に合わせて手を動かす力)や、視覚探査(※たくさんの中から目当てのものを素早く見つける力)も、自然と一緒に育ちます。
だから、教科学習への効果が見えやすい。
ほんと、効果が出るんです。

では、内容に入っていきましょう!

なぜ「プリント」?──授業は「見る・読む・探す」の連続

想像してみてください。
授業中の、子どもの「目」の仕事を。

  • 黒板を見る→ノートに視線を落とす→また黒板に戻る
  • 教科書の音読で、行を目でたどる
  • 計算ドリルの中から、今やるべき問題を探す
  • 資料集の中から、先生が言ったグラフを見つける

見る・読む・探す。
授業って、この連続なんです。

③の対面トレは、いわばまぁ「目の筋トレ」かなと。
目そのものを思い通りに動かせるようにする、基礎です。
基礎はめっちゃ大事。
でも、基礎だけでは授業につながりにくいのも事実。

プリント教材は、この「授業のリアル」に近い。
紙の上で、目を動かして、探して、指で押さえて、読み上げる。

対面トレで「目を動かす基礎」 →プリントで「授業に近い応用」 →そして授業へ。

この二段構えで、見る力を授業につなげていきます。

使っている教材──市販の1冊。別冊ワークシートが優秀

使っているのは、この教材です。

この本の別冊のワークシートを愛用しています。
(※シートの中身は、著作権があるのでここで紹介することができません💦 気になる人は、ぜひ実物を見てみてください)
授業で求められる眼球運動に対するプリントが難易度別に複数用意されている。
別冊だからコピーもしやすい。

プリントは多数載っていますが、全部はやりません。
私が実際に使っているのは、主に4種類。
「基礎編」と「応用編」があるので、基礎→応用の順で進めます。
それぞれ「どの力を育てるか」もセットで、紹介していきますね☝️

私が使っている4種類のシートと使い方

① 数字ランダム読み──跳躍性+追従性

紙の上に、数字がランダムに散らばっているシートです。
基礎編は、2つの読み方で使います。

  • 上下左右に数字を読み上げる→跳躍性(※視線をパッと飛ばす力)
  • 外側の数字をぐるっと一周読み上げる→追従性(※視線をなめらかに動かす力)

応用編は、全部は読ませません
負荷が大きすぎるからです。
一番左と右、一番上と下の数字だけからスタート。
慣れてきたら、「真ん中の数字も読んでみよう」とつなげます。

ちなみにこのシート、基礎編①②・応用編①②を、それぞれ2枚セットで使っています。

② 数字探し──跳躍性+目と手の協応

ランダムに並ぶ数字の中から、1から順番に20まで探して読み上げるシートです。
必ず、指でポインティングしながら
目で見つけて、手で押さえる。
これが、目と手の協応(※見た情報に合わせて手を動かす力)のトレーニングにもなります。
応用編では、こんな変化球も。

  • 「九九を言いながらどうぞ」→「にいちが…に!」と言いながら2をポインティング。
    「ににんが…し!」で4を。
  • 「奇数を言いながらどうぞ」→1、3、5…と、奇数だけを順に探す。

口と目と手の、同時進行。
けっこう難しいんですよ、これ。
でも子どもは、基礎編で自信をつけているから燃えますよ🔥

③ ひらがなランダム読み──追従性+目と手の協応

ひらがながランダムに並ぶシートです。
使い方に、ひと工夫あります。

1.進む方向を、子どもに選ばせる(横に進むか、下に進むか)
2.ひらがなを1文字、子どもに選ばせる
3.指を1本、出させる
4.一定のスピードで、指でたどりながら進む
5.選んだひらがなが出てきた時だけ、読み上げる

ポイントは「選ばせる」こと。
自分で選んだ方向、自分で選んだ字。
主体性です。
(通級ラボの読者なら、お分かりですね🙂)

④ 3つの言葉──跳躍性

文字の並びの中にかくれている単語を見つけて、順に読み上げていくシートです。
これが、音読にいちばん近い。

基礎編では、初めのうちは読み上げる範囲を限定します。
読ませない部分は、紙で隠す。
一気に全部は、やらせません。
負荷が高すぎるから。

応用編も進め方は同じ。
難しそうなら、単語ごとに薄くスラッシュを入れて、単語のかたまりを認識しやすくします。
慣れてきたら、スラッシュを消す。
「足場を作って、外す」。
難易度調整の基本ですね☝️

進め方の共通ルール

プリントだからといって、特別なことはしません。

まず、姿勢セット(足の裏を床に・手のひらを机に・背筋を伸ばす・顔を固定)。
できていたら、こう声をかけてスタートします。
「お〜、いい姿勢だね! じゃあ、いくよ!」

分量は、1回に1枚か2枚
配置も③「対面トレ」と同じで、45分まるごとではなく、課題と課題のあいだに「つなぎパーツ」として挟みます。
で書いた「短時間×複数」の組み立てです)

取り組み中の声かけは、こんな感じ。

  • 「うんうん、その調子!」
  • 「合ってるよ〜!」
  • 「OKOK!」
  • 「いや〜、速くなってきたね〜」
  • 「ほんま、上手になってるわ〜」

見つけられずに固まっていたら、ヒントをひとつ。
「上の方にあるよ〜」。
これで十分です。
教えすぎない。
探すのは、子どもです。

いつプリントに進む?

対面→プリントへの移行基準

いきなりプリントからは始めません。
対面トレで、ここまで来たらプリントへ。

「対象物を目だけで見続けられる」
「寄り目ができる」
「終わったあとに目を痛がらない」
この3つがそろったら、プリントに進みます。

基礎ができていないうちに応用をやらせても、伸びにくいです。
それどころか、「できない」「疲れる」で嫌いになってしまう可能性も…。
急がば回れ、です。

終了の目安は、回数ではなく実態で

「何回やったら終わり」とは、決めていません。
見ているのは、こんな変化です。

  • 初回よりスピードが2倍くらいになった
  • ほぼ全くミスをしなくなった
  • 教科書をスラスラ読めるようになった
  • 授業中に困ることが減った

前の2つは、通級の中での変化。
後ろの2つは、学級での変化です。
そう、ここでも判断基準は「学級適応」。
通級の中で上手になることが、ゴールではありません。

正直に言うと、タイムは測っていません。
主観で感覚です笑
でも、毎回一緒に取り組んでいれば、分かる。
「あ、速くなったな」って。
間違いなく、分かる。
子どもの目だけでなく、私の「見る目」も10年かけて鍛えられているので🙂
あなたも必ず分かるようになりますよ。

PSI編の教材との棲み分け

「あれ? 数字を探すとか、指でたどるとか…PSI編の教材と似てない?」
そう思ったあなた、鋭い。
(PSI編=「ぐるぐる迷路」や「見比べレース」などの教材を紹介した回です)

違いは、入口の困りです。

  • 書くのが遅い・作業が遅い →PSI編の教材(「作業する力」を鍛える)
  • 板書や音読でつまずく →目の運動のプリント(「見る力」を鍛える)

もちろん、重なる部分はあります。
どちらも、目と手を使いますから。
でも、「何のためにやるか」が違えば、選ぶ教材も、観察するポイントも変わります。
目の前のその子の、入口の困りから逆算すると分かりやすいかもしれませんね。

よくある質問(FAQ)

Q. プリントを宿題に出してもいいですか?

私は、出しません。
通級の目的は、学級適応。
だから、通級での課題は基本的に通級で完結させます
宿題を出すのは、担任の先生の役割。
私は担任と連携し続けて、学級と家庭のことは担任にお任せしています。
(役割分担。「黒子として振る舞う」の話と同じですね)
学級だけでなく、通級からも宿題が出たら、子どもからしたら嫌でしょうしね笑

Q. 対面トレを飛ばして、プリントから始めてもいいですか?

その子に実態によります。
プリントは「応用」と私は位置づけています。
が、決まりはありませんよ。

Q. 別冊のシート、全部やるんですか?

いいえ、やりません。
私が使っているのは、今回紹介した4種類が中心です。
どのシートを選ぶかは、目の前のその子の実態によります。
「全部やらせなきゃ」と思わなくて大丈夫。
絞ることも、指導のうちです。
やはり、アセスメントですね☝️

まとめ

  • プリント教材は「授業で求められる見る力」に一番近い。
    眼球運動に加えて、目と手の協応・視覚探査もまとめて育てられる
  • 使うのは市販の1冊の別冊ワークシート。
    「数字ランダム読み」「数字探し」「ひらがなランダム読み」「3つの言葉」の4種類
  • 進め方は③と同じ型。
    姿勢セット→1回1〜2枚、課題のあいだに「つなぎパーツ」として挟む
  • 対面→プリントに進む目安は「見続けられる・寄り目・痛がらない」。
    終了の目安は回数でなく、学級での変化で判断

対面トレで目を動かせるようにして、プリントで授業につなげる。
見る力の指導は、この二段構えです。
大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊

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