通級の「目の運動」って何する? 見る力を育てる指導とアセスメント【実際の指導編③】

実際の指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

「実際の指導編」シリーズ、今回からいよいよ各論です。
1本目のテーマは、「目の運動」(という、私が名付けた指導です)。

あなたが指導している子の中に、こんな子はいませんか?

  • 板書を写すのが、とにかく遅くて間に合わない
  • そもそも、諦めていて板書を書けない
  • 音読で、行を飛ばす・同じ行をくり返して読んでしまう
  • 文字がマスからはみ出てしまう
  • ボール運動が苦手
  • 本を読み始めると、すぐ「疲れた」と言う

「集中力がないのかな」「やる気がないだけでは」「不器用なのかな」。
こういった思い込みや何となく、で済ませがちなんですよね。
でも、実はその背景に「見る力」(※この記事では、眼球運動とほぼ同義だと思ってください)の困難さが隠れていること、結構あるんです。

人間は、情報の約8割を「目」から得ている、と言われています。
読む・書く・写す・動くなど、教科学習のほとんどは「見ること」が土台。
というか、学校生活を送る上で、いや、生きていく上で「見ること」なしには考えられません。
その「見ること」の土台がぐらついていたら、上に何を積んでも安定しないのは容易に想像できます。

でも‼️
通級担当として10年以上指導し続けてきた私は、断言します。

見る力(※眼球運動)は、通級で改善・向上させることができます

前回の実際の指導編では、「45分を“指導パーツ”で組み立てる」話をしました。
今回はその中身である「目の運動」という1つの指導パーツを、実際にどう指導するのか、を紹介します。
本記事を読むことで、

通級で「見る力(※眼球運動)」の困難さをどう見極めて、どう指導するのか?

が分かります。
では、内容に入っていきましょう☝️

そもそも「目の運動」って?

私が「目の運動」と名付けた指導は、正確には視機能へのアプローチです。
でも、小難しいことや細かい分類を知りたいわけではないですよね笑?
なので、「目の運動」という指導は、眼球を思い通りに動かす力のトレーニングだと思ってもらっていいです😁
「目の運動」で指導・アプローチする眼球の力は4つあります。

  • 追従性(ついじゅうせい)…動くものを、なめらかに目で追う力
  • 跳躍性(ちょうやくせい)…パッと別の場所に、視線を飛ばす力
  • 輻輳(ふくそう)…近づくものに合わせて、両目を内側に寄せる力(=寄り目)
  • 開散(かいさん)…遠ざかるものに合わせて、寄せた目を戻す力
  • (視野…見える角度。周囲に気付く力)

むずかしい用語が並びましたが…「目を、上下左右・遠近に、思い通り動かせるか」
簡潔に言ったらそれだけです。

まず「見極める」──アセスメント

指導の前に、まずアセスメントですよね。
「ねこもみじが紹介してたから、とりあえず全員にやってみよ〜っと」。
こんな風にもし考えたのだとしたら、今すぐ考え直しなさい笑!
指導のスタートはアセスメントから。
何度も、いろんな記事でも伝え続けていることです。

私は、初回〜2回目の指導の中で必ず一度、目の動きをチェックします。(※やり方は後述)
そして、少しでも「ん? ひっかかるなぁ」と感じたら、継続して指導します。

観察するポイントは、こんなところ。

  • 顔ごと動いてしまう(目だけで追えない)
  • 目の動きがカクカクして、なめらかでない
  • 追っている対象を、見失う・追いきれない
  • 寄り目ができない/片目だけ外に開く/両目がぐるんと回る
  • 追っている途中で、一瞬だけ両目が逆方向に動いて、また戻る
  • やたらと、まばたきが多い
  • 途中で目を痛がる/終わったあと目を痛がる/涙目になる

「目を痛がる」「涙目になる」「片目が大きく外にずれる」
——もし、こういう実態が見られる時は、通級だけで抱え込まないでください。
というか、抱え込んではダメです。
眼科や専門機関につなぎましょう。
私は、伝える必要がある子の保護者へは面談時に伝えています。
子どもの目の問題は、医療の領域のこともあるから。
専門機関で「問題なし」等の結果が出れば、それはそれで安心ですから。
何でもかんでも通級で指導できる! 通級で改善できる!
これは危険です。

どう指導する?──基本の「型」

アセスメントして見極めたら、指導です。
まずは、姿勢から。

子どもにはこのような姿勢をとらせます。

  • 足の裏を、床にぴたっとつける
  • 両手の手のひらを、机につける
  • 背筋を伸ばす
  • 正面を向く
  • 顔は動かさず、固定する
  • そして、私が動かす対象物を、目だけで追い続ける

ポイントは「体を固定して、目だけを動かす」こと。
体ごと動いてしまう子が、最初は本当に多い。
だから最初に、しっかり「姿勢の型」を作ります。

時間は、1回15秒〜2分くらい。
最初は短くていいです。
子どもが「え?もう終わり?」くらいでOK。
こちらが思っている以上に、子どもの目に負荷がかかっている可能性もあるので。
心配しなくても、指導すればするほど、取り組める時間がのびていきます

種類ごとの動かし方は、こんな感じ。

  • 追従性:対象物を、ゆっくり動かす。子どもは、それを目だけでなめらかに追う。
  • 跳躍性:対象物を、素早くパッと別の場所へ動かす。子どもは、それを目でパッと捉える。
  • 輻輳:対象物を顔の正面から鼻先へ、ゆっくり近づける。子どもは寄り目で見続ける。
  • 開散:近づけた対象物を、ゆっくり戻す。寄せた目を、戻していく。

4つの中でも、寄り目(輻輳)で一番困難さが出る子が多い
私はよく、こう声をかけます。
「これ、難しい人が多いよ。がんばって寄り目しよう!」
不思議なもので、「難しい」と先に言うと、子どもは燃えるんですよね🔥

そして、これは毎回あること。
対象物を鼻先に近づけると、最初のうちは子どもは笑っちゃいます。
くすぐったいような、照れくさいような感じなんですかね?
でも、3〜4回目の指導くらいから、ずーっと真剣に見続けられるようになる
この変化が、けっこう嬉しいんですよ🙂

単独でやらない──“つなぎパーツ”として入れる

「目の運動」の指導パーツは45分まるごと、とか、10分どーん、みたいにはやりません。
言葉 → 目の運動 → よく見よう → 目の運動 → 手の運動 → 目の運動
こんなふうに、ほかの課題と課題の「あいだ」に、ちょこちょこ挟みます。

15秒〜2分の短いパーツだからこそ、できる入れ方です。
②で書いた「短時間×複数で組み立てる」——目の運動は、そのつなぎパーツとして理想的なんです。

そして、回ごとにメインに指導する目の動きを変えます。

  • 1回目:追従性を中心に
  • 2回目:跳躍性を中心に
  • 3回目:組み合わせて
  • 輻輳・開散は、毎回ちょっとずつ

こうやって、少しずつ・飽きずに、通級で見る力を育てていくんです。

道具は、100均でいい!

「専用の道具が必要なんでしょ?」
と、目の運動の指導を開始した頃は思っていました。
答え。
全然そんなことない笑
100均で十分。
ほんとに。

私が実際に使っているのは、100均で見つけたクリップ(袋とじクリップ)。
こういうやつ↓↓↓

Screenshot

これね、優秀なんですよ。

  • とにかく安い!笑(読者のあなたも、すぐ真似できる)
  • キャラものだから、子どもが見続けやすい

もちろん、もっとちゃんとした道具もあります。
でも、まずは袋とじクリップ1つで、じゅうぶん始められます✨️

よくある質問(FAQ)

Q. 目が痛いと言ったら、続けていいですか?

いいえ、いったん止めてください。
そして、痛みや涙目が続くようなら、眼科に相談を。
目の運動は「がんばって痛みに耐える」ものでは、ありません。

Q. 毎回、どのくらいの時間やればいいですか?

1回15秒〜2分でOK。
短く、課題のあいだに挟む。
これを毎回コツコツ。
長く1回やるより、短く何回も、のほうが続きます。

Q. 効果は、どのくらいで出ますか?

その子によります。
でも、「取り組める時間がのびる」「目の動きがなめらかになる」という変化は、通級の中で絶対に・間違いなく見えてきます。
板書や音読といった学級での変化は、もう少し時間がかかるかなと。
ただ、週1回の頻度で数ヶ月〜半年続けたら、変化が出ると思ってほぼ間違いないです。
でも、土台は確実に育っています。

まとめ

  • 見る力(※眼球運動)は、読み書き・運動の土台。通級で育てられる
  • まず初回〜2回目に「アセスメント」。痛がる・涙目・片目が外れるは眼科にもつなぐ
  • 基本は「体を固定して、目だけ動かす」型。1回15秒〜2分、課題のあいだに挟む
  • 追従性・跳躍性・輻輳・開散を、回ごとにを変えて少しずつ
  • 道具は100均のネコクリップでOK!

見る力は、目立たないけど、全部の土台。
「目の運動」を育てずに、認知面への指導や、いわゆるSSTばかりやって「通級でこんなことやってます!」みたいな指導者がまだまだたーくさんいるな、って個人的には思ってます。
情報を取り入れる段階=眼球運動の力が育つと、子どもの「できた!」は確実に増えていきます。

大丈夫!
一緒に、頑張っていきましょう😊

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