通級の「気持ち」の指導②|ワークシート1枚を、どう進めるか【実際の指導編⑲】

実際の指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

前回の実際の指導編⑱(気持ちの指導・SSTと般化の話)では、SSTや般化に対する考え方の話をしました。
般化=学級適応こそが判断基準、というところですね。

今回からは、実際の中身です。
私が使っているワークシートを1枚だけ取り上げて、どう進めているのかを、やりとりごと公開します。
実際のやりとりをどう再現したら伝わるのか?
考えて、記事にするの、正直めっちゃ大変でした…笑

あなたも、こんなことを思ったことはありませんか?

  • ワークシートを渡して、丸をつけさせて、答え合わせ……これで合ってるの?
  • 子どもが間違った番号に丸をつけたとき、どう言えばいいんだろう?
  • 社会性の指導って、結局なにをどこまでやればいいの?

本記事を読むことで、

気持ちのワークシート1枚を、通級でどう進めるのか?

が分かります。

結論から言います。
このワークシート、大事なのはその子が選択した内容が合っているかではありません。
「なぜ良いのか」「なぜ良くないのか」を、子ども自身の言葉で言えるか。
判断基準は、この1点です。
だから私は答え合わせをしません。
その子に理由を聞きます。
では、実際の1枚を見ながら、順番に見ていきましょう!

今回使うワークシート(再現図)

まず、今回の1枚です。
左が指導前(何も書いていない状態)、右が指導後(書き終わった状態)です。

📝 今回のワークシート(再現図)|左:指導前 右:指導後

気持ちのワークシート 再現図(指導前・空欄)

指導前(何も書いていない状態)

気持ちのワークシート 再現図(指導後・書き込み済み)

指導後(書き終わった状態)

※市販ワークシートそのものではありません。場面・選択肢を作り直したオリジナルの再現図です。

(※これは、私が使っている市販ワークシートそのものではありません。著作権があるので、実物は載せられません。そこで、場面や選択肢を私が作り直した「再現図」を用意しました。プリントの型や、私がどう書き込んでいるかが伝わればうれしいです。)

ねこもみじ
ねこもみじ

大事なのは「型」です。
この型が分かれば、同じように進められます。

進め方① お話を読んで、登場人物を特定する

まず、上のお話を私が読み上げます。
そして、いつも必ずやるのが登場人物の特定です。
これは、どのプリントでも必ずやります。

ねこもみじ
ねこもみじ

「Aさんはどの子ですか?」
「Bさんは?」

イラストや文章の中で、誰が誰なのかを確認する。
え?と思いますか?
でも、誰が誰なのか分かっていない子、意外と多いんですよ。
登場人物や関係性の理解が曖昧なままだと、この後の「Aさんはどう思われる?」が考えられません。

進め方② 質問1「どう思われる?」で共感する

次に、質問1です。

ねこもみじ
ねこもみじ

「このままでは、Aさんはどう思われるでしょうか?」

書くのは私です。
子どもが言ったことを、私が書き取ります。

子ども
子ども

「またAさんが わがまま言ってる…」

ねこもみじ
ねこもみじ

そうだよね〜。先生もそう思った。
他にはありますか?

ここは、共感します。
「よく気づいたね」ではなく、「先生もそう思った」。
同じ側に立って一緒に考える人、という位置に立ちたいからです。

進め方③ 質問2は「丸をつけて、待つ」

ここからが本題です。
質問2は「みんなで楽しくあそぶにはどうしたらいい? あてはまる番号に◯をつけましょう」。

ここが大事なところ。

ねこもみじ
ねこもみじ

「あてはまる番号に◯をつけましょう」と説明したら、その後は何も言いません。
その子が丸をつけ終わるまで、ただ待ちます。

ヒントも出しません。
表情も変えません。
「これはどう?」なんて聞きません。
その子が、今どう考えているのか。
それがそのまま出てくるのを待ちます。

進め方④ まず「丸をつけなかった番号」から

その子が丸をつけ終わったら(選択し終わったら)、私が最初に扱うのは丸がついていない番号です。

ねこもみじ
ねこもみじ

「①は丸がついてないね」(→ そのまま問題文を読み上げる)

そして、こう聞きます。

ねこもみじ
ねこもみじ

「①のどこが良くないと思いましたか? 良くないと思った部分だけを読んでみて」

子ども
子ども

「うーん…ぜったい?」

ねこもみじ
ねこもみじ

「なぜ良くないですか?」

子ども
子ども

「…。分かりません」

ねこもみじ
ねこもみじ

「OKOK!分かりませんって言えてえらいね。
ぜったいって書いてあるけど、例えば人間って絶対に死なない?」

子ども
子ども

「笑 そんなわけない笑」

ねこもみじ
ねこもみじ

「だよね笑 ぜったい、ってないよね。
全員が鬼になるまで、ぜったいに終わらない、とかいうルールだったらどう?」

子ども
子ども

「いやだ笑」

ねこもみじ
ねこもみじ

「だよね笑 だから良くない理由は、ぜったいはないから、になるね」

今のやりとりは、言えなかったケースです。
もし言えたとしたらすぐに褒めて、そのまま青字で書きます。
決め手になった言葉に青の下線を引きます。
上の再現図なら、①の「ぜったい」、④の「ルールを変えてもいい」の部分ですね。

なぜ、良くない方から先に扱うのか。
正解から確認すると、「合ってた/間違ってた」の答え合わせになってしまうからです。
良くない方から「なぜ?」を聞くと、その子の考えが出てきます。

進め方⑤ 丸をつけた番号も、同じように

良くない方が終わったら、丸をつけた番号も同じように進めます。

ねこもみじ
ねこもみじ

「②に丸がついてるね。どこが良いですか?」

子どもは「ずるのない」と読む。
私は「なぜ良いですか?」と尋ね、子どもは「ルールをまもっているから」と答える。
言えたら褒めて、赤字で書き、赤の下線を引きます。

つまり、こういう使い分けです。

  • ……良い行動と、その理由(大事なこと)
  • ……良くない行動と、その理由

色が分かれていると、視覚的に分かりやすいからそうしています。

進め方⑥ 間違いには「ん?」で気づかせる

さて、いちばん聞かれそうなところです。
子どもが、良くない番号に丸をつけていたら?
逆に、良い番号に丸をつけていなかったら?

私はこうしています。
まず、その番号の問題文をそのまま読み上げる。
そして、子どもの顔を数秒、見ます。
それから、ひと言。

ねこもみじ
ねこもみじ

ん?

これだけです。
たいてい、ここで子どもが「あ」という顔をします。
そのうえで、

ねこもみじ
ねこもみじ

「これって……◯だね。どこが良いですか?」

否定はしません。
「違うよ」「そこじゃないよ」とは言いません。
読み上げて、見て、「ん?」。
子どもに気付かせるんです。
主体性を高めるには、それが一番いい。

進め方⑦ 復習して、1つだけ選ばせる

全部終わったら、復習します。

ねこもみじ
ねこもみじ

「じゃあ復習しましょう。
 ①はなぜダメですか?」
「②はなぜいいですか?」

書いた青字・赤字を、子どもに読ませます。
自分の言葉が書かれたものを、自分で読む。

そして最後に、こう聞きます。

ねこもみじ
ねこもみじ

「丸がいくつかついててどれもOKなんだけど、1個だけ選んでって言われたら、あなたはどれを選ぶ?」

子どもが1つ選びます。
今回のワークシートでは、⑤「おにになることもあるとわかってあそぶ」を選びました。
そして、選んだ番号と理由を書かせます。

ここで大事なこと。
本人が選んだことなので、絶対に否定しません
理由を言えて、それをそのまま書けたらOKです。

ねこもみじ
ねこもみじ

どれを選ぶかより、「なぜそれを選んだか」を言えることが大事なんです。

進め方⑧ 「今日いちばん大事なこと」でしめる

最後に、こう聞きます。

ねこもみじ
ねこもみじ

「今日は『ルールは変えていいの?』という勉強をしました。
今日の勉強で、一番大事だと思ったことは何ですか?」

子どもが何かしら答えます。
妥当なら、そのまま書く。
ズレていたら、質問を繰り返します。
そして、最終的にこの形にまとめます。

「〇〇な時は、△△することが大事」

今回なら、こうなります。

  • みんなで あそぶ時は、じぶんかって✕ → ルールを まもることが だいじ。

これをプリントの下に赤字で書いて、子どもに読ませます。
読んだあとに、ひと言。

ねこもみじ
ねこもみじ

「これで合ってる?」

子どもが「うん」と言う。
ここまでで、1枚が終わりです。

必要があれば、「じゃあ実際、なんて言う?」まで進めることもあります。

時間と、そのあと

1枚にかける時間は、10分程度
慣れていない子だと15分、慣れてくると7分くらいです。
そして当然、実際の指導編①(組み合わせて・並行して)のとおり、これはパーツの1つ。
45分をこれだけで使うことは絶対にありません。

そして、このプリントで扱ったことを指導記録に書いて、担任と共有する。
「学級でこういう場面があったら、こう声をかけてみてください」まで書く。
そこまでやって、はじめて般化=学級適応に近づきます。
くわしくは実際の指導編⑱(気持ちの指導・SSTと般化の話)に書きました。

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ、良くない選択肢から扱うのですか?

正解から確認すると、「合ってた/間違ってた」の答え合わせになってしまうからです。
良くない方から「どこが?」「なぜ?」と聞くと、その子が何をどう考えたかが出てきます。
そこが分からないと、指導になりません。

Q. 子どもが理由を言えないときは?

私が解説して、青字(または赤字)で書きます。
言えないことを責めても意味がありません。
ただし、そのあとの復習で必ず読ませます。
読むことで、少しずつ自分の言葉になっていきます。

Q. ⑥の空欄(自分で書く欄)は使いますか?

私は使ったことがありません。
選択肢の中で「なぜ?」を掘るだけで、10分いっぱいになります。
無理に埋めるより、理由を言葉にすることに時間を使いたいと考えています。

まとめ

  • 大事なのは丸が合っているかではなく、「なぜ良いのか/なぜ良くないのか」を子ども自身の言葉で言えること
  • 流れ=お話を読む → 登場人物の特定 → 質問1で共感 → 丸をつけさせて何も言わずに待つ丸なしから「どこが?なぜ?」→ 丸ありも同様 → 復習 → 1つ選ばせる → 今日いちばん大事なこと
  • 色分け=赤は良い行動と理由(大事なこと)/青は良くない行動と理由。決め手の言葉に下線
  • 間違いは問題文を読み上げ、顔を数秒見て「ん?」。絶対に否定しない
  • 本人が選んだ番号も否定しない。理由を言えて写せたらOK
  • 1回10分程度、パーツの1つ。指導記録に書いて担任と共有するまでが指導

ワークシートは、渡して丸をつけさせるだけなら、5分で終わります。
でも、「なぜ?」を1つずつ聞いていくと、その子の捉え方が見えてきます。
それが見えたら、担任に伝えられる。
学級での関わりが変わる。
その入り口を作れるのは、その子と1対1で向き合っている通級担当のあなたです。
個人的には、この「気持ち」の指導ができるかどうかは、学級適応につなげられるかどうかの、とても大きな分かれ目だと思います。
そのくらい難しいけど、やれたら学級適応=通級の効果を高められる、ということです☝️

大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊

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