こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂
前回の実際の指導編⑱(気持ちの指導・SSTと般化の話)では、SSTや般化に対する考え方の話をしました。
般化=学級適応こそが判断基準、というところですね。
今回からは、実際の中身です。
私が使っているワークシートを1枚だけ取り上げて、どう進めているのかを、やりとりごと公開します。
実際のやりとりをどう再現したら伝わるのか?
考えて、記事にするの、正直めっちゃ大変でした…笑
あなたも、こんなことを思ったことはありませんか?
- ワークシートを渡して、丸をつけさせて、答え合わせ……これで合ってるの?
- 子どもが間違った番号に丸をつけたとき、どう言えばいいんだろう?
- 社会性の指導って、結局なにをどこまでやればいいの?
本記事を読むことで、
気持ちのワークシート1枚を、通級でどう進めるのか?
が分かります。
結論から言います。
このワークシート、大事なのはその子が選択した内容が合っているかではありません。
「なぜ良いのか」「なぜ良くないのか」を、子ども自身の言葉で言えるか。
判断基準は、この1点です。
だから私は答え合わせをしません。
その子に理由を聞きます。
では、実際の1枚を見ながら、順番に見ていきましょう!
今回使うワークシート(再現図)
まず、今回の1枚です。
左が指導前(何も書いていない状態)、右が指導後(書き終わった状態)です。
📝 今回のワークシート(再現図)|左:指導前 右:指導後

指導前(何も書いていない状態)

指導後(書き終わった状態)
※市販ワークシートそのものではありません。場面・選択肢を作り直したオリジナルの再現図です。
(※これは、私が使っている市販ワークシートそのものではありません。著作権があるので、実物は載せられません。そこで、場面や選択肢を私が作り直した「再現図」を用意しました。プリントの型や、私がどう書き込んでいるかが伝わればうれしいです。)

大事なのは「型」です。
この型が分かれば、同じように進められます。
進め方① お話を読んで、登場人物を特定する
まず、上のお話を私が読み上げます。
そして、いつも必ずやるのが登場人物の特定です。
これは、どのプリントでも必ずやります。

「Aさんはどの子ですか?」
「Bさんは?」
イラストや文章の中で、誰が誰なのかを確認する。
え?と思いますか?
でも、誰が誰なのか分かっていない子、意外と多いんですよ。
登場人物や関係性の理解が曖昧なままだと、この後の「Aさんはどう思われる?」が考えられません。
進め方② 質問1「どう思われる?」で共感する
次に、質問1です。

「このままでは、Aさんはどう思われるでしょうか?」
書くのは私です。
子どもが言ったことを、私が書き取ります。

「またAさんが わがまま言ってる…」

そうだよね〜。先生もそう思った。
他にはありますか?
ここは、共感します。
「よく気づいたね」ではなく、「先生もそう思った」。
同じ側に立って一緒に考える人、という位置に立ちたいからです。
進め方③ 質問2は「丸をつけて、待つ」
ここからが本題です。
質問2は「みんなで楽しくあそぶにはどうしたらいい? あてはまる番号に◯をつけましょう」。
ここが大事なところ。

「あてはまる番号に◯をつけましょう」と説明したら、その後は何も言いません。
その子が丸をつけ終わるまで、ただ待ちます。
ヒントも出しません。
表情も変えません。
「これはどう?」なんて聞きません。
その子が、今どう考えているのか。
それがそのまま出てくるのを待ちます。
進め方④ まず「丸をつけなかった番号」から
その子が丸をつけ終わったら(選択し終わったら)、私が最初に扱うのは丸がついていない番号です。

「①は丸がついてないね」(→ そのまま問題文を読み上げる)
そして、こう聞きます。

「①のどこが良くないと思いましたか? 良くないと思った部分だけを読んでみて」

「うーん…ぜったい?」

「なぜ良くないですか?」

「…。分かりません」

「OKOK!分かりませんって言えてえらいね。
ぜったいって書いてあるけど、例えば人間って絶対に死なない?」

「笑 そんなわけない笑」

「だよね笑 ぜったい、ってないよね。
全員が鬼になるまで、ぜったいに終わらない、とかいうルールだったらどう?」

「いやだ笑」

「だよね笑 だから良くない理由は、ぜったいはないから、になるね」
今のやりとりは、言えなかったケースです。
もし言えたとしたらすぐに褒めて、そのまま青字で書きます。
決め手になった言葉に青の下線を引きます。
上の再現図なら、①の「ぜったい」、④の「ルールを変えてもいい」の部分ですね。
なぜ、良くない方から先に扱うのか。
正解から確認すると、「合ってた/間違ってた」の答え合わせになってしまうからです。
良くない方から「なぜ?」を聞くと、その子の考えが出てきます。
進め方⑤ 丸をつけた番号も、同じように
良くない方が終わったら、丸をつけた番号も同じように進めます。

「②に丸がついてるね。どこが良いですか?」
子どもは「ずるのない」と読む。
私は「なぜ良いですか?」と尋ね、子どもは「ルールをまもっているから」と答える。
言えたら褒めて、赤字で書き、赤の下線を引きます。
つまり、こういう使い分けです。
- 赤……良い行動と、その理由(大事なこと)
- 青……良くない行動と、その理由
色が分かれていると、視覚的に分かりやすいからそうしています。
進め方⑥ 間違いには「ん?」で気づかせる
さて、いちばん聞かれそうなところです。
子どもが、良くない番号に丸をつけていたら?
逆に、良い番号に丸をつけていなかったら?
私はこうしています。
まず、その番号の問題文をそのまま読み上げる。
そして、子どもの顔を数秒、見ます。
それから、ひと言。

ん?
これだけです。
たいてい、ここで子どもが「あ」という顔をします。
そのうえで、

「これって……◯だね。どこが良いですか?」
否定はしません。
「違うよ」「そこじゃないよ」とは言いません。
読み上げて、見て、「ん?」。
子どもに気付かせるんです。
主体性を高めるには、それが一番いい。
進め方⑦ 復習して、1つだけ選ばせる
全部終わったら、復習します。

「じゃあ復習しましょう。
①はなぜダメですか?」
「②はなぜいいですか?」
書いた青字・赤字を、子どもに読ませます。
自分の言葉が書かれたものを、自分で読む。
そして最後に、こう聞きます。

「丸がいくつかついててどれもOKなんだけど、1個だけ選んでって言われたら、あなたはどれを選ぶ?」
子どもが1つ選びます。
今回のワークシートでは、⑤「おにになることもあるとわかってあそぶ」を選びました。
そして、選んだ番号と理由を書かせます。
ここで大事なこと。
本人が選んだことなので、絶対に否定しません。
理由を言えて、それをそのまま書けたらOKです。

どれを選ぶかより、「なぜそれを選んだか」を言えることが大事なんです。
進め方⑧ 「今日いちばん大事なこと」でしめる
最後に、こう聞きます。

「今日は『ルールは変えていいの?』という勉強をしました。
今日の勉強で、一番大事だと思ったことは何ですか?」
子どもが何かしら答えます。
妥当なら、そのまま書く。
ズレていたら、質問を繰り返します。
そして、最終的にこの形にまとめます。
「〇〇な時は、△△することが大事」
今回なら、こうなります。
- みんなで あそぶ時は、じぶんかって✕ → ルールを まもることが だいじ。
これをプリントの下に赤字で書いて、子どもに読ませます。
読んだあとに、ひと言。

「これで合ってる?」
子どもが「うん」と言う。
ここまでで、1枚が終わりです。
必要があれば、「じゃあ実際、なんて言う?」まで進めることもあります。
時間と、そのあと
1枚にかける時間は、10分程度。
慣れていない子だと15分、慣れてくると7分くらいです。
そして当然、実際の指導編①(組み合わせて・並行して)のとおり、これはパーツの1つ。
45分をこれだけで使うことは絶対にありません。
そして、このプリントで扱ったことを指導記録に書いて、担任と共有する。
「学級でこういう場面があったら、こう声をかけてみてください」まで書く。
そこまでやって、はじめて般化=学級適応に近づきます。
くわしくは実際の指導編⑱(気持ちの指導・SSTと般化の話)に書きました。
よくある質問(FAQ)
Q. なぜ、良くない選択肢から扱うのですか?
正解から確認すると、「合ってた/間違ってた」の答え合わせになってしまうからです。
良くない方から「どこが?」「なぜ?」と聞くと、その子が何をどう考えたかが出てきます。
そこが分からないと、指導になりません。
Q. 子どもが理由を言えないときは?
私が解説して、青字(または赤字)で書きます。
言えないことを責めても意味がありません。
ただし、そのあとの復習で必ず読ませます。
読むことで、少しずつ自分の言葉になっていきます。
Q. ⑥の空欄(自分で書く欄)は使いますか?
私は使ったことがありません。
選択肢の中で「なぜ?」を掘るだけで、10分いっぱいになります。
無理に埋めるより、理由を言葉にすることに時間を使いたいと考えています。
まとめ
- 大事なのは丸が合っているかではなく、「なぜ良いのか/なぜ良くないのか」を子ども自身の言葉で言えること
- 流れ=お話を読む → 登場人物の特定 → 質問1で共感 → 丸をつけさせて何も言わずに待つ → 丸なしから「どこが?なぜ?」→ 丸ありも同様 → 復習 → 1つ選ばせる → 今日いちばん大事なこと
- 色分け=赤は良い行動と理由(大事なこと)/青は良くない行動と理由。決め手の言葉に下線
- 間違いは問題文を読み上げ、顔を数秒見て「ん?」。絶対に否定しない
- 本人が選んだ番号も否定しない。理由を言えて写せたらOK
- 1回10分程度、パーツの1つ。指導記録に書いて担任と共有するまでが指導
ワークシートは、渡して丸をつけさせるだけなら、5分で終わります。
でも、「なぜ?」を1つずつ聞いていくと、その子の捉え方が見えてきます。
それが見えたら、担任に伝えられる。
学級での関わりが変わる。
その入り口を作れるのは、その子と1対1で向き合っている通級担当のあなたです。
個人的には、この「気持ち」の指導ができるかどうかは、学級適応につなげられるかどうかの、とても大きな分かれ目だと思います。
そのくらい難しいけど、やれたら学級適応=通級の効果を高められる、ということです☝️
大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊
📖 実際の指導編シリーズ
- ① 指導をひとつに絞らない理由と考え方
- ② 45分を“指導パーツ”で組み立てる
- ③ 「目の運動」対面トレ編
- ④ 「目の運動」プリント編
- ⑤ 「運動」体幹・バランスから体育へ
- ⑥ 「手の運動」巧緻性・運筆・道具操作
- ⑦ 「音読」たくさん読ませる前にやること
- ⑧ 「言葉のきまり」特殊音節の指導
- ⑨ 「文字(仮名)」平仮名・カタカナを書かせず覚える
- ⑩ 「読み取ろう(読解)」聞かれたことに端的に答える
- ⑪ 「作文」5W1Hで文章を組み立てる
- ⑫ 「漢字」①読み・意味編
- ⑬ 「漢字」②形・書き編
- ⑭ 「漢字」③使い分け編
- ⑮ 「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる
- ⑯ 「ことわざ・慣用句」教える/教えないの線引き
- ⑰ 「スピーチ」結論→理由→まとめで話す
- ⑱ 「気持ち・社会性」SSTと般化の話
- ⑲ 「気持ち」ワークシート1枚の進め方
📚 関連記事
- 前回(気持ちの指導・考え方)→「通級の「気持ち」の指導|SSTと言う前に、般化=学級適応を問いたい【実際の指導編⑱】」
- シリーズの全体像 →「通級の「実際の指導」とは?【実際の指導編・完全ガイド】」
- 指導の考え方 →「通級指導は「組み合わせて・並行して」【実際の指導編①】」
- 筆者について →「プロフィール」


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