作文が書けない・苦手な小学生に|「楽しかったです」で終わらせない5W1Hの通級指導【実際の指導編⑪】

実際の指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・のべ300人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

もうすぐなっつやっすみ〜✨️
とは言っても、夏休みらしい夏休みは子ども達ですが…💦
いろんな研修や打合せ、指導案検討や作成などのスケジュールで既に結構埋まってる…。
とはいえ。
日頃よりも心にゆとりが生まれるのは間違いないし、時間的にもゆとりが生まれるのは間違いない‼️
今年の夏休み中は何をしようか?
え?
何をするかって?
決まってるじゃないですか。
「このブログ、”通級ラボ”を書く」んです!
まとまった時間を確保しやすい、数少ない時期ですからね。
今年の夏は、ブログ漬けの日々になる。
かも…笑

さて!
前回は実際の指導編⑩(「読み取ろう」の指導)で、読解=聞かれたことに端的に答えるスキルの話をしました。
今回は「作文」。
自分の経験や考えを文章に組み立てて書く力の指導です。

先に、前提を明確にしておきます。
ここで扱うのは、日記・感想文・行事作文レベルの「文章を組み立てる」指導です。

あなたが指導している子の中に、こんな子はいませんか?

  • 感想文を書く時、鉛筆が止まったまま動かない
  • 声かけすると、「書くことがない」「何もない」等と言う
  • 書けても「〇〇をしました。楽しかったです。」の2文で終わる
  • 行事作文が「〇〇をしました。楽しかったです。△△もしました。楽しかったです。またやりたいです」等、いつも同じパターンになる
  • 「〇〇をして、それから△△をしていると、▢▢と話をして楽しかったので次に●●に行って…」のように一文が長く、ダラダラした文を書く

いますよね。
作文指導の時に我々をイラッとさせてくる子笑

本記事を読むことで、

通級で「作文」を、いつから・何を使って・どう指導するのか?

が分かります。

結論から言います。
作文は、総合的な力です。
読む力、書く力、語彙、文のきまり、読解……これまで紹介した指導で育ててきた力が、ここで総合的に発揮されます。

だから、指導は急がない。
一文から始めて、三文、そして5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように)へ。
スモールステップで積み上げれば、「何もない」と言っていた子が、構成の整った文章を書けるようになります。

今回の記事は、いつも以上に気合いを入れて書きました💪
では、内容に入っていきましょう!

作文は「総合的な力」──だから、いちばん最後

作文を書く時、子どもの頭の中ではものすごくたくさんのことが同時に動いていると考えれます。

書く内容を思い出す。
言葉を選ぶ。
文の形にする。
助詞や特殊音節に気をつける。
漢字を思い出す。
文字を書く。
前の文とのつながりを確かめる……。

これを全部、ワーキングメモリ(※作業中の情報を一時的に覚えておく力)の上でやりくりするわけです。
作文が、学習課題の中でも特に負荷の高い活動だということは、研究でも指摘されています(※ワーキングメモリと読み書き支援についての湯澤正通先生の論考)。
興味があったら読んでみて笑

つまり、作文が書けないのはやる気の問題じゃないってことです。
同時に処理することが多すぎるんです。
難しいんですよ、一言で言えば。
あなただって、「得意!」とは言い切れないのでは?

だから私は、作文の指導を最後の方に指導することが多いです。
目の運動から読解まで、これまでの実際の指導編で紹介してきた指導で困難さが軽減してきた子。
その子たちの力が合流というか、総合的に発揮されるのが「作文」ではないかと。
こんな風に考えて・感じて、日々指導しています。

ただし、これは「土台が全部できるまで作文はダメ」という意味ではありません。
土台と並行して、作文の型から入るやり方もあります。
いつも言っていますが、その子の実態によります。
決まりはありません。

始めどきは「ニーズ」から

これまでの指導は、「アセスメントして、困難があったら指導する」という流れでした。
でも作文は、「〇〇ができたから、次は作文」とは(私の場合は)なりません。
始めるきっかけは、関係者のニーズです。

  • 保護者との面談で「日記が書けなくて、毎週末バトルなんです…」等と出てきた時
  • 担任から「行事作文になると、手が止まってしまって…」等と相談があった時
  • 保護者・担任・私の見立てが一致した時

こういうときに、作文パーツを45分の中に組み込みます。
学年でいうと、中学年〜高学年から始めることが多いです。
学年が上がるほど、学級で「書く」場面が増えて、困りが表面化しやすいからですね。

使う教材──特殊音節編と同じシリーズの「作文版」

私が使っているのは、実際の指導編⑧(特殊音節編)で紹介した2冊と同じシリーズの、作文版のワークです。

このワークの良さは、スモールステップで設計されていること。
中身は、ざっくりこういう流れになっています。

  • 一文を作る:名詞と動詞をつないで文にする(ピアノ―ひく、ジュース―のむ)
  • ようすのことば:オノマトペを文に入れて、文を豊かにする
  • 文を長くする:短い文に、言葉を足していく
  • 三文かん字にっき:指定の漢字で一文→続きの文→気持ちの文
  • 四文かん字作文:熟語を使って、四文で書く
  • 5W1Hで書こう:シートで構成を作ってから、作文にする
  • マインドマップで書こう:マップで材料を広げてから書く

一文→三文→構成のある文章へ。
「書けた」を積み重ねながら、少しずつレベルが上がっていく作りです。

どこから始める?

いつも言っていることなので聞き飽きたかもしれませんが…
その子の実態によります。

  • 一文がまだ書けない子は、文字通り、初めから。
  • 文は書けるけど、広がらない子(「楽しかったです」で終わる子はここ)は、三文かん字にっきあたりからスタートすることが多いです。

そして、目指すゴールは「5W1Hで書こう」で、構成して書けるようになることです。

実際の指導場面──口で作ってから、書く

進め方は、こうです。

  1. 1回5〜10分。45分のどこに指導パーツを組み込むかは、その子の実態によります。
  2. 1回に進めるのは1〜3枚くらい。
  3. 書き込みは、ワークのコピーに直接。
  4. ㉝ 「よく聞こう」聞く力を4つに分けて教材を選ぶ

そして、私がこだわっているやり方。
いきなり書かせません。
まず、作った文をしゃべらせます。

実際のやりとりは、こんな感じ。

私
私

「給食」という言葉があります。
この言葉を、一文目・二文目、どっちかで使います。
一文目、思いついた?

子ども
子ども

うん。
きゅう食で、カレーが出ました。

私
私

いいねいいね!
書こう。
(※書き終えたら)
二文目は?

子ども
子ども

おかわりじゃんけんで、勝ちました。

私
私

お〜!
それ嬉しいや〜ん笑
では、書こう。

これの繰り返しです。

なぜ、しゃべらせてから書かせるのか?
それは、書く前に文が完成しているからです。

頭の中で文を作りながら、同時に文字も書く。
これが、作文の負荷を一気に上げる原因。
だったら、分ければいい。
先に文をしゃべらせて完成させておき、私が「OK」を出してから書く。
書く時に迷う必要がない。
負荷を分ける。
それだけで、楽しく書ける子はぐっと増えます。

誤りへの対応──実は、ほとんど出ない笑

「助詞や特殊音節の間違いは、どう直すんですか?」と聞かれそうですね。
もし出たら、さらっと伝えます。

・「あ、ここは『が』じゃなくて『は』だね」
・「小さい『っ』を入れとこうか」

その場で、軽く。
以上です。

でも正直に言うと、助詞や特殊音節の表記ミスが気になったことはほとんどありません。
出ない。
ほとんど「出ない」んです。

なぜか?
作文の指導を始めるまでに、助詞や特殊音節の指導は終わっているからです。
土台を先に作ってあるから、作文の時間は作文に集中できる。
「いちばん最後のパーツ・総合力」の意味は、ここにあります。

なお、漢字のミスはかなり気になるか、頻繁に間違えない限り指摘しません。
「作文」の指導の目的は、文章を組み立てること。
目的に合致しない負荷は極力省く。
実際の指導編⑨(文字編)の「書かせない」、実際の指導編⑩(読み取ろう編)の「書き直しをさせない」と、同じ考え方です。

私が足した型──「まず・次に・そして・最後に」

ワークに載っている内容に、私が1つだけ足している指導があります。
それが、接続詞の型「まず・次に・そして・最後に」です。

これは、保護者との面談の中で生まれたし同内容です。
保護者から出てきた「こんなふうに書けたら…」というイメージを、どう指導に落とし込もうかと考えていたら、出てきたんです。
面談中に「ふっと浮かんだ」というのが正確な表現ですね。

5W1Hシートの〈どのように〉の欄で、この型を使って出来事を並べさせます。
以下は、実際に指導した子が書いた内容です。
(※実物は著作権の関係で載せられないので、レイアウトを変えた再現図です)

5W1Hシート記入例(体育のバスケ)の再現イラスト

まず、じゅんび体そうをした。
次に、シュート練習をした。
そして、試合をした。
さいごに、ふりかえりをかいた。

順序が、型で整理されている。
この型が身につくと、行事作文でも日記でも、「出来事を順番に書く」ができるようになります。

もう1枚、紹介します。

5W1Hシート記入例(マラソン大会)の再現イラスト

〈なぜ〉の欄に「学校ぎょうじだから」「体力やがんばる力をつけるため」と、理由が2つ。
〈かんそう〉には「あと1年あっていやだけど、小学生最後だから、がんばろうと思った」。

……「楽しかったです」「しんどかったです」じゃないんです。
本音の入った、気持ちの文が書けている。
「〇〇をしました。楽しかったです。」で止まっていた子が、このくらいは書けるようになります。

書き終えたら、音読──そして、タイトルは最後

書き終わったら、必ず音読させます。

なぜか?
意味が通っているかを自分で確認できるから。
また、「ちゃんと書けてる!」と実感できるから。

書いている最中の子どもは、材料を思い出したり、構成を考えたりする部分にパワーを全部使っています。
その状態では、自分の書いた作文の全体像は見えていない・見えにくい。

書き終えてから、改めて音読する。
そこで初めて、自分の作文の全体像を知る。
そして、上手に書けた・構成できたことを実感する。
この流れです。

そして、最後にタイトルを考えさせて、褒めて終了です。

ねこもみじ
ねこもみじ

タイトルは、最後。内容が決まっていないのに、題は決められないからね。

書き上がった中身を音読して、全体像をつかんだ後なら、タイトルはすっと出てきます。
「マラソン大会」の子がつけた題名は「来年もがんばる!」。
「体育のバスケ」の子は「仲間と協力したバスケ」。
内容をつかんでいるからこそ、の題名です。

書いたプリントは、保護者との面談の時に見せています。
「日記が書けなくて…」と相談してくれた保護者に、この5W1Hシートを見せる。
言葉で説明するより、何倍も伝わります。

「何もない」と言われたら?──実は、言われません

「書くことがない」「何もない」と言う子に、どう対応するか。
気になるところですよね。

これも正直に言いましょう。
ワークを進めてきて、「何もない」と言われたことがありません笑。
まじで、ない。

そりゃ、いきなり5W1Hのシートを出したら、「何もない」と言うかもしれません。
でもそこに至るまでに、一文→三文→四文と段階を踏んで、レベルを高めてきています。
だから、出ないんです。
スモールステップは、「何もない」を予防する仕組みでもあるんですね。

仮に言われたとしたら…こんな風に確認していくと思います。

私
私

運動会で、一番楽しかったことは何?

子ども
子ども

……何もない。

私
私

「何もない」ってことは、絶対にないです。
あなたは運動会に参加していたので。
もう一度聞きます。
運動会は、どうでしたか?

子ども
子ども

……うーん…。

私
私

まぁ難しいよね。
じゃあ、やってて一番楽しかったことは何ですか?
(※見ていて一番楽しかったのは何ですか?、でもいいと思います)


参加していた以上、経験はゼロじゃないです。
「やったこと」や「見たこと」、そして「一番」と限定してあげると何か出てきます。
これは、私の経験上の確信ですね。
出てきたら、「それはなぜ?」と重ねて、材料を増やしていけばいいです☝️

終了の目安──学級の「書く場面」に判断を渡す

作文指導のゴールは、正直難しいです💦
学年が上がれば上がるほど、求められる構文の力も高まっていくから。
報告文、提案文、要約、引用して文章を書く……。
そこまでの指導は、通級では難しいと私は感じています。

だから私は、終了を通級の中で判断するのではなく、学級の「書く場面」で見ます。
国語や道徳の「自分の考えを書きましょう」。
「運動会の感想を書きましょう」。
日記。
そういう場面で実際に書いた文章を、担任の先生と共有しながら確認していきます。

変化が出てくる期間の目安もお伝えします。
週1回5〜10分で、ワークの初めから始めた子が5W1Hの構成で書けるようになるまで、半年くらい。
学級での変化が感じられるのは、半年〜1年くらいです。
結構長い時間がかかります。
心折れないように笑、コツコツ指導を続けましょう‼️

よくある質問(FAQ)

Q. 高学年から始めても、間に合いますか?

はい。
むしろ、中学年〜高学年から始めることの方が多いです。
学年が上がるほど「書く」場面が増えて、困りが表面化しやすいからです。
土台の力がある程度育っていれば、一文レベルは速く通過して、三文かん字にっきや5W1Hに進めます。

Q. 宿題には出しますか?

出しません。
通級での「作文」指導は、材料を話したり文をしゃべったりするやりとりがあってこその指導です。
一人でやらせたら、それはただの「苦行のドリル」になってしまいます。
通級の中で完結させます。
めんどくさいことや効果が上がりにくいことは、家庭でやらせません。

Q. 家庭に勧めることはありますか?

勧めません。
先述した通りで、「作文」指導はやりとりが要るからです。
家庭には、書いたプリントを面談で見せて変化を共有する。
その形が一番だと思っています。

まとめ

  • 作文=総合的な力。
    これまでの指導で育てた力が合流する、いちばん最後のパーツ。
    始めどきは関係者のニーズから
  • スモールステップのワークで一文→三文→5W1Hへ。
    しゃべらせてから書かせる(負荷を分ける)。
    接続詞の型「まず・次に・そして・最後に」で順序を整理
  • 書き終えたら音読で全体像を確認し、タイトルは最後。
    終了は学級の「書く場面」を担任と共有して判断(5W1Hまで半年、学級の変化は半年〜1年が目安)

「〇〇をしました。楽しかったです。」
このくらいしか書けない子でも、その子の本音や伝えたかったことが、ちゃんとあります。
でも子どもは、「書き方が分からないだけ」なんて、自分では言えません。
もし言ったとしたら「じゃあ書けよ」って言われて終わりですから笑

だからこそ、通級担当であるあなたが段階を作って、しゃべらせて書かせて、「上手に書けた!」を積み上げてあげる。
これが大事です。
これができるのは、通級担当であるあなただけ。
私はそう思っています。

大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊

📖 実際の指導編シリーズ

  1. ① 指導をひとつに絞らない理由と考え方
  2. ② 45分を“指導パーツ”で組み立てる
  3. ③ 「目の運動」対面トレ編
  4. ④ 「目の運動」プリント編
  5. ⑤ 「運動」体幹・バランスから体育へ
  6. ⑥ 「手の運動」巧緻性・運筆・道具操作
  7. ⑦ 「音読」たくさん読ませる前にやること
  8. ⑧ 「言葉のきまり」特殊音節の指導
  9. ⑨ 「文字(仮名)」平仮名・カタカナを書かせず覚える
  10. ⑩ 「読み取ろう(読解)」聞かれたことに端的に答える
  11. ⑪ 「作文」5W1Hで文章を組み立てる
  12. ⑫ 「漢字」①読み・意味編
  13. ⑬ 「漢字」②形・書き編
  14. ⑭ 「漢字」③使い分け編
  15. ⑮ 「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる
  16. ⑯ 「ことわざ・慣用句」教える/教えないの線引き
  17. ⑰ 「スピーチ」結論→理由→まとめで話す
  18. ⑱ 「気持ち」SSTと般化=学級適応の話
  19. ⑲ 「気持ち」ワークシート1枚の進め方
  20. ⑳ 「気持ち」③「どこが」と「なぜ」を言わせる
  21. ㉑ 「気持ち」絵カード編(教材の話)
  22. ㉒ 「気持ち」絵カード3枚の進め方
  23. ㉓ 「おしゃべり」①ワークシート編
  24. ㉔ 「おしゃべり」②実会話編
  25. ㉕ 「言葉(語彙)」プリント3枚で語彙を増やす
  26. ㉖ 「言葉のイメージ」言葉と言葉をつないで概念を育てる
  27. ㉗ 「よく見よう」点つなぎで見る力を育てる
  28. ㉘ 「見て記憶」神経衰弱で見て覚える力を育てる
  29. ㉙ 「算数」①筆算は教えない。位取りと九九は教える
  30. ㉚ 「算数」②数概念|答えが合っていても、数え方を見る
  31. ㉛ 「算数」③位取りと九九|道具は使わない
  32. ㉜ 「算数」④文章題|絵の上手下手は見ない
  33. ㉝ 「よく聞こう」聞く力を4つに分けて教材を選ぶ

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