こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂
前回までは「おしゃべり」の指導②(実際に会話する編)でした。
質問者と回答者に分かれて、2分間しゃべり続ける。
そういう指導でしたね。
でもね。
会話を続けるには、言葉がいります。
言葉が。
つまり、語彙ですね。
そこで今回は、その言葉そのものを増やす指導です。
本記事を読むことで、
通級で「言葉(語彙)」を増やす指導を、どう進めればいいのか?
が分かります。
結論から言うと、教材は2つだけ。1回7〜10分で、プリントを3枚。
そして、子どもには鉛筆を持たせません。
書くのも、線を結ぶのも、全部私がやります。
では、内容に入っていきましょう☝️
こんな実態があるなら、語彙の指導を入れます
まず、どんな子にやるか。
私が「語彙の指導パーツを入れよう💡」と判断するのは、こんな実態があるときです。
- 会話に「あれ」「これ」などの指示語が多い
- 説明が「なんか、〜みたいなやつ」で終わってしまう
- 音読はすらすらできるのに、内容を聞くと答えられない
- 作文が「楽しかったです」「うれしかったです」の繰り返しになる
- 「意味、分かる?」と聞くと「うん」と言う。でも、理解できていない
- 自分の気持ちが、全部「イライラする」「ムカつく」に集約される
- テストの問題文の意味が取れなくて、解けない
- 友だちとの会話についていけない。話題がずれる
⋯いますよね、教室に笑
特に上から2つ目、「作文」の指導でも書きましたが、言葉のストックが少ないと、書くときも話すときも同じ言葉しか出てきません。
使う教材は2つだけ
語彙の指導で私が使う教材は、2つだけです。
というか、この2つだけで指導しています。
「2つしかないの?」と思われるかもしれませんね😁
でも、2つで十分なんです。
教材の中身や選んだ理由はWISC:VCI(言語理解)の「単語」が低い子への通級指導|オススメ教材2選【VCI編③】に書いたので、今回は「どう使うか」だけに絞ります。
性格が違う2つ、と思ってもらっていいです。
- 熟語系の教材…教科書や教師の話に出てくる言葉。教科学習の理解につながる
- 身の回りの言葉の教材…日常生活・日常会話で使う言葉。会話の理解につながる
どちらも、1〜2学年下から始めます。
いきなり学年相当をやらせません。
子どもの「簡単簡単!」から入る。
これは他の指導も同じですね☝️
進め方──プリント3枚で7〜10分
1回の指導は、5〜10分。
2つの教材を、組み合わせて使うことが多いです。
①身の回りの言葉 1枚
②熟語 1枚
③身の回りの言葉 1枚
→ 計3枚で、7〜10分
そして、実際のやりとりはこうです。
私が問題を途中まで読み上げる
→ 続きの文を、子どもが読む
→ 私「正解!」
→ 以下、繰り返し
これだけです。
テンポよく、どんどん進みます。
高学年で、自分で読める・自分で進められる子。
そういう子の場合は、半ページ解かせる → 読ませる →「正解!」という進め方に変えます。
ここは、その子の実態によりますね。
通級の指導では「目の前のその子の実態に合わせて指導する」。
絶対に揺るがない鉄則です☝️
なぜ、熟語を真ん中に置くのか
さっきの3枚、順番に意味があります。
身の回りの言葉 → 熟語 → 身の回りの言葉。
熟語を、真ん中に挟んでいますよね。
なぜか?
熟語のほうが、難易度が高いからです。
熟語は抽象概念です。
だから難しいことが多い。
一方、身の回りの言葉は見聞きしたことがある単語なので、具体的で理解しやすい。
この差があるんです。
これは語彙に限った話ではありません。
他の指導内容でも、私がよく使う組み立て方です。
45分をどう組み立てるかは実際の指導編②(45分を“指導パーツ”で組み立てる)で書いた通りですが、1つのパーツの中にも、同じ考え方を持ち込むということですね。

易しい→難しい→易しい。
この山型、いろんな指導に使えますよ☝️
書くのは私。子どもは鉛筆を持ちません
ここが、この指導のキモです。
使うのはプリントのみ。
子どもは、何も使いません。
答えを書くのも、線を結ぶのも、全部私がやります。
持たせません。
何も。
子どもは、鉛筆すら持ちません。
なぜか?
ワーキングメモリーには、限界があるからです。
書くという作業には、力を使います。
その力を使ってしまうと、考えるための力が減る。
だから私は、こう考えています。
限りある力は、「語彙を増やすために考える」ことに全部使わせたい。
考えることに集中できれば、語彙は増やすことに全エネルギーを使える。
そうすると、定着していく。
そうつなげたいんです。
この考え方は、実際の指導編⑨(「文字」平仮名・カタカナを“書かせず”に覚えさせる)と同じです。
書かせることが目的じゃない。
目的は、その子の力を伸ばすこと。
だったら、書く作業は私が引き受ければいい。
そういう話です。
分からないとき、間違えたとき
当然、子どもは間違えます。
「分かりません」と止まることもあります。
そんなときは、こうします。
私が問題を読み上げる
→ 私「ん⋯? 何か気付きますか?」
→ 子どもが気付けたら、褒める
答えは言いません。
読み上げて、気付かせる。
「ん⋯?」の一言が効くんです。
「違うよ」でも「そこ、間違ってるよ」でもない。
ただ「ん⋯?」。
これだけで、子どもは自分でもう一度見ようとします。

自分で気付けたら、それはもう「できた」ですよね。
そこを、しっかり褒める✨️
変化のサイン
続けていると、こんな変化が見えてきます。
- 質問してから、回答までの時間が短くなる
- 質問に対して、ちゃんと回答するようになる
- 自分の気持ちや考えを説明できることが増える
- 国語テスト裏面の「言葉」の問題で点数が高くなる。満点を取ることもある
最後の1つは、分かりやすいですよね。
市販の国語テストの裏面(下半分)には、言葉の問題が必ず入っています。
そこで点数が上がると、子ども自身が「できた」と実感できる。
効力感が高まります✨️
そして、前回の「おしゃべり」の指導とつながる話ですが、会話のときの反応も変わります。
以前は、聞いてから返ってくるまでに間があった。
今は、間がない。
この差は、指導している側にはっきり分かります。
終わりの目安──通級を利用しなくなるまで
この指導、いつまで続けるのか。
私の考えは、「小学生のうちは続けたほうがいい」です。
語彙は、多いに越したことはないですから。
実際には、その子が通級を利用しなくなるまで、ということになりますね。
ただし、あくまで45分の中の一部です。
他の指導とのバランスを見ながら、組み込むかどうかを判断します。
優先度を下げるタイミングもあります。
担任や保護者が「この指導の優先順位は低いかな」と判断し始めたとき。
そこが、下げどきですね。
でも、「もうやらなくていい」ということはないと思っています。
なぜか。
語彙は大量にあるからです。
国語の教科書だけをとっても、知らない言葉はどんどん出てくる。
実際の指導編⑮(「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる)で書いたことと、同じですね。
正直に言うと──「増えました」が、見せにくい
語彙の指導”は”(”も”と言うべきか⋯)、効果が見えにくい。
「語彙が増えました!」と、目に見える形で示すのが難しいんです。
そこが、この指導の難しさですね。
しかも、時間がかかります。
数回やって増えるものではありません。
ただし。
うまくいかない、限界を感じる、ということはないです。
見えにくいだけで、確実にその子のためになっている。
これは、はっきり言えます。
断定できる。
語彙が増えると、どうなるか。
会話にも。
質問への回答にも。
思考にも。
表現にも。
ぜーんぶ、良い影響があります。

見えにくいから、やらない。
それは、もったいないです。
コツコツいきましょう💪
よくある質問(FAQ)
Q. 子どもが「自分で書きたい」と言ったら、どうしますか?
書かせます。
本人がやりたいと言うなら、そこは尊重します。
主体的な行動ですからね。
ただし、正答数を確認しながらです。
誤答が多すぎたら、私が主導して進める形に戻します。
常にその指導の目的に立ち戻ることが大事ですね☝️
Q. 家庭でできることはありますか?
しりとりを勧めています。
ゲーム感覚で語彙を増やしていけますから。
低学年であれば、読み聞かせを勧めることもあります。
高学年では、あまりないですね。
ただ、教材を家庭でやってもらう、ということはしません。
家庭は「褒める」ことが最優先だと思っているからです。
保護者の願いを叶えるための取り組みを家庭でやってしまうと、子どもが保護者に対して不信感を持ってしまう可能性が高まりますからね😓
Q. 45分のどこに入れればいいですか?
その子の実態によります。
ずーーーっと言い続けていることですね笑
語彙は7〜10分のパーツなので、他のパーツとの組み合わせで決めます。
大事なのは「どこに置くか」より、その子に今この指導が要るのかどうか。
そこを見極めることのほうが、ずっと大事です。
まとめ
- 教材は2つだけ。熟語系(教科学習)と身の回りの言葉(日常会話)。どちらも2〜3学年下から
- 1回はプリント3枚・7〜10分。身の回り→熟語→身の回りの山型
- 子どもは鉛筆を持たない。書くのも線を結ぶのも大人がやる
- 間違えたら、読み上げて「ん? 何か気付きますか?」。答えは言わない
- 効果は見えにくい。それでも小学生のうちは続ける価値がある
語彙の指導は、地味です。
プリント3枚を、淡々と。
派手さは、まったくありません。
しずかーに1対1で指導してる感じです笑
でも、言葉が増えるということは、その子の世界が広がるということです。
話せる。
答えられる。
考えられる。
気持ちを説明できる。
効果が見えにくくても、確実にその子のためになる。
だから私は、続けます☝️
最低3ヶ月は続けましょう。
大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊
📖 実際の指導編シリーズ
- ① 指導をひとつに絞らない理由と考え方
- ② 45分を“指導パーツ”で組み立てる
- ③ 「目の運動」対面トレ編
- ④ 「目の運動」プリント編
- ⑤ 「運動」体幹・バランスから体育へ
- ⑥ 「手の運動」巧緻性・運筆・道具操作
- ⑦ 「音読」たくさん読ませる前にやること
- ⑧ 「言葉のきまり」特殊音節の指導
- ⑨ 「文字(仮名)」平仮名・カタカナを書かせず覚える
- ⑩ 「読み取ろう(読解)」聞かれたことに端的に答える
- ⑪ 「作文」5W1Hで文章を組み立てる
- ⑫ 「漢字」①読み・意味編
- ⑬ 「漢字」②形・書き編
- ⑭ 「漢字」③使い分け編
- ⑮ 「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる
- ⑯ 「ことわざ・慣用句」教える/教えないの線引き
- ⑰ 「スピーチ」結論→理由→まとめで話す
- ⑱ 「気持ち・社会性」SSTと般化の話
- ⑲ 「気持ち」ワークシート1枚の進め方
- ⑳ 「気持ち」ワークシート②「どこが」と「なぜ」
- ㉑ 「気持ち」絵カード編(教材の話)
- ㉒ 「気持ち」絵カード3枚の進め方
- ㉓ 「おしゃべり」①ワークシート編
- ㉔ 「おしゃべり」②実会話編
- ㉕ 「言葉(語彙)」プリント3枚で語彙を増やす(この記事)
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- 前回(実会話編)→「通級の「おしゃべり」指導②|質問と回答で2分間会話し続ける【実際の指導編㉔】」
- 語彙の教材の話 →「WISC:VCI(言語理解)の「単語」が低い子への通級指導|オススメ教材2選【VCI編③】」
- 教科書の言葉を調べる →「通級の「意味調べ」指導|教科書の”知らない言葉”を調べる【実際の指導編⑮】」
- シリーズの全体像 →「通級の「実際の指導」とは?【実際の指導編・完全ガイド】」
- 筆者について →「プロフィール」


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