通級の「おしゃべり」指導②|質問と回答で2分間会話し続ける【実際の指導編㉔】

実際の指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

さて、前回は「おしゃべり」の指導①(ワークシート編)でした。
会話は声だから消えてしまう。
だから紙にして、会話の「型」を増やす。
そういう話でしたね。

では、その型を、どこで使うのか。
今回はいよいよ、実際に会話する指導です。

本記事を読むことで、

通級で「実際に会話する」指導を、どう進めればいいのか?

が分かります。

結論から言うと、質問者と回答者に分かれて、2分ほど会話し続けます。
そして「よし、交代!」。
これだけです。
シンプルでしょう?
でも、この中に指導のポイントがぎっしり詰まっています。

では、内容に入っていきましょう☝️

進め方の全体像──2分回して、交代

まず、全体の流れです。

①質問者と回答者に分かれる
②質問者が最初の質問を決める→「決めました」と言う
③会話スタート。質問→回答→質問→回答…を約2分
④「よし、交代!」で役割を入れ替える

ポイントは、②の「決めました」です。
頭の中で決めるだけでなく、声に出して宣言させる。
これで「よし、始まるぞ」という切り替えが生まれます。

最初の質問の内容は、自由です。
ただし、毎週同じ質問をしてくる子には変更させます。
「先週と一緒だよ。他のにしてください」と。

まず、私が質問者をやる

基本的に、先に質問者をやるのは私です。
子どもからではありません。

なぜか?
モデルを示すためです。

質問って、意外と難しいんです。
「何を聞けばいいか分からない」という子は、結構います。
そこで私が先にやって見せる。
すると、子どもはそれを真似すればいい状態から始められます。

ねこもみじ
ねこもみじ

いきなり「はい、質問して」は、しんどい子が多いです。
というか、大人でも難しいでしょう笑?
まず大人が、やって見せると子どもの負荷が下がりますね☝️

質問のコツ──「いつ・どこ・だれ・なに・なぜ・どんな」

会話を続けるために、質問のコツを紙に書いて視覚化します。
こういうやつです↓↓↓

しつもんのコツ いつ・どこ・だれ・なに・なぜ・どんな

いわゆる5W1Hですね。
ただし子どもに「5W1H」なんて言いません。
「いつ・どこ・だれ・なに・なぜ・どんな」
この6つを、そのまま紙に書いて視覚化します。

でも、ただ黙って私が書くわけではありません。
書く前に、必ず聞きます。
「質問のコツは何ですか?」と。
そして、子どもに質問のコツを言わせます。

言えたら、褒めながらそのまま書く。
言えなかったら、待ちます。
それでも出てこない、あるいは「分かりません」と自発できたときは、最初の一文字だけ書きます。

「い…」
「…いつ!」
私「正解!👏」

一文字だけ見せると、ほぼ全員が気付きますね☝️
全部教えてしまうと、子どもは思い出す機会を失います。
でも一文字あれば、自分で思い出せる
思い出せたら、褒められる。
ここが大事なんです。
その子の主体性を重視するからこその関わり方です。

ねこもみじ
ねこもみじ

答えを教えるのは、いつでもできます。
でも「自分で言えた」は、その場でしか作れません✨️

思いつかないときの手立て──4段階で支える

会話の途中で、子どもが止まることがあります。
次の質問が思いつかない。
そんなときは、いきなり答えを言いません。
段階的に関わります。

①質問のコツを、紙で見える所に置いておく
②止まったら、紙全体を指し示す
③それでも出なければ、コツの1つを指す(例:「なぜ」をコンコンと軽くたたく)
④それでも難しければ、私がモデルを示してから言わせる

①→④の順で、少しずつ支援していく。
逆に言うと、①で済むなら、①で終わり。
いきなり④をやらない。

③の「コンコン」は、紙を指で軽くたたきます。
言葉で「なぜって聞いてみたら?」と言うより、指でコンコンの方が子どもは自分で気づけるから。
なるべく私たちの言葉が少ないほうが、子どもの主体性が残るんです。

答える側にも、手を入れる

会話は、質問だけでは成り立ちません。
答える側にも指導が要ります。

とくに、前回挙げたような「単語でしか答えられない」子。
(聞かれたことに端的に答える力は、「読み取ろう」の指導とも重なります)
放っておくと、こうなります。

「昨日は何をしましたか?」
「サッカー」
「……」

会話、終わってしまいますよね😅
なので、こう関わります。

私「…です」
→ 子ども「サッカーです」

私「うん、ではなくて、はいです」
→ 子ども「はい」

文末を、最後まで言い切らせる。
「うん」を「はい」に直す。
地味です。
地味だね笑
でも、これを続けると正しい答え方の型を身につけさせることができます。

なぜ、丁寧語でやるのか

お気づきかもしれませんが、この指導は丁寧語でやっています。
「サッカーです」とか「はい」とか。
タメ口ではありません。

なぜか?
理由は2つあります。

  • 会話に「順番」があると意識しやすい(丁寧語だと、話す番・聞く番がはっきりする)
  • 雑談ではなく「練習」だと分かる(今は指導の時間だ、と切り替わる)

ただ、この丁寧語には、正直に書いておきたいことがあります。
効果が出るところと、そうでないところ。
その話は、記事の後半でします。

時間は、だいたい2分

1回の会話は、だいたい2分です。
ただし、その子によって変えます。

  • 慣れていない子:長め。答えるまでに時間がかかるかもしれないので、待てる余裕をとる
  • 慣れてきた子:1分半くらい。他の指導パーツとの兼ね合いもあるので、短くテンポよく

45分をどう組み立てるかは、実際の指導編②(45分をパーツで組み立てる)で書いた通り。
おしゃべりも、その中の1パーツです。
長くやればいいというものではありません。

振り返りは、しない

2分たったら、どうするか。
私は、こう言うだけです。

「よし、交代!」

それだけ?
はい、それだけです。

「今の会話、どうだった?」
「どこがよかったと思う?」
……こういう振り返りは、ここではやりません。

なぜか。
テンポが崩れるからです。
会話の練習は、リズムが大事。
毎回振り返りを求められても、子どもからしたら正直めんどくさいですからね笑

振り返って考えさせたいなら、ワークシートの方が向いています。
役割が違うんです。

変化のサイン

続けていると、こんな姿が見えてきます。

  • 単語ではなく、文で答えるようになる
  • 答えるまでの時間が短くなる
  • 自分から質問を思いつけるようになる
  • 会話がスムーズになり、こちらが「早く答えて」と待つストレスがなくなる
  • 「うーん…」と考え込む様子が減る

特に最後の2つは、指導している側がはっきり体感できます。
以前は待っていた。
今は待っていない。
この差は、間違いなく分かります。

正直に言うと──般化の話

ここは、正直に書きます。

この指導は丁寧語でやっています。
効果はあります。
でも、学級で友だちと話すときは、タメ口がほとんどですよね。

だから「友だちとの会話に、完璧に般化しているか?」と問われると……
正直、効果が見えにくい部分はあると思います。

ただし。
対大人に関しては、100%効果が出ます。
これは断言します。
先生に話しかけられたとき、質問されたとき。
単語で返さず、文で、丁寧に答えられる。
これは学校生活の中で、確実に役に立ちます。

般化をどう捉えるかは、「気持ち」の指導①(SSTと般化)でも書きました。
できることと、難しいこと。
分けて把握しておく。
それが、通級担当の仕事です。

よくある質問

Q. 子どもが質問者のとき、私はどう答えればいいですか?

普通に、正直に答えてOKです。
会話は楽しいですから笑
ただし、こちらも丁寧語で、文で答えます。
大人の答え方が、そのままモデルになりますから。

Q. 会話が途切れて、沈黙になったら?

待ちます。
それから、さっきの4段階(紙を指す→1つ指す→モデルを示す)の関わりを行います。
沈黙を怖がって大人が喋ってしまうと、子どもが考える機会を奪ってしまいます。

Q. ワークシート編(前回)は、やらなくてもいいですか?

その子によります。
いきなり実際の会話でいける子もいますし、まず紙で型を増やしたほうがいい子もいます。
両方を並行する子もいます。
目の前のその子の実態で決めてください。

まとめ

  • 質問者と回答者に分かれ、約2分回して「よし、交代!」
  • まず大人が質問者をやって、モデルを示す
  • 質問のコツ「いつ・どこ・だれ・なに・なぜ・どんな」は、書く前に子どもに言わせる(言えなければ一文字ヒント)
  • 止まったときは4段階で支える(紙→全体を指す→1つ指す→モデル)
  • 答える側も文末まで言い切らせる。「うん」は「はい」に
  • 振り返りはしない。テンポで回す

会話の指導は、派手ではありません。
2分の会話を、ただ淡々と継続して行うだけ。
でも、その2分の積み重ねがいつか教室で効いてきます。

先生に話しかけられて、単語じゃなく文で答えられた。
そんな小さな一場面が、その子の学校生活を少し楽にしていきますよ☝️

大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊

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