こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂
今回から、通級の「気持ち」の指導に入ります。
自立活動のど真ん中。
と言っても過言ではないでしょう。
通級で指導している先生も、多いと思います。
あなたもそうですか?
ただ、いきなり「気持ち」指導の中身に入る前に、どうしても書いておきたいことがあります。
「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」という言葉と、般化=学級適応の話です。
ここを飛ばして教材や進め方だけ紹介しても、たぶん意味がない。
だから今回は、私がこの領域をどう捉えているかを熱量高く書きます。
正直に、一生懸命。
あなたは、こんなことを感じたことはありませんか?
- 通級でSSTをやっているけれど、これで合っているのか分からない
- 教えたことが、学級で全然使えていない気がする
- そもそも「SST」って、どこまでやればSSTなんだろう?
本記事を読むことで、
通級の「気持ち」の指導で、いちばん大事にすべきことは何か?
が分かります。
結論から言います。
私の基準は、子どもの行動ベースで、般化=学級適応が起きているかどうか。
この一点です。
通級指導が効果的だったかどうかを判断できるのは、これしかない。
「通級行くの楽しい!」
「先生が優しい・おもしろい!」
目の前の子どもに言われたら、嬉しいですよね?
それは私も同じです。それは認めます。
でも。
それで満足してたらダメです。
安心できる大人と一対一で静かな環境。
こんな通級という環境で「楽しい」と感じるのは、強めの表現になりますが、「当たり前」です。
これは判断基準にならない。
では、なぜそう言い切るのか。
SSTの話から始めます。
まず、SSTの「正式な手続き」を確認します
SST(ソーシャルスキルトレーニング)には、確立された手続きがあります。
一般的には、この5つの段階です。
- 教示……そのスキルが必要な理由、身につけるとどうなるかを伝える
- モデリング……お手本を見せる(悪い例を見せて考えさせることも)
- リハーサル……ロールプレイなどで実際にやってみる
- フィードバック……できたら褒める、うまくいかなければどうすればよかったか伝える
- 般化……学んだことを、実際の場面で使えるようにする
(※興味がある方は、LITALICOジュニア、LITALICO発達ナビなどで、SSTの記事を読んでみてください)
あなたは、安易にSSTって用語を使っていませんか?
確立された手続きがあるって知ってましたか?
さらには、この手続きで指導していますか?
まずここを、正確に知っておく必要があると思っています。
正直に言うと、モヤモヤしています
通級の世界では、「SST」という言葉がとても気軽に使われている印象があります。
(※あくまでも個人的な印象です)
「こんな時はこう言えばいいよね」→「よし、言ってみよう!」→「はい、SSTです」。
「コミュニケーションのとり方を教えました」→「はい、SSTです」。
……こういうケース、多くないですか?
これは、私だけが感じていることなのでしょうか?
安易なSSTを聞いた時、私はこんな風に感じています。
「正式な手続きを知ったうえで「SST」と言っているのかな。」
「そのSSTで、どんな学級適応が見られたのかな。」

ちょっと言いすぎかもしれません。
でも、ここは譲れないところなんです。
念のため書いておくと、私が引っかかっているのは、指導そのものや、教材や、学ぶことではありません。
教材を知ることも、勉強することも、資格を取ることも、絶対に大事です。
私が引っかかるのは、そこで話が終わってしまうこと。
「こんな指導をしています」「この教材がいいです」「これだけ勉強しました」「資格を持っています」——。
で…?
と思うのが正直なところです。
指導・教材・勉強・資格自体が目的になって、肝心の子どもがどうなったかが語られない。
そこが、どうしても気になるんです。
私が「SSTをやっています」と名乗らない理由
私自身の指導経験で言うと、教示→モデリング→リハーサル→フィードバックまでは、できます。
通級という環境で、大人の私が相手なら、成立するんです。
でも、最後の般化。
ここが、圧倒的に難しい。
とんでもなく難しい。
学級は、子ども同士の生々しいコミュニケーションの連続です。
とっさの場面。
感情が動く場面。
大人が横にいない場面。
そこで、通級で練習したことを使えるかというと……これは、かなり困難さが高い。

大人が横にいれば、できるんです。
でも、それって学級適応と言えるんでしょうか?
般化まで届かないと、その指導は結局、通級の場でだけの、大人に対する、ちょっとした“茶番”になってしまう。
私は、そう感じています。
だから私は、「SSTをやっています」と、軽々しくは言いません。
正式な手続きがあるものを、自分の実践に置き換えて言うことは違うと思うからです。
このブログで書いていくのは、あくまで「私が考える、気持ちの指導」。
個人の実践として、そう捉えてもらえたら嬉しいです。
そのうえで、はっきり言います。
般化が難しいからこそ、「これは、この子が学級で使えるのか?」を意識してやるかどうかで、結果にものすごい差が出ます。
通級は般化のゴールではなく、スタート地点。
そう考えると、意識ややることが変わってきます。
般化のために、私が実際にやっていること
では、どうやって般化=学級適応につなげるのか。
私がやっているのは、シンプルです。
担任との情報共有。
これに尽きます。
指導日の放課後に、担任と情報共有をします。
その日が無理なら、次の指導日までには必ず。
そして、ここが大事なところ。

口頭だけの情報共有は、絶対にやりません。
理由は2つあります。
1️⃣口頭だけだと、共有した内容がブレるから。
2️⃣ただの愚痴の言い合いになりかねないから。
「あの子、大変ですよね〜」「ほんとほんと」で終わってしまう時間には、(般化という視点では)意味がありません。
だから私は、指導記録をもとに話します。
その指導記録には、子どもの様子だけでなくこんなことを書いておきます。
- ① 学級では、どんな様子ですか?
- ② 〇〇といった言動はありませんか?
- ③ 仮に〇〇が見られたら、△△の声かけや褒めを続けていきましょう
- ④ ▢▢といった関わりが効果的だと思います
つまり、担任への「問い」と「提案」まで書いておくんです。
これがあると、共有が具体的になります。
学級で何を見てもらうか、何が起きたらどう関わってもらうか、がはっきりする。
やるべきことが分かると、多くの担任の先生方はやってくれます。
これが、般化への橋渡しになります。
保護者に対しては、少しやり方が変わりました。
以前は、手紙のやりとりで支援方法をがっつり伝えて、家庭での支援実行を促していました。
でも…同じ熱量で伝えても、実行できるかどうかには、かなりの差があります。
これが現実です。
3000回以上、保護者と手紙のやりとりをしてきた私の経験から、明確に伝えられます。
正直、家庭での支援の実行に迷惑に感じていた保護者もいたと思います。
だから今は、定期面談で、丁寧めに伝える方法にしています。
(※定期面談って何?とか、定期面談はどうやって進めるの?などについては、今後紹介していく予定です)
話が通じるなと感じたら情報を多めに、質問があれば丁寧に。
今は、相手に合わせて調整しています。
般化が見えたときのサイン
担任との共有を続けていると、変化が出てきます。
私がいちばんよく聞くのは、「適切な行動が増えた」「見られるようになった」という担任からの報告です。
- 静かに話を聞いている
- 友だちへの声かけが優しくなった
- しつこく関わることが減り、ちょっかいがなくなった
- ケンカや言い合いがなくなった
- トラブルの後に指導しても、素直に謝れるようになった
- 自分の非を、素直に認められるようになった
- 先生や友だちの表情に気づいて(空気を読んで)動けるようになった
- 授業や行事で、ふざけがなくなり、適切に行動できている
こういう報告が返ってきたとき、「あ、学級で効果が出てきたな」と実感します。
これが、私にとっての「指導が効果的だった」の中身です。
終了の判断も、ここで決めます。
学級での様子が、一番の判断基準。
学級適応が高まってきて、関係者(担任や保護者など)が「気持ちの指導は優先順位が低いね」「もう必要ないね」と判断できたら、終了です。
指導の基本(時間と組み立て)
具体的な進め方は次回以降にゆずりますが、基本だけ書いておきます。
1回の指導は、10分程度。
慣れていない子だと15分くらいかかることもありますし、慣れてくると7分くらいで終わります。
そして当然ですが、45分すべてを気持ちの指導にすることはありません。
実際の指導編①(組み合わせて・並行して)のとおり、私の通級指導は指導パーツの組み合わせ。
気持ちも、あくまでパーツの1つとして組み込みます。
対象になるのは、担任や保護者から、こんなエピソードが出てきた子です。
学級でトラブルになる、友だちとうまく関われない、授業中に困る行動がある、感情のコントロールが難しい……。
そういう話が出てきたら、気持ちの指導を検討します。
よくある質問(FAQ)
Q. SSTという言葉を使ってはいけないんですか?
そんなことはありません。
私が言いたいのは、正式な手続きがあることを知ったうえで使いたいね、ということだけです。
そして、使うのであれば、般化=学級適応まで問いたい。
そこがセットだと思っています。
Q. 般化が難しいなら、通級での指導は意味がないのでは?
いいえ、逆です。
難しいからこそ、「学級で使えるか」を意識してやるかどうかで差が出ます。
通級は般化のゴールではなく、スタート地点。
そう捉えると、担任との共有も、指導の組み立ても変わってきます。
Q. 担任との共有、時間がなくてなかなかできません…。
分かります。
放課後はバタバタですよね。
だからこそ、指導記録に「問い」と「提案」まで書いておくんです。
記録があれば、短い時間でも共有は成立します。
口頭だけのコミュニケーションは視覚的に残りません。
ということは、忘れてしまう、ということです。
だからこそ、指導記録が大切です。
まとめ
- SSTには正式な手続きがある(教示→モデリング→リハーサル→フィードバック→般化)。
まずそれを正しく知っておきたい - 通級では「SST」が気軽に使われがち。
私は正式な手続きを自分の実践に置き換えて名乗ることはせず、「私が考える、気持ちの指導」として書く - 教示〜フィードバックは通級でできる。
最難関は般化=学級適応。ここが抜けると、大人相手の“茶番”になってしまう - 通級指導が効果的だったかを判定できるのは、子どもの行動ベースで、般化=学級適応が見られているか。この一点のみ
- 般化を高める方法=指導記録をもとにした担任との共有(口頭だけは絶対にしない/記録に「問い」と「提案」を書く)。
保護者へは定期面談で相手に合わせて - 1回10分程度。45分は必ずパーツの組み合わせ。終了は学級での様子で判断
最後に、私の本音を書かせてください。この記事でいちばん伝えたいことは、実はこれです。
指導記録、作りましょう。
指導記録を作るという行為は、自分の指導を振り返るという行為そのものです。
1日に3人指導したとして指導記録を作るには、慣れていなければ1人20分、3人で1時間くらいかかるでしょう。
でも考えてみてください。
毎日1時間、自分の指導を振り返っているんです。
いい教材ないかな〜ってネットサーフィンやSNSで検索したり、同僚とおしゃべりしたりする1時間と、自分の指導を振り返る1時間。
どちらが通級担当のあなたにとって重要ですか?
こういう振り返りを毎日続けていたら、そりゃあ、指導の腕は上がります。
指導の精度も高くなっていきます。
遠回りに見えて、これがいちばんの近道だと私は思っています。
そして、その指導記録が担任との情報共有を支えて、般化=学級適応につながっていく。
つながっていく、というか、つなげていくんです。
目の前のその子の学級での姿を変えられるのは、指導記録を書いて、担任と情報共有できる、通級担当のあなたしかいない。
と言っても、言い過ぎではないでしょう。
大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊
📖 実際の指導編シリーズ
- ① 指導をひとつに絞らない理由と考え方
- ② 45分を“指導パーツ”で組み立てる
- ③ 「目の運動」対面トレ編
- ④ 「目の運動」プリント編
- ⑤ 「運動」体幹・バランスから体育へ
- ⑥ 「手の運動」巧緻性・運筆・道具操作
- ⑦ 「音読」たくさん読ませる前にやること
- ⑧ 「言葉のきまり」特殊音節の指導
- ⑨ 「文字(仮名)」平仮名・カタカナを書かせず覚える
- ⑩ 「読み取ろう(読解)」聞かれたことに端的に答える
- ⑪ 「作文」5W1Hで文章を組み立てる
- ⑫ 「漢字」①読み・意味編
- ⑬ 「漢字」②形・書き編
- ⑭ 「漢字」③使い分け編
- ⑮ 「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる
- ⑯ 「ことわざ・慣用句」教える/教えないの線引き
- ⑰ 「スピーチ」結論→理由→まとめで話す
- ⑱ 「気持ち・社会性」SSTと般化の話
- ⑲ 「気持ち」ワークシート1枚の進め方
📚 関連記事
- 指導の考え方(組み合わせて・並行して)→「通級指導は「組み合わせて・並行して」【実際の指導編①】」
- シリーズの全体像 →「通級の「実際の指導」とは?【実際の指導編・完全ガイド】」
- 自立活動って何をする? →「通級指導教室の「自立活動」とは?」
- 筆者について →「プロフィール」



コメント