通級の「言葉のイメージ」指導|言葉と言葉をつないで、「要するに」が言えるように【実際の指導編㉖】

実際の指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

今は夏季休業。
とは言えど、研修や出張などがまぁまぁあるのは私だけ⋯💦?
とは言っても、普段よりは時間がとれて、ストレスも少なくて、ほんといい時期ですよね〜✨️
年次休暇も取りやすいし。
教員やってて良かったな〜と思う1つではありますよね、夏季休業笑

さて、前回は「言葉(語彙)」の指導でした。
プリント3枚で7〜10分。
子どもには鉛筆を持たせず、考えることだけに力を使わせる。
そういう話でした。

今回は、その延長というか、近くにある指導です。
指導パーツ名は「言葉のイメージ」。
語彙とセットで考えてもいいかもしれない指導パーツですよ☝️

本記事を読むことで、

通級で「言葉のイメージ」を、どう指導すればいいのか?

が分かります。

結論から言うと、語彙が「言葉を増やす」なら、言葉のイメージは「言葉と言葉をつなぐ」指導です。
教材は2つ。
1回3〜7分。
そして今回は、子どもが自分で書きます。

では、内容に入っていきましょう☝️

語彙と何が違うのか──「増やす」と「つなぐ」

まず、ここをはっきりさせておきます。
名前が似ているので、混ざりやすいんです。
(※名前を考えたのは私なので、もっと違う名前にしてもいいわけですが笑)

言葉(語彙) = 語彙を増やす指導
言葉のイメージ = 言葉どうしの関連を高め、概念形成を高める指導

「りんご」「みかん」「バナナ」を知っている。
これが語彙です。

その3つが「果物」という仲間だと分かる。
これが概念です。

言葉をたくさん知っていても、それが脳内でバラバラに格納されているだけだと、うまく使えません。
つなげて、まとめて、引き出せるようにする。
それが今回の指導「言葉のイメージ」です。

ねこもみじ
ねこもみじ

言葉を「集める」のと、「整理する」のは別の作業ですよね。
だから、指導パーツも別なんです。

ちなみに、「言葉」と「言葉のイメージ」の指導を同じ子にやることはあります。
また、週2回の頻度の子なら、日を分けて指導することもあります。
◯曜日は「言葉」を、◯曜日は「言葉のイメージ」を、みたいに。
このあたりは実際の指導編②(45分を“指導パーツ”で組み立てる)で書いた考え方の通りです。

こんな実態があるなら、この指導を入れます

私が「言葉のイメージ、入れよう」と判断するのは、こんな実態があるときです。

  • 「〜の仲間」が答えられない(りんご・みかん → 果物、が出てこない)
  • 感想を聞かれると固まる(「運動会どうだった?」に答えられない)
  • 「要するに」「つまり」でまとめられない
  • 国語の「まとめましょう」「要約しましょう」で手が止まる
  • 物の名前は言えるが、それが何に使うものか説明できない
  • 話が具体的なことばかりで、抽象的な話についていけない

要約って、バラバラの情報をまとめて上位の言葉に置き換える作業です。
概念の力そのものです。
難しいんですよ💦
でも、「言葉のイメージ」の指導を通級でやっている先生、少ないんじゃないかなぁ。
やってますか? あなたは。
大事な指導なんだけど、変化が目に見えにくいから、指導の目的や効果を周りに実感してもらいにくいんだよなぁ💦

使う教材は2つ

今回も、教材は2つだけです。
ここは語彙のときと同じですね。

使っているのは、この2つ。

  • 「ことばの分類ワークシート」(コロロ発達療育センター 編)
    もののなまえ・ことばの概念をスモールステップで
  • 「ことばのネットワーク」(ことばのテーブル 100枚プリント 第19集)
    言葉と言葉をつないで広げていく

それぞれの中身や「なぜこの2つなのか」は、WISC:VCI(言語理解)の「類似」が低い子への通級指導|オススメ教材2選【VCI編⑤】に書いています。
今回は「どう使うか」に絞りますね。

ちなみに「ことばの分類ワークシート」には、切り取って使える分類カードが付いています。
ただ、私は使っていません。
プリントだけで十分足りるからです。
付録を全部使わないといけない、なんてことはないですからね😁

順番と、並行のさせ方

2つの教材、いきなり両方は使いません。
私の場合はこの順です。

①「ことばの分類ワークシート」の、難易度が低い方から始める
②半分くらい指導し終えたら、「ことばのネットワーク」の難易度が低いものを並行して始める

なぜ分類ワークシートからか。
簡単だからです
また、1冊終わってから次ではありません。
半分くらいで、並行させる。
片方が易しくなってきた頃に、もう片方の易しいものを足していくイメージです。

ねこもみじ
ねこもみじ

1冊を全部終わらせてから次、じゃなくていいんです。
重ねる時期を作ると、難易度がなだらかになりますよ☝️

進め方──1回3〜7分。枚数は決めません

1回の指導は、3〜7分くらい。
そして、枚数は決めていません。
ここが語彙の指導と違うところです。

というのも、1枚あたりの重さが全然違うからです。

  • 難易度が高ければ、見開き1枚で終わることもある
  • 難易度が低ければ、10枚くらいやることもある

同じ3〜7分でも、これだけ幅が出ます。
だから「1回◯枚」と決めない。
時間で区切って、進んだところまで。
目の前のその子の実態に応じる。
いつもいつもいつもお伝えしていることですね🙂

今回は、子どもが書きます

前回の語彙の指導では、子どもに鉛筆を持たせませんでした。
書くのも線を結ぶのも、全部私がやる。
ワーキングメモリーの力を、考えることに全部使わせたかったからです。

今回は、逆です。
基本、子どもが書きます。

なぜか?
思考を伴うからです。

語彙の教材は、答えを書いたり線を結んだりする量が多い。
だから私が引き受ける。
でも、言葉のイメージの内容は「〇〇と△△⋯似ているところは⋯」とか「文房具といえば⋯」とか思考が伴う。
そして思考を伴って書く作業は、学級での授業そのもの。
だから、子どもに書かせることを基本にしています。

間違えたとき──「ん…?」。ただし例外あり

間違えたときの関わり方は、基本的に「言葉」の指導と同じです。

私「ん…? 何か気付きますか?」
→ 子どもが気付けたら、褒める

答えは言わない。
気付かせる。
自分で気付けたほうが、残りますからね。

ただし、今回は例外があります。

この指導では、その子が知らない言葉が出てくることがあるんです。
「あわだてき」とか。
知らない言葉は、どれだけ「ん…?」と言っても気付けません。
当たり前ですよね。

そういうときは、解説します。
知らないことを「考えろ」と言うのは、指導ではないですからね😆

知っているのに引き出せていないのか。
そもそも知らないのか。
この2つを見分けるのは大事ですね☝️
(知らない言葉を調べる指導は、実際の指導編⑮(「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる)で書いた通りです)

変化のサイン

続けていると、指導中にこんな変化が見えてきます。

  • 悩む時間が減る
  • 1回目で正答できる頻度が増える
  • 「白いものは?」などで、思いつける内容が増える
  • 見た目のことだけでなく、「楽しい」「重い」といった表現が出てくる

私が一番「お、きたな」と思うのは、最後のやつです。

最初は、目に見えることしか出てきません。
「白い」「丸い」「大きい」。
それが続けていくと、「楽しい」「重い」などが出てくる。

目に見えないものを理解し始めた=概念が形成され始めた、ということです。
これは大きい変化ですよ✨️

正直に言うと──概念は、目に見えない

概念って、目には見えませんよね?
だから、難しいことがあります。

どこまで指導したら「終了」とするのか。
どうなったら学級適応が高まったと言えるのか。
この判断が、しにくいんです。

語彙の指導と同じですね。
「増えました!」「つながりました!」と、目に見える形で示せない。

じゃあ、私が実際に何で判断しているか。
担任や保護者が「この指導の優先順位は高くないな」と判断したときです。
そこが、優先度を下げるタイミングになります。

正直、スッキリした基準ではありません。
でも、目に見えないものを扱っている以上、ここは仕方ないと思っています。

よくある質問(FAQ)

Q. 語彙の指導と、どちらを先にやるべきですか?

その子の実態によります。
ずーーーっと言い続けていることですね笑

ただ、両方入れることはよくあります。
どちらかを終わらせてから、という考え方はしていません。
知っている言葉が極端に少ないなら語彙から、言葉は知っているのに使えていないならイメージから。
そんな見立てで決めています。

Q. 3〜7分では短すぎませんか?

短くていいです。
45分をこの指導だけで埋める、なんてバカなことはしちゃいけませんよ笑

短いパーツを組み合わせるのが通級の45分です。
それに、集中して取り組める長さで区切ったほうが、次も気持ちよく始められます。

Q. 学年はどう決めればいいですか?

この教材には学年の表記がありません。
だから、難易度で選びます。

目安は「簡単すぎるかな?」と感じるくらい。
そこから始めて、悩む時間が減ってきたら1段上げる。
学年ではなく、目の前のその子の反応で決めるということです☝️

まとめ

  • 語彙=言葉を増やす/言葉のイメージ=言葉と言葉をつなぐ。同じ子に両方入れるが、パーツは別
  • 教材は2つ。
    分類ワークシートの易しい方から始め、半分ほどで「ことばのネットワーク」を並行させる
  • 1回3〜7分。枚数は決めない(見開き1枚のときも、10枚のときもある)
  • 今回は子どもが書く。思考を伴うから
  • 間違えたら「ん…?」。ただし知らない言葉なら解説する

語彙も、言葉のイメージも、目には見えません。
だから、周りから評価されにくい指導パーツです。
「学級でどんな変化があるんですか?」と聞かれて、明確に関連を示しづらい。
そういう指導です。

でも、断言します。
この2つの力は、教科学習に取り組むときにとても重要な力です。
読むにも、書くにも、考えるにも、全部使いますから。

ねこもみじ
ねこもみじ

評価されにくい指導であっても、コツコツを積み重ねられる。
それができるのが、通級担当の専門性だと思っています🙂

半年、1年とコツコツ続ければ、目の前のその子は必ず変わっていきます。
これは、私の経験から言い切れますよ☝️

大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊

📖 実際の指導編シリーズ

  1. ① 指導をひとつに絞らない理由と考え方
  2. ② 45分を“指導パーツ”で組み立てる
  3. ③ 「目の運動」対面トレ編
  4. ④ 「目の運動」プリント編
  5. ⑤ 「運動」体幹・バランスから体育へ
  6. ⑥ 「手の運動」巧緻性・運筆・道具操作
  7. ⑦ 「音読」たくさん読ませる前にやること
  8. ⑧ 「言葉のきまり」特殊音節の指導
  9. ⑨ 「文字(仮名)」平仮名・カタカナを書かせず覚える
  10. ⑩ 「読み取ろう(読解)」聞かれたことに端的に答える
  11. ⑪ 「作文」5W1Hで文章を組み立てる
  12. ⑫ 「漢字」①読み・意味編
  13. ⑬ 「漢字」②形・書き編
  14. ⑭ 「漢字」③使い分け編
  15. ⑮ 「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる
  16. ⑯ 「ことわざ・慣用句」教える/教えないの線引き
  17. ⑰ 「スピーチ」結論→理由→まとめで話す
  18. ⑱ 「気持ち・社会性」SSTと般化の話
  19. ⑲ 「気持ち」ワークシート1枚の進め方
  20. ⑳ 「気持ち」ワークシート②「どこが」と「なぜ」
  21. ㉑ 「気持ち」絵カード編(教材の話)
  22. ㉒ 「気持ち」絵カード3枚の進め方
  23. ㉓ 「おしゃべり」①ワークシート編
  24. ㉔ 「おしゃべり」②実会話編
  25. ㉕ 「言葉(語彙)」プリント3枚で語彙を増やす
  26. ㉖ 「言葉のイメージ」言葉と言葉をつないで概念を育てる(この記事)

困りごとから探す(逆引き)WISC完全ガイド実際の指導編・完全ガイド

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