こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂
「気持ち」指導も最後の記事になりました。
個人的には、この「気持ち」指導、とっても大事な指導だと考えています。
というのも、10年以上の通級担当の経験を振り返ってみると、この「気持ち」指導が上手くなればなるほど、その子の学級適応を高めることができているからです。
もちろん。
気持ち指導「だけ」では不可能です。
WISCなどの知能検査や行動観察などのアセスメントをし、指導パーツで45分間を組み立てて、試行錯誤しながら実際に指導し、ブラッシュアップし続けていくことで、的確な指導の精度を高める。
この努力やPDCAがあってこそ、の前提ではありますが。
とはいえ、気持ち指導が上手くなればなるほど、目の前のその子が変容していく。
これは私の経験上、間違いないです。
嬉しいですよ〜、目の前のその子が目に見えて変容していくのを見るのは✨️
こんな思いを少しでもあなたに感じてほしくて、気持ち指導の記事は今まで以上に気合いを入れて書きました。
少しでもあなたの役に立ったとしたら嬉しいです🙂
さて。
前回の実際の指導編㉑(連続絵カードは、ワークシートの次の段階)では、どんな教材で、どの子に使うのかを書きました。
今回は、その続きです。
3枚のカードを、実際にどう進めるのか。
私の実際の指示や質問を、そのまま公開します。
本記事を読むことで、
3枚セットの連続絵カードを、どう進めるのか?
が分かります。
結論から言います。
私がやっているのは、分解と再統合です。
1つの状況を1文ずつに分解して言わせる。
セリフと表情と理由を、登場人物ごとに取り出す。
そのうえで最後に、それらをもう一度つなぎ直して「どうすれば良かったか」を考えさせる。
どういうことか?
では、順番に見ていきましょう!
今回使う3枚(再現図)
🖼 連続絵カード(再現図・3枚セット)

1枚目|発端

2枚目|トラブル

3枚目|その後。男の子の吹き出しは空白
進め方① 1枚目「状況を説明してください」
では、1枚目です。

私はこう教示します。

「状況を説明してください」
または、
「様子を説明してください」
子どもが何か言います。
言ったら、こう返します。

「うん、そうだね。
他には?」
これをくり返します。
そして、ここがこの指導でいちばん大事なところです。
1つの状況を、1文で説明させる。
たとえば、こんな説明はNGです。

「男の子がいて、なわとびがあって、たぶんなわとびがしたくて、『これ、いいな』って言ってる」
だらだらと繋がっていますよね。
これを、こう切らせます。
- 「男の子が います」
- 「なわとびが あります」
- 「『これ、いいな』と 言っています」
- 「表情は うれしそうです」
1文ずつ。
なぜ、1つの状況を1文で説明させる必要があるのか?
1つ1つの状況を分解できるようにするためです。
まとめて話している間は、その子の中でも状況がひとかたまりのままです。
分解できてはじめて、「誰が」「何を言って」「どんな顔をしていて」「なぜそうしたのか」を、別々に扱えるようになるんです☝️
だいたい説明し尽くしたな、というところまで来たら、2枚目へ進みます。
進め方② 「なんて言ってる?」「どんな表情?」「なんで?」
2枚目は、トラブルの場面です。

ここでは、私が問いを重ねます。
そして、その問いには決まった順番があります。
セリフ → 表情 → なぜ?
これを、登場人物ごとにくり返す。
実際はこんな感じ。

「男の子は何て言ってる?」

「なわとび、したかったんだ」

「どんな表情?」

「うれしそう」

「なんで?」

「なわとびが できるから」
ここまでで、男の子が終わりです。
続けて、女の子。

「女の子は何て言ってる?」

「それ、わたしのなわとび。返して」

「どんな表情?」

「怒ってる」

「なんで?」

「なわとびを とられたから」
この「どんな表情?」→「なんで?」が、このやりとりのポイントです💡
表情を答えさせて、そのまま理由を聞く。
つまり、感情理解と状況理解を、その場で関連付けているんです。
「怒っている」という表情だけ分かっても、なぜ怒っているのかが分からなければ、学級での変容につながりません。
逆に、状況だけ説明できても、相手がどんな顔をしていたかを見ていなければ、やっぱり学級での変容につながりません。
この2つを、毎回セットで関連付けます。
そして、両方が終わったら、こう聞きます。

「このままだと、この2人、どうなりそう?」

「ケンカになる」

「だよね〜。先生もそう思う」
ここで先の見通しを立てさせて、共感します。
もうひとつ、2枚目のやりとりで大事なことがあります。
両方の言い分を言わせている、ということ。
なわとびを持っていった男の子にも、言い分があります。
なわとびを取られた女の子にも、当然あります。
どちらも悪者にしない。
それぞれの状況や立場や感情を整理したうえで理解する。
学級でトラブルが起きた時、これができるとほんと指導がしやすいですよね☝️
進め方③ 3枚目の前に、もう一度1枚目を見せる
2枚目が終わったら、すぐ3枚目……ではありません。
私は、もう一度1枚目を出します。


「でもさ、男の子はなわとびが したかったんだよ。
じゃあ、こういう時……」
そう言いながら、3枚目を出します。

なぜ、わざわざ1枚目に戻るのか。
男の子の思いや行動を否定しないまま次へ進みたいからです。
「なわとびがしたかった」。
その気持ち自体は、悪いことではありません。
そこを否定してしまうと、この後の「どうすれば良かった?」が、「悪いことをしたから反省しなさい」に変わってしまいます。
そうなったら、気持ちの指導はただの説教になってしまいます💦
やりたかった気持ちは、そのまま。
やり方だけを考える。
そのための、ひと手間が「1枚目に戻る」です。
進め方④ 3枚目「どう考えれば良かった?」
最後に3枚目です。

「じゃあ、男の子はどう考えれば良かった?」
(※カードによっては、どうすれば良かった?/どう言えば良かった?もOKです)
ここが、再統合です。
1枚目で分解した状況。
2枚目で取り出した、セリフと表情と理由。
それを全部つなぎ直して、「じゃあ、どうすれば良かったのか」を、その子自身の言葉で言わせます。
子どもが答えます。
妥当なら、そのまま受けます。

「そうだよね〜」
ズレていたら、こう返します。

「う〜ん……。他にはある?」
否定はしません。
とぼけた感じで問い返します。
そのうえで言えたら、しっかり褒めます。
それでも、どうしても言えなかった場合。
その時は、私がモデルを示します。
「例えば…〇〇って考えたらいいよ(※言えばいいよ)」と、実際にモデルを示す。
そして、その後で子どもに言わせます。

言えないまま終わらせません。
見せて、真似させて、言えたら褒める。
「上手だね〜!OKOK!」などと、気持ちよく指導を終えたいですね。
2周目は「ズバッと答えましょう」
ここまでが1周目の指導です。
子どもの実態によりますが、子どもによっては2周目に入る場合もあります。
2周目は、進め方が変わります。
まず、3枚すべてを机の上に並べます。
そして、1枚目と2枚目を指し示して、こう言います。

「何が良くないですか?
ズバッと答えましょう」
ズバッと、というのは、本質だけを端的にという意味です。
1周目のように1文ずつ積み上げるのではなく、本質のみを端的に答えさせます。
答えられたら、3枚目を指し示して、

「じゃあ、どうすればいいですか?」
ここも、ズバッと答えさせます。

1周目は、分解する練習。
2周目は、分解したものを一瞬で組み立て直す練習。
同じカードでも、やっていることは違います。
担任との共有まで
指導を終えたら、担任との共有です。
私がやっているのは…
指導記録に、絵カードの写真を貼る。
そして、その記録を担任に見せながら説明する。
です。
(※これは、校内の指導記録に限った話です。教材の写真を、ブログやSNSなど校外に出す資料に使うことはできません。ここは分けて考えてください。
指導記録に画像データを貼れないとか、めんどくさいとかの場合は、絵カードを実際に見せながら説明してもいいと思います☝️

「こういうカードで、こう尋ねたら、この子はこう言いました」

「表情を聞いても答えられなかったんですよ。
ということは、今は相手の表情の意味を理解できていないかもしれませんね。
だとしたら、クラスではなかなかしんどいし、トラブルになっちゃいますよね〜」
言葉だけで「気持ちの指導をしました」と伝えても、担任には伝わりません。
「ふ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」で終わる笑
あなたも逆の立場だったらきっと「ふ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」だと思う笑
でも、実物を見せながらその子が何と答えたかを具体的に話す。
そして、学級でその子が困っていそうなこととか、起きそうなこととかを説明する。
ここまでやってはじめて、般化=学級適応に近づきます。
般化=学級適応の考え方は、実際の指導編⑱(気持ちの指導・SSTと般化の話)に詳しく書きました。
手応えと、終わり方
絵カードを続けていると、担任からこういう話が返ってきます。
- トラブルの後に、素直に謝れるようになった
- 自分の非を認められるようになった
- 相手の言い分や主張を、冷静に聞けるようになった
- しつこい関わり・ちょっかいが減った
- 相手の表情に気づいて動けるようになった
私の実感で言うと、1周目を終えた頃でも、学級適応は高まっています。
そして2周目を終える頃には、間違いなく学級適応は見られます。
終わり方は決めていませんが、関係者(担任・保護者・私)が「この指導の優先順位は低いかな」「もう大丈夫かな」と判断した時がそのタイミングかなと思います。
よくある質問(FAQ)
Q. 子どもがだらだら説明してしまいます
「長いです。短く言ってください」と説明し直してください。
そして、1文言えるたびに「うん、そうだね。いいね!他には?」と区切ります。
区切ってあげているうちに、子どもも自分で区切れるようになります。
分解できないと、後半の再統合ができません。
Q. 「どうすれば良かった?」に答えられなかったら?
私がモデルを示してから、言わせます。
答えられないまま「じゃあ次いこうか」で流すと、その子には何も残りません。
見せて、真似させて、言えたら褒める。
この順番です。
Q. 3枚目の空白の吹き出しは、どう使いますか?
まさに「どう考えれば良かった?」を尋ねるために使います。
セリフが書かれていないからこそ、その子の言葉が入る。
空白は、指導のための余白だと思っています。
Q. 2枚目で、片方の子だけを責めてしまいそうです
だから両方に同じ問いをします。
「なんて言ってる?」「どんな表情?」「なんで?」を、必ず登場人物ごとにくり返す。
順番を守るだけで、自然とどちらの言い分も出てきます。
まとめ
- 1枚目=「状況を説明してください」→「うん、そうだね。他には?」。
1つの状況を1文で(=分解) - 2枚目=セリフ→表情→なぜ を登場人物ごとに。
「どんな表情?」→「なんで?」で感情理解と状況理解を関連付ける - 2枚目の最後に「このままだとどうなりそう?」で見通しを立てさせて、共感する
- 両方の言い分を言わせる=どちらも悪者にしない
- 2枚目→3枚目の間に1枚目を再提示し、動機を否定しないまま進める
- 3枚目=空白の吹き出しを指して「どうすれば/どう考えれば良かった?」(=再統合)。
言えなければモデルを示してから言わせる - 2周目=3枚を並べて「ズバッと答えましょう」
- 担任に見せながら説明するまでが指導
絵カードは、正解を教える教材ではありません。
イラストしかない中から、その子が何を読み取り、何を読み落としているのかが見える教材です。
「表情を聞いても、答えられなかった」。
それが分かるだけで、学級での関わり方は変えられます。
気持ちの指導、奥が深いよ〜笑
でも、この指導を自信をもってできるようになる→あなたなりの手応えを感じる→目の前のその子の学級適応が実際に高まる。
こんなサイクルを生み出せたら、あなたの通級担当としての腕は間違いなく上がっていますよ✨️
大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊
📖 実際の指導編シリーズ
- ① 指導をひとつに絞らない理由と考え方
- ② 45分を“指導パーツ”で組み立てる
- ③ 「目の運動」対面トレ編
- ④ 「目の運動」プリント編
- ⑤ 「運動」体幹・バランスから体育へ
- ⑥ 「手の運動」巧緻性・運筆・道具操作
- ⑦ 「音読」たくさん読ませる前にやること
- ⑧ 「言葉のきまり」特殊音節の指導
- ⑨ 「文字(仮名)」平仮名・カタカナを書かせず覚える
- ⑩ 「読み取ろう(読解)」聞かれたことに端的に答える
- ⑪ 「作文」5W1Hで文章を組み立てる
- ⑫ 「漢字」①読み・意味編
- ⑬ 「漢字」②形・書き編
- ⑭ 「漢字」③使い分け編
- ⑮ 「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる
- ⑯ 「ことわざ・慣用句」教える/教えないの線引き
- ⑰ 「スピーチ」結論→理由→まとめで話す
- ⑱ 「気持ち・社会性」SSTと般化の話
- ⑲ 「気持ち」ワークシート1枚の進め方
- ⑳ 「気持ち」ワークシート②「どこが」と「なぜ」
- ㉑ 「気持ち」絵カード編(教材の話)
- ㉒ 「気持ち」絵カード3枚の進め方
📚 関連記事
- 教材の話(どんなカードで、どの子に使うか)→「通級の「気持ち」の指導④|連続絵カードは、ワークシートの次の段階【実際の指導編㉑】」
- 考え方(SSTと般化)→「通級の「気持ち」の指導①|SSTと言う前に、般化=学級適応を問いたい【実際の指導編⑱】」
- シリーズの全体像 →「通級の「実際の指導」とは?【実際の指導編・完全ガイド】」
- 筆者について →「プロフィール」

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