通級の「気持ち」の指導⑤|絵カード3枚の進め方|1つずつ分解して、最後に再統合する【実際の指導編㉒】

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

「気持ち」指導も最後の記事になりました。
個人的には、この「気持ち」指導、とっても大事な指導だと考えています。
というのも、10年以上の通級担当の経験を振り返ってみると、この「気持ち」指導が上手くなればなるほど、その子の学級適応を高めることができているからです。

もちろん。
気持ち指導「だけ」では不可能です。
WISCなどの知能検査や行動観察などのアセスメントをし、指導パーツで45分間を組み立てて、試行錯誤しながら実際に指導し、ブラッシュアップし続けていくことで、的確な指導の精度を高める。
この努力やPDCAがあってこそ、の前提ではありますが。

とはいえ、気持ち指導が上手くなればなるほど、目の前のその子が変容していく。
これは私の経験上、間違いないです。
嬉しいですよ〜、目の前のその子が目に見えて変容していくのを見るのは✨️

こんな思いを少しでもあなたに感じてほしくて、気持ち指導の記事は今まで以上に気合いを入れて書きました。
少しでもあなたの役に立ったとしたら嬉しいです🙂

さて。
前回の実際の指導編㉑(連続絵カードは、ワークシートの次の段階)では、どんな教材で、どの子に使うのかを書きました。
今回は、その続きです。
3枚のカードを、実際にどう進めるのか。
私の実際の指示や質問を、そのまま公開します。

本記事を読むことで、

3枚セットの連続絵カードを、どう進めるのか?

が分かります。

結論から言います。
私がやっているのは、分解と再統合です。
1つの状況を1文ずつに分解して言わせる。
セリフと表情と理由を、登場人物ごとに取り出す。
そのうえで最後に、それらをもう一度つなぎ直して「どうすれば良かったか」を考えさせる。
どういうことか?

では、順番に見ていきましょう!

今回使う3枚(再現図)

🖼 連続絵カード(再現図・3枚セット)

連続絵カード 再現図 1枚目

1枚目|発端

連続絵カード 再現図 2枚目

2枚目|トラブル

連続絵カード 再現図 3枚目

3枚目|その後。男の子の吹き出しは空白

進め方① 1枚目「状況を説明してください」

では、1枚目です。


私はこう教示します。

ねこもみじ
ねこもみじ

「状況を説明してください」
または、
「様子を説明してください」

子どもが何か言います。
言ったら、こう返します。

ねこもみじ
ねこもみじ

「うん、そうだね。
他には?」

これをくり返します。
そして、ここがこの指導でいちばん大事なところです。

1つの状況を、1文で説明させる。

たとえば、こんな説明はNGです。

子ども
子ども

「男の子がいて、なわとびがあって、たぶんなわとびがしたくて、『これ、いいな』って言ってる」

だらだらと繋がっていますよね。
これを、こう切らせます。

  • 「男の子が います」
  • 「なわとびが あります」
  • 「『これ、いいな』と 言っています」
  • 「表情は うれしそうです」

1文ずつ。
なぜ、1つの状況を1文で説明させる必要があるのか?

1つ1つの状況を分解できるようにするためです。

まとめて話している間は、その子の中でも状況がひとかたまりのままです。
分解できてはじめて、「誰が」「何を言って」「どんな顔をしていて」「なぜそうしたのか」を、別々に扱えるようになるんです☝️

だいたい説明し尽くしたな、というところまで来たら、2枚目へ進みます。

進め方② 「なんて言ってる?」「どんな表情?」「なんで?」

2枚目は、トラブルの場面です。

ここでは、私が問いを重ねます。
そして、その問いには決まった順番があります。

セリフ → 表情 → なぜ?
これを、登場人物ごとにくり返す。

実際はこんな感じ。

ねこもみじ
ねこもみじ

「男の子は何て言ってる?」

子ども
子ども

「なわとび、したかったんだ」

ねこもみじ
ねこもみじ

「どんな表情?」

子ども
子ども

「うれしそう」

ねこもみじ
ねこもみじ

「なんで?」

子ども
子ども

「なわとびが できるから」

ここまでで、男の子が終わりです。
続けて、女の子。

ねこもみじ
ねこもみじ

「女の子は何て言ってる?」

子ども
子ども

「それ、わたしのなわとび。返して」

ねこもみじ
ねこもみじ

「どんな表情?」

子ども
子ども

「怒ってる」

ねこもみじ
ねこもみじ

「なんで?」

子ども
子ども

「なわとびを とられたから」

この「どんな表情?」→「なんで?」が、このやりとりのポイントです💡

表情を答えさせて、そのまま理由を聞く。
つまり、感情理解と状況理解を、その場で関連付けているんです。

「怒っている」という表情だけ分かっても、なぜ怒っているのかが分からなければ、学級での変容につながりません。
逆に、状況だけ説明できても、相手がどんな顔をしていたかを見ていなければ、やっぱり学級での変容につながりません。
この2つを、毎回セットで関連付けます。

そして、両方が終わったら、こう聞きます。

ねこもみじ
ねこもみじ

「このままだと、この2人、どうなりそう?」

子ども
子ども

「ケンカになる」

ねこもみじ
ねこもみじ

「だよね〜。先生もそう思う」

ここで先の見通しを立てさせて、共感します。

もうひとつ、2枚目のやりとりで大事なことがあります。

両方の言い分を言わせている、ということ。

なわとびを持っていった男の子にも、言い分があります。
なわとびを取られた女の子にも、当然あります。
どちらも悪者にしない。
それぞれの状況や立場や感情を整理したうえで理解する。
学級でトラブルが起きた時、これができるとほんと指導がしやすいですよね☝️

進め方③ 3枚目の前に、もう一度1枚目を見せる

2枚目が終わったら、すぐ3枚目……ではありません。
私は、もう一度1枚目を出します。

ねこもみじ
ねこもみじ

「でもさ、男の子はなわとびが したかったんだよ。
 じゃあ、こういう時……」

そう言いながら、3枚目を出します。

なぜ、わざわざ1枚目に戻るのか。
男の子の思いや行動を否定しないまま次へ進みたいからです。

「なわとびがしたかった」。
その気持ち自体は、悪いことではありません。
そこを否定してしまうと、この後の「どうすれば良かった?」が、「悪いことをしたから反省しなさい」に変わってしまいます。
そうなったら、気持ちの指導はただの説教になってしまいます💦

やりたかった気持ちは、そのまま。
やり方だけを考える。
そのための、ひと手間が「1枚目に戻る」です。

進め方④ 3枚目「どう考えれば良かった?」

最後に3枚目です。

ねこもみじ
ねこもみじ

「じゃあ、男の子はどう考えれば良かった?」
 (※カードによっては、どうすれば良かった?/どう言えば良かった?もOKです)

ここが、再統合です。

1枚目で分解した状況。
2枚目で取り出した、セリフと表情と理由。
それを全部つなぎ直して、「じゃあ、どうすれば良かったのか」を、その子自身の言葉で言わせます。

子どもが答えます。
妥当なら、そのまま受けます。

ねこもみじ
ねこもみじ

「そうだよね〜」

ズレていたら、こう返します。

ねこもみじ
ねこもみじ

「う〜ん……。他にはある?」

否定はしません。
とぼけた感じで問い返します。
そのうえで言えたら、しっかり褒めます。

それでも、どうしても言えなかった場合。
その時は、私がモデルを示します。
「例えば…〇〇って考えたらいいよ(※言えばいいよ)」と、実際にモデルを示す。
そして、その後で子どもに言わせます。

ねこもみじ
ねこもみじ

言えないまま終わらせません。
見せて、真似させて、言えたら褒める。
「上手だね〜!OKOK!」などと、気持ちよく指導を終えたいですね。

2周目は「ズバッと答えましょう」

ここまでが1周目の指導です。
子どもの実態によりますが、子どもによっては2周目に入る場合もあります。

2周目は、進め方が変わります。
まず、3枚すべてを机の上に並べます。
そして、1枚目と2枚目を指し示して、こう言います。

ねこもみじ
ねこもみじ

「何が良くないですか?
 ズバッと答えましょう」

ズバッと、というのは、本質だけを端的にという意味です。
1周目のように1文ずつ積み上げるのではなく、本質のみを端的に答えさせます。

答えられたら、3枚目を指し示して、

ねこもみじ
ねこもみじ

「じゃあ、どうすればいいですか?」

ここも、ズバッと答えさせます。

ねこもみじ
ねこもみじ

1周目は、分解する練習。
2周目は、分解したものを一瞬で組み立て直す練習。
同じカードでも、やっていることは違います。

担任との共有まで

指導を終えたら、担任との共有です。
私がやっているのは…

指導記録に、絵カードの写真を貼る。
そして、その記録を担任に見せながら説明する。

です。
(※これは、校内の指導記録に限った話です。教材の写真を、ブログやSNSなど校外に出す資料に使うことはできません。ここは分けて考えてください。

指導記録に画像データを貼れないとか、めんどくさいとかの場合は、絵カードを実際に見せながら説明してもいいと思います☝️

ねこもみじ
ねこもみじ

「こういうカードで、こう尋ねたら、この子はこう言いました」

ねこもみじ
ねこもみじ

「表情を聞いても答えられなかったんですよ。
 ということは、今は相手の表情の意味を理解できていないかもしれませんね。
 だとしたら、クラスではなかなかしんどいし、トラブルになっちゃいますよね〜」

言葉だけで「気持ちの指導をしました」と伝えても、担任には伝わりません。
「ふ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」で終わる笑
あなたも逆の立場だったらきっと「ふ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」だと思う笑

でも、実物を見せながらその子が何と答えたかを具体的に話す。
そして、学級でその子が困っていそうなこととか、起きそうなこととかを説明する。
ここまでやってはじめて、般化=学級適応に近づきます。

般化=学級適応の考え方は、実際の指導編⑱(気持ちの指導・SSTと般化の話)に詳しく書きました。

手応えと、終わり方

絵カードを続けていると、担任からこういう話が返ってきます。

  • トラブルの後に、素直に謝れるようになった
  • 自分の非を認められるようになった
  • 相手の言い分や主張を、冷静に聞けるようになった
  • しつこい関わり・ちょっかいが減った
  • 相手の表情に気づいて動けるようになった

私の実感で言うと、1周目を終えた頃でも、学級適応は高まっています。
そして2周目を終える頃には、間違いなく学級適応は見られます。

終わり方は決めていませんが、関係者(担任・保護者・私)が「この指導の優先順位は低いかな」「もう大丈夫かな」と判断した時がそのタイミングかなと思います。

よくある質問(FAQ)

Q. 子どもがだらだら説明してしまいます

「長いです。短く言ってください」と説明し直してください。
そして、1文言えるたびに「うん、そうだね。いいね!他には?」と区切ります。
区切ってあげているうちに、子どもも自分で区切れるようになります。
分解できないと、後半の再統合ができません。

Q. 「どうすれば良かった?」に答えられなかったら?

私がモデルを示してから、言わせます。
答えられないまま「じゃあ次いこうか」で流すと、その子には何も残りません。
見せて、真似させて、言えたら褒める。
この順番です。

Q. 3枚目の空白の吹き出しは、どう使いますか?

まさに「どう考えれば良かった?」を尋ねるために使います。
セリフが書かれていないからこそ、その子の言葉が入る。
空白は、指導のための余白だと思っています。

Q. 2枚目で、片方の子だけを責めてしまいそうです

だから両方に同じ問いをします。
「なんて言ってる?」「どんな表情?」「なんで?」を、必ず登場人物ごとにくり返す。
順番を守るだけで、自然とどちらの言い分も出てきます。

まとめ

  • 1枚目=「状況を説明してください」→「うん、そうだね。他には?」。
    1つの状況を1文で(=分解)
  • 2枚目=セリフ→表情→なぜ を登場人物ごとに。
    「どんな表情?」→「なんで?」で感情理解と状況理解を関連付ける
  • 2枚目の最後に「このままだとどうなりそう?」で見通しを立てさせて、共感する
  • 両方の言い分を言わせる=どちらも悪者にしない
  • 2枚目→3枚目の間に1枚目を再提示し、動機を否定しないまま進める
  • 3枚目=空白の吹き出しを指して「どうすれば/どう考えれば良かった?」(=再統合)
    言えなければモデルを示してから言わせる
  • 2周目=3枚を並べて「ズバッと答えましょう」
  • 担任に見せながら説明するまでが指導

絵カードは、正解を教える教材ではありません。
イラストしかない中から、その子が何を読み取り、何を読み落としているのかが見える教材です。

「表情を聞いても、答えられなかった」。
それが分かるだけで、学級での関わり方は変えられます。

気持ちの指導、奥が深いよ〜笑
でも、この指導を自信をもってできるようになる→あなたなりの手応えを感じる→目の前のその子の学級適応が実際に高まる。
こんなサイクルを生み出せたら、あなたの通級担当としての腕は間違いなく上がっていますよ✨️

大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊

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