WISC:FRI(流動性推理)が低い子への通級指導|新奇場面につながるオススメ教材2選【FRI編⑤】

WISCを活かした指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

FRIシリーズも、いよいよ⑤。
今回でFRIシリーズは一区切りです。

【FRI編④】では、FRI(流動性推理)が低い子への「新奇場面につなげる指導」——SST絵カードでの場面学習と、行事・役割の事前準備——をお話ししました。
今回は、その指導で私が実際に使っている教材を紹介します。

本記事を読むことで、

FRI(流動性推理)が低い子の「新奇場面への対応」を育てるために、私が使っている教材と、その使い方

が分かります。

結論から言うと、新奇場面系の教材は2つ。
 ①SSTワークシート(かもがわ出版)で「社会的な場面の”知識”」を増やす
 ②SST絵カード(エスコアール)で「初めての場面を自分で読み解く力」を育てる
この2本立てが基本です。
本記事では、それぞれの使い方・選んだ理由・子どもの変化と、2つの使い分けまで紹介します。

では、内容に入っていきましょう!

紹介するのは、以下の2つです。

  • ①SSTワークシート(かもがわ出版) 「あたまと心で考えよう SSTワークシート」シリーズ
    学校生活で困る・困りそうな場面を、書きながら整理していく教材です。
  • ②SST絵カード(エスコアール) 「ソーシャルスキルトレーニング絵カード(状況の認知絵カード)」。3枚一組で、状況→トラブル→解決を口頭で考えていく教材です。

①が「書いて”知識”を増やす」、②が「その場で”読み解く”」。
この2つを、その子の実態に合わせて使い分けます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

まずは、1つ目‼️

どんな教材か

「社会的行動編」「自己認知・コミュニケーションスキル編」「思春期編」の3シリーズがあります。
私はほぼ全部を使っています。(「思春期編」だけは5・6年生が中心で、それほど多用はしていません)

対象を「こういう子用」と固定はしません。
その子の実態に応じて、合うシートを選んで使います。
アセスメント・実態把握の重要さは、これまでに何度も強調してきたことですよね。

ポイントは、学校生活で困っている・困りそうな場面が集められていること。
だから、その子のいまの困りに直結したシートを選べます。

最近、SSTワークシート「2」も出ました‼️

(※思春期編の2だけは、まだみたいです)

内容が大幅にアップデートされ、新たな場面がたくさん追加されています。
こちらも要チェックですね☝️

使い方:1回1枚、5〜10分

具体的な進め方はこうです。

  1. 私が場面文を読み上げる
  2. 私が質問を読み上げる
  3. 子どもが選択肢に◯をつける
  4. 私が「なぜそれを選んだ?/選ばなかった?」と理由を質問する
  5. 妥当ならその理由を私が書きこむ。妥当でなければ、私が解説してから書きこむ
  6. 最後に「今回の勉強で大事だと思ったことは?」と学びを質問する
  7. 妥当ならその学びを私が書きこむ。妥当でなければ、私が解説してから書きこむ

つまり、状況 → 選択 → 理由の確認 → 学びの確認、という流れです。
1回1枚、5〜10分。
短く、毎回同じ型で積み重ねます。

位置づけとして、このワークシートはWISC-Ⅳの下位検査でいう「知識」に近いと考えています。
社会的な場面で「こういう時はこうする」という”知識”を増やしていく指導。
厳密に言えば、新奇場面そのものを読み解く力(=流動性推理)とは少し性質が違うと思う。
だけど、その土台にはなり得ると考えています。

選んだ理由

  • 使いやすい! 型が決まっていて、毎回同じ流れで進められる
  • 正直…他に良い教材が見当たらない
  • 学校生活で困る・困りそうな場面がしっかり集められている
  • 状況→選択→理由の確認→学びの確認という流れを、教材自体が確立させてくれる

変化のサイン

困った時に固まっていた子が、「どうすればいいですか?」と先生に相談できるようになる。
実際に見られる学級適応の中で、これが一番多いです。

「相談する」というのは目に見える行動
だから、効果が分かりやすい。
固まって動けなかった子が、自分から助けを求められるようになる。
新奇場面への対応として、大きな一歩ですよね✨

次に、2つ目‼️

この教材も、ずーーーっと使ってます🙂

どんな教材か

低学年版・中学年版・高学年版に分かれています。
3枚一組で1つの場面(状況→トラブル→解決)を扱います。

ワークシートが「選択肢から選ぶ」のに対して、絵カードは選択肢がありません
だから、状況理解や感情理解がより難しい
でも、難しいからこそ、学校生活の”初めての場面”で柔軟に活かしやすいんです。
位置づけとしては、こちらが流動性推理に近い教材だと私は考えています。

使い方:3枚で「状況→因果→対応」

進め方の詳細は【FRI編④】で詳しく書いたので、ここでは要点だけ。

1枚目で状況と感情を説明させ、2枚目でトラブルの因果・善悪を整理し、3枚目で「どうすれば良かったか」を子ども自身に引き出させます
選択肢を与えず、追加質問を重ねて気づかせていくのがコツです。

選んだ理由

  • 3場面で、状況理解・感情理解がより高度に求められる
  • 選択肢がないぶん、初めての場面を”自分で読み解く”練習になる
  • だから、学校生活の新奇場面に柔軟に活かしやすい

変化のサイン

ここでも、やはり「相談する」という学級適応が増えます。
固まるかわりに、「どうすればいいですか?」「分かりません」等が出てくる。
ワークシートと絵カード、入り口は違っても、向かう先は同じです。

私なりに整理すると、こうなります。

  • SSTワークシート(知識寄り):社会的な場面の”知識”を、書きながら増やす。土台づくり。
  • SST絵カード(流動性推理寄り):初めての場面を、選択肢なしで自分で読み解く。応用力。

知識で土台を作り、絵カードで「初めて」に対応する力を育てる。
この2つは、どちらかではなく、両輪で使うことが多いです。

新奇場面への適応を高める指導は、効果が見えやすいです。
なぜなら、行動が変化するから。
特に見られる学級適応は、子どもが「困った時に相談する」ようになること。
相談してきてくれたら、学級担任も対応できる。
だから、担任が指導しやすくなったと感じてくれます。

その子の学級適応が高まる。
すると、通級担当としての効力感も高まりやすい‼️

・・・・・でも、ここははっきり言っておきます。
自分の効力感を高めるために、この指導をしてはいけません。
あくまで、その子の実態を踏まえて指導する
順番を間違えないようにね。
通級担当としての芯は、ブレてはダメですよ。

Q. SSTワークシートは、どう使えばいいですか?

1回1枚、5〜10分が目安です。
場面文と質問を読み上げ、子どもが選択肢に◯→選んだ理由を確認→今回の学びを確認、という流れで書きながら進めます。
妥当でなければ、その都度解説してから書きこみます。

Q. ワークシートと絵カード、どう違うんですか?

ワークシートは選択肢から選ぶ「知識寄り」の教材で、社会的な場面の”知識”を増やします。
絵カードは選択肢なしで自分で読み解く「流動性推理寄り」の教材で、初めての場面への対応力を育てます。
土台と応用、両輪で使うことで、学級適応を高めやすくなります。

Q. 効果は出やすいですか?

(あくまでも私の場合は)新奇場面系の指導は効果が見えやすいです。
特に「困った時に相談する」という目に見える行動が増えるので、本人・担任・保護者みんなが変化を感じやすい指導です。

  • ①SSTワークシート(かもがわ出版):書いて”知識”を増やす。土台づくり
  • ②SST絵カード(エスコアール):選択肢なしで”読み解く”。応用力=流動性推理寄り

どちらも、続けると「困った時に相談する」という目に見える変化につながります。
効果が見えやすいぶん、つい自分の効力感のために指導したくなる。
でも主役はいつも、その子です。
ここは絶対に間違えてはいけません。

これで、FRIシリーズは一区切り。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
ふぅ〜。
結構疲れたわ…笑

これからも、一緒に頑張っていきましょう😊

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