通級の「気持ち」の指導③|「どこが」と「なぜ」を、子どもに言わせる【実際の指導編⑳】

実際の指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・100人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

前回の実際の指導編⑲(ワークシート1枚を、どう進めるか)では、進め方を最初から最後まで公開しました。
”気持ち”の指導は、情報量が多い‼️
だから、前回の記事は特に気合い入れて書きました。

今回は、その中のたった2つの質問だけを取り出して書きます。
1つ目。

「どこが良くないですか?」

2つ目。

「なぜ良くないですか?」

この2つです。
地味ですよね…💦
でも私は、この2つの質問・やりとりが、気持ちの指導のすべてだと思っています

本記事を読むことで、

なぜ「どこが」と「なぜ」を、子どもに言わせるのか?

が分かります。

結論から言います。
私が「どこが」と「なぜ」を分けて、必ず子どもに言わせるのは、実際の指導編⑱(SSTと般化の話)で書いた般化=学級適応に、ここが直結しているからです。
逆に言えば、この質問・やりとりをしない”の気持ち”の指導は、ほぼ意味はありません。

今回の材料(再現図)

話を具体的にするために、1枚の再現図を用意しました。
今回はこれを「材料」として使います。

📝 今回の材料(再現図)|左:指導前 右:指導後

気持ちのワークシート 再現図(指導前・空欄)

指導前

気持ちのワークシート 再現図(指導後・書き込み済み)

指導後

※市販ワークシートそのものではありません。場面・選択肢を作り直したオリジナルの再現図です。

場面は朝の会。
先生が今日の時間割を説明しているところに、Aさんが「理科は何をしますか? 虫とりしますか?」と質問します。
先生が答えて説明を再開しようとすると、今度は「算数ノートを忘れてしまいました」と、また話しかける。
まわりがざわざわし始めて、先生が困ってしまった——という場面です。

進め方そのものは実際の指導編⑲と同じなので、今回は省略しますね。
ここからは2つの質問の話だけをします。

質問①「どこが良くないですか?」──行動を特定させる

子どもが丸をつけなかった番号を扱うとき、私はまずこう聞きます。

ねこもみじ
ねこもみじ

「②のどこが良くないと思いましたか?
 良くないと思った部分だけを、読んでみて」

ポイントは、「部分だけを読んで」と言うところです。
全部を説明させません。
これで、その子が何を良くないと判断したのかが、はっきり見えます。

ここを飛ばして、いきなり「なぜ良くないの?」と聞くと、どうなるか。
子どもは文全体をぼんやり眺めて、「なんとなく」で答えるしかありません。
あるいは、黙ります。

ねこもみじ
ねこもみじ

まず、どの行動の話をしているのか。
そこを1つに絞ってから、理由を聞く。
順番が逆だと、うまくいきません。

質問②「なぜ良くないですか?」──理由を考えさせる

行動が特定できたら、次です。

ねこもみじ
ねこもみじ

「なぜ良くないですか?」

子ども
子ども

「(このままだと理科の授業で何をするかが)
わからないままだから」

これだけです。
たったこれだけですが、ここを子どもの口から出させることに、私はこだわっています。

言えたら、青字・赤字で書きます。
上手く言えなかった場合は、私が要約して書いています。
そうすることで、良い/悪いの本質を端的に理解することにつなげています。

なぜ、この2つを分けるのか

「どこが良くないですか?」
「なぜ良くないですか?」

この聞き方をすると、子どもが考える対象は「その行動が良いか、良くないか」になります。
「あなたはどう思った?」でも、「Aさんはどんな気持ちだった?」でもありません。
行動そのものを、外から見て判断する

つまり、感情が入らないんです。

ねこもみじ
ねこもみじ

その子がどう感じたかではなく、この行動は良いのか、良くないのか。
そこを客観的に判断・思考できるようにしたいんです。

なぜ、そこにこだわるのか。
実際の学級では、感情が動いているからです。

カッとなっている時、あせっている時、「早く言いたい」と思っている時。
その真っ最中に、「自分の気持ちを振り返ろう」なんて、大人でも難しい。

でも、「この行動は良くない」という判断の軸を持っていれば、感情の外側から自分の行動を見られます。
トラブル後に先生に呼ばれて話を聞かれる時。
ありますよね、あの場面。
あの場面で、冷静に自分の行動を振り返ることができるようになるんです。
「僕は悪くない!〇〇が悪い!」、「〇〇が先に言ってきた!」とか主張し続けて指導しにくい子、いるでしょう?
言った/言わないの感情論ではなく、「あなたのやったことで、どこが良くなかったですか?」→「なぜ良くなかったですか?」→「じゃあどうしますか?」「この後あなたは何をしますか?」という、行動を振り返って次につなげる指導ができるわけです。
担任からしたら、トラブル後の指導が入りやすく・やりやすくなると、すっごいストレス減るじゃないですか😁

だから私は、気持ちの指導だけど、気持ち(感情)そのものよりも行動の良し悪しを扱います。
これが般化につながるからです。

「端的に言えた」時は、めちゃくちゃ褒める

子どもが理由を短く言い切れた時。
私は、めちゃくちゃ褒めます。

ねこもみじ
ねこもみじ

そうだよね〜!
めっちゃ分かりやすい!

正解したから褒めているのではありません。
端的に言えた、そのこと自体を褒めています。

私の中では、こういう連鎖で考えています。

  • 端的に言える
  • =良い・良くないの本質を理解している
  • =学級で同じことがあった時に、適切に行動できることが増える
  • 般化している
  • 学級適応が高まっている

だから、端的に言えたかどうかは、私にとって指導の手応えそのものなんです。
長々と説明できることより、ひと言で言い切れることの方が、はるかに価値があります。

言えなかった時、どうするか

もちろん、いつも言えるわけではありません。
言えなかった時の関わりも書いておきます。
ほとんどは、私が伝えています。

ねこもみじ
ねこもみじ

「なるほどなるほど。
 これは、〇〇だから良くないね」

「なるほどなるほど」から入るのは、その子が考えたこと自体は受け止めたいからです。
そのうえで、こう聞くこともあります。

ねこもみじ
ねこもみじ

「他にはある?」

そして、子どもが自分から「分かりません」と言えた時。
ここは、私はむしろ喜びます。

子ども
子ども

「分かりません」

ねこもみじ
ねこもみじ

分かりませんって言えて偉いね!
これはね、〇〇だから良いよね〜。」

分からないことを、分からないと言える。
これも学級で必要な力です。
だから、そこを褒めます。

学級につなげる(担任との共有)

ここまで指導したら、実際の指導編⑱のとおり、指導記録に書いて担任と共有します。
このとき、私が書くのは「プリントをやりました」ではありません。
こういった内容を書きます。

  • 学級で話の途中に質問してしまう場面はありませんか?(問い)
  • 「わからないままだから良くない」など、良い/悪いの理由を本人なりに説明できることが増えてきました(事実)
  • プリントの下部に書いた「〜〜〜が大事」の内容は、学級で個人指導/全体指導をする時にぜひ活用してください(提案)

よくある質問(FAQ)

Q. 気持ちの指導なのに、気持ちを聞かないんですか?

全く聞かないわけではありません。
今回の材料でも、質問1で「先生はどうして困ったのか」を考えさせています。

ただ、指導の中心は行動の良し悪しです。
その子が学級で使うためには(=般化させるためには)、客観的な判断が必要だからです。

Q. 子どもが理由を言えるようになるまで、待ちますか?

少しは待ちますが、粘りすぎません。
言えなければ私が伝えて、復習で読ませます。
読むことをくり返すうちに、少しずつ理由を端的に説明できるようになってきます。

Q. 「どこが」を飛ばして「なぜ」だけ聞くのは、なぜダメなんですか?

ダメというより、子どもにとってちょっと難しいと思います
どの行動について話しているのかが定まっていないので、考えるのが難しい。
だから、行動を1つに絞ってから理由を聞きます。

まとめ

  • 気持ちの指導の核は、「どこが良い/良くないですか?」(行動の特定)と「なぜですか?」(理由)の2つを、必ず子どもに言わせること
  • 順番が大事。
    行動を1つに絞ってから、理由を聞く。逆だと子どもは答えづらい
  • 考える対象が「行動の良し悪し」になり、感情が入らない。だから学級の実場面で使える
  • 端的に言えた=本質を理解している=般化=学級適応
    だから端的に言えた時は、めちゃくちゃ褒める
  • 言えない時は私が伝える。
    「分かりません」と言えたことも褒める

プリントをやって、あなたが説明するだけなら、たぶん5分で終わります。
で、指導の最後に「クラスでもやっていこうね〜」みたいな確認。
この指導で般化するのか?
しません笑
絶対、という表現は強すぎるかもしれないけど、ほぼ絶対しません笑
でも、こういう指導をしている通級担当は本当に多い。

だから、「どこが?」「なぜ?」を1つずつ聞くことが重要なんです。
その子が何を良いと思い、何を良くないと思っているか。
これが分かると、その子の捉えや認知を修正しやすくなる。

そして、その子が自分の言葉で端的に説明できた時。
変化の兆しです。
端的な説明が続いていくと、学級での変化=般化はそう遠くありません。
その瞬間に立ち会えるのは、その子と1対1で向き合っている通級担当のあなたですよ✨️
行動面で般化が見られると、嬉しいよ〜😆
通級担当やってて良かった〜、って思える瞬間の1つだね☝️

大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊

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