通級の「おしゃべり」指導①|単語で終わる・話が広がらない子に、まずワークシート【実際の指導編㉓】

実際の指導

こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・のべ300人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂

この記事を書いている今、夏季休業中です。
それもあってか、通級ラボを読んでくださる人が増えています‼️
とは言っても、他サイトからすれば「え?・・・・・・・・・・人数少なっ…しょぼっ…」
というレベルだと思いますが💦
でも。
私にとっては嬉しいんです‼️
めちゃくちゃ✨️✨️
通級担当であるあなたの役に立てている、ということなので🙂
というわけで、今日も書くぞっ‼️

さて、前回まで5回にわたって「気持ち」の指導を書いてきました。
めっちゃ気合い入れて書きました。
もう一度言います。
めっちゃ気合い入れて書きました。

今回からは「おしゃべり」=会話の指導に入ります。
質問に単語でしか答えられない。
話が広がらない。
質問しても、数秒〜数十秒沈黙が続く…。
そういう子の学級適応を高めるために、あなたはどう指導していますか?

本記事を読むことで、

通級での「おしゃべり」の指導を、どう行えばいいのか?

が分かります。

結論から言うと、いきなり実際の会話をさせる前に、まずワークシートで「会話の型」を増やします。
会話は、声=聴覚の情報です。
口にした瞬間に、消えてしまう。
だから紙にして、目で見て・考えて・何度でも振り返れる形にするんです。

では、内容に入っていきましょう☝️

こんな子に、「おしゃべり」の指導をします

まず、どんな子が対象か。
私が「おしゃべりの指導、いるな」と感じるのは、こういう姿の子です。

  • 質問に、単語でしか答えられない
  • そもそも、質問に答えられない
  • 答えるまでに、数秒〜数十秒かかる
  • 会話が、一方的になる
  • 話が、広がらない
ねこもみじ
ねこもみじ

「あれ? 今の質問、伝わってなかった…?」って、こっちが不安になるやつ。
教室にも、いますよね💦

ここで一つ、注意です。
こういう姿を見ると、つい「会話が苦手な子」とひとくくりにしたくなります。
でも、理由はさまざまです。
言葉の使い方(※語用)の弱さかもしれないし、緊張や経験の差、その子の家庭環境なのかもしれない。(※会話の苦手さを一つの原因だけで説明してはいけないし、断定もしてはいけません)

なぜ、いきなり会話じゃなくワークシートなのか

「会話の練習なら、実際にしゃべればいいのでは?」
そう思いますよね。
ダメです。
理由は、はっきりしています。

会話は、口にした瞬間に消えるからです。

だから「さっきの会話のどこがよかった?」と後から聞いても、子どもの頭にはもう残っていないんです。
消えていく音を理解するには、聞く力・覚える力・考える力を、全部同時に使います。
同時に使いながら会話する。
なかなかのハードルです💦

そこでまず、ワークシートで会話を目に見える形にする。
すると、こんな力が育てられます。

  • 考える時間が持てる(消えないから、ゆっくり考えられる)
  • 言い方のレパートリーを増やせる(いろんな場面を、まとめて扱える)
  • 何度でも振り返れる(「ここ、こう言えたね」と一緒に見返せる)

紙に書いた情報は残ります。
ここが、会話との決定的な違いです☝️

ワーク①「なんて言ってるかな?」──空白の吹き出しを埋める

私が使っているのは、市販の「葛西ことばのテーブル」というワークです。
会話を育てる教材が、とてもよくできています。
(今回のワークは100枚プリント 第24集「おしゃべりを作ろう」/葛西ことばのテーブル公式)

基本の形は、こうです。
2人のやりとりが描いてあって、片方の吹き出しが空白になっている。
そこに「この子、なんて言ってると思う?」を、考えて入れていきます。

ねこもみじ
ねこもみじ

ポイントは、「正解」を1つに絞らないこと。
会話に正解はないので、話が成り立てば全部OKです◎

そして、このワークの一番いいところ。
それは、空白の位置を変えるだけで、難易度を細かく調整できることです。
私は、こんな順番で上げていきます。

難易度空白の位置なぜその難易度か
やさしい最後のセリフだけ空白会話の流れが全部見えていて、締めの一言を考えるだけ
↓真ん中が空白前後をつなぐ一言を、両方見ながら考える
↓最初が空白会話を自分から始める(ここが難しい子が多い)
むずかしい最初と最後の両方が空白始め方と締め方を、両方とも自分で組み立てる

同じ教材に見えて、空白の位置が違うだけで、要求される力が変わる。
だから、その子の「ちょうど」を探しながら、少しずつ難易度を上げていけます。

ワーク②続いた会話を、丸ごと埋める

空白を埋められるようになってきたら、次の段階です。
アドリブで会話をします。

「消しゴム、持ってる?」
「持ってるよ」
「貸してくれる?」

ここまでがワークシートだとしましょう。
次の段階の指導はこんな感じ。

「消しゴム、持ってる?」
「持ってるよ」
「貸してくれる?」
「いいよ〜。はい、どうぞ」
「ありがとう!」

みたいに、アドリブで何ターンか会話を続けてみる。
友だちとの実際の会話に近づきますよね。
空白を埋めることに慣れてきたら、途中から並行してアドリブ会話を入れていきます。

ワーク③場面の会話を「読む」

もう一つ、並行してやることが多いのが場面の会話を読み合うワークシートです。
「朝、学校で」「お店で」といった場面のモデル会話が書いてあって、それを役割を分けて読み合います。
いわゆる、ロールプレイですね。

ねらいは、ちょうどいい言い回しのレパートリーをそのまま増やせること。
ゼロから考えるのではなく、良い会話の型を、まず声に出して真似る。
「話す型」を育てるという点では、「スピーチ」の指導とも通じるかもしれません。
「こういう時は、こう言えばいいのか」を無理なく蓄積していくことができます。

このワークで使っているのは、100枚プリント 第15集「おしゃべり練習ワーク」です。
なお、このワークは丁寧語で読み合っています。
これには、はっきりした理由があるのですが……その話は、次回の「実際に会話する編」で書きます。

進め方のまとめ──難易度の地図

ここまでを、1枚に整理します。

①空白の吹き出し(位置で難易度を調整)
 → ②アドリブで数ターン会話を追加
   → ③場面の会話を読み合う

ただし、この順番は絶対ではありません。
①だけをじっくりやる子もいれば、①と③を最初から並行する子もいる。
そこは、目の前のその子の実態による、です。
地図は持っておいて、歩き方はその子に合わせる。
それでいいと思っています。
というか、それができるのが通級の良さですよね💡

よくある質問

Q. 何年生からやるといいですか?

年齢や学年では区切りません。
さっき挙げた「単語でしか答えられない」「話が広がらない」といった実態があるなら、その子のタイミングです。
目の前のその子の実態で決めます。
ずーーーーーーーっと言ってることですね。

Q. 子どもが埋めた言葉が変なとき、正解を教えるべき?

いいえ、まず受け止めます。
会話に、唯一の正解はありません。
話が成り立っていれば、それでOKです。
そのうえで「うんうん、他にはどう?」と、否定せずに他の言い方を考えさせる。
ダメ出ししない。
大事なことですね☝️

Q. これだけで、実際の会話がうまくなりますか?

「だけで」と限定されたら、「そこまでは言い切れません」という答えになります。
でも、私の経験上「上手くはなります」と言い切れます。
ただ、ワークシートで増えていくのはあくまで会話の「型」です。
その型を、実際のやりとりで使えるようにするのは、次のステップ。
だから、この指導は2本立てなんです。

まとめ

  • 会話は消えるから、まずワークシートで目に見える形にする
  • ワーク①は空白の吹き出し。空白の位置で難易度を上げる(最後→真ん中→最初→両方)
  • そこから、②続いた会話・③場面の会話へ広げる
  • 順番も組み合わせも、その子の実態で変えていい(指導の全体像はこちら)

次回は、この増やした「型」を実際の会話で使う「②実際の会話」です。
質問者と回答者に分かれて、質問のコツを使いながら会話する。
丁寧語でやる理由も、そこで書きます。
→ ㉔「おしゃべり」指導②実会話編

会話の指導は、地味です。
劇的に、すぐに変わるものではありません。
でも、ワークシートで指導してきた会話が、教室で活かされる。
その瞬間は間違いなくやってきます。
これは、私の経験から断言できますよ‼️

ねこもみじ
ねこもみじ

手前味噌になりますが…
こういう一次情報は、やり続けている私にしか書けません。
あなたの通級にも、きっと活かせます💪

大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊

📖 実際の指導編シリーズ

  1. ① 指導をひとつに絞らない理由と考え方
  2. ② 45分を“指導パーツ”で組み立てる
  3. ③ 「目の運動」対面トレ編
  4. ④ 「目の運動」プリント編
  5. ⑤ 「運動」体幹・バランスから体育へ
  6. ⑥ 「手の運動」巧緻性・運筆・道具操作
  7. ⑦ 「音読」たくさん読ませる前にやること
  8. ⑧ 「言葉のきまり」特殊音節の指導
  9. ⑨ 「文字(仮名)」平仮名・カタカナを書かせず覚える
  10. ⑩ 「読み取ろう(読解)」聞かれたことに端的に答える
  11. ⑪ 「作文」5W1Hで文章を組み立てる
  12. ⑫ 「漢字」①読み・意味編
  13. ⑬ 「漢字」②形・書き編
  14. ⑭ 「漢字」③使い分け編
  15. ⑮ 「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる
  16. ⑯ 「ことわざ・慣用句」教える/教えないの線引き
  17. ⑰ 「スピーチ」結論→理由→まとめで話す
  18. ⑱ 「気持ち・社会性」SSTと般化の話
  19. ⑲ 「気持ち」ワークシート1枚の進め方
  20. ⑳ 「気持ち」ワークシート②「どこが」と「なぜ」
  21. ㉑ 「気持ち」絵カード編(教材の話)
  22. ㉒ 「気持ち」絵カード3枚の進め方
  23. ㉓ 「おしゃべり」①ワークシート編(この記事)
  24. ㉔ 「おしゃべり」②実会話編
  25. ㉕ 「言葉(語彙)」プリント3枚で語彙を増やす
  26. ㉖ 「言葉のイメージ」言葉と言葉をつないで概念を育てる
  27. ㉗ 「よく見よう」点つなぎで見る力を育てる
  28. ㉘ 「見て記憶」神経衰弱で見て覚える力を育てる
  29. ㉙ 「算数」①筆算は教えない。位取りと九九は教える
  30. ㉚ 「算数」②数概念|答えが合っていても、数え方を見る
  31. ㉛ 「算数」③位取りと九九|道具は使わない
  32. ㉜ 「算数」④文章題|絵の上手下手は見ない
  33. ㉝ 「よく聞こう」聞く力を4つに分けて教材を選ぶ

困りごとから探す(逆引き) / WISC完全ガイド / 実際の指導編・完全ガイド

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