こんにちは‼️
通級担当として、10年以上・のべ300人以上の指導歴がある「ねこもみじ」です🙂
前回から、算数の指導パーツについて書いています。
書き始めた当初は「1記事でおさまるかな」と考えていましたが⋯。
無理でしたね笑
結局、3記事になりそうです☝️
通級での算数の指導、ここまで具体的に書いてる記事、考え方を含めて他にはないんじゃないかな。
さて。
前回の㉙「算数」の範囲と線引きでは、通級で算数をどこまで指導するのかを整理しました。
筆算は教えない。
でも、位取りと九九は教える。
そんな話でしたね。
今回は、その中身に入っていきます。
私が算数の指導でいちばん時間を使っている「数処理・数概念」を、実際にどう進めているか。
本記事を読むことで、
通級で「数処理・数概念」の指導を、どう進めればいいのか?
が分かります。
結論から言うと、1回5分。
そして、答えが合っていても、どう数えているかを見ます。
では、内容に入っていきましょう!
使う教材は2つ。混ぜて使います
私が使っているのは、この2つです。
- 教材工房”なかお”の数概念プリント(無料)
- 計算が苦手な子どもへの〈算数〉支援ワーク
教材そのものの詳しい紹介は、FRI編③「教科学習につながるオススメ教材3選」で書いています。
一応、再度教材を載せておきますね。
今回は「どう使うか」の話です。
つまり、「2つをどう使い分けるのか」ということ。
答えとしては、「使い分けていません」です。
混ぜて使っています。
この2つは、扱っている内容が重なっているからです。
どちらも「5と10のまとまりで見る」という軸が同じ。
だから、時期で分けたり、順番を決めたりする必要がありません。

「まずこっちを全部やってから、次にこっち」
と考えなくて大丈夫です☝️
こんな実態があるなら、この指導を入れます
プリントをやらせてみると、こういう様子が見えてきます。
- 間違える
- 悩む様子が見られる
- 消し直して解いている
- 「え?」「難しい⋯」という声が出る
- ブロックの数を、下から順番に「1、2、3⋯」と数えている
上の4つは、分かりやすいと思います。
問題は、いちばん下です。
これ、答えは合っているんです。
だから、見落とされやすい💦
1回5分。足りないときは、5分×2に割る
この指導にかける時間は、1回5分くらいです。
45分の中の1パーツですね。
通級の45分をどう組み立てるかは、②「45分を”指導パーツ”で組み立てる」で書いた通りです。
5分で足りない時もあります。
そのときは、10分続けてやるのではなく、5分×2パーツに分けます。
間に別の指導パーツをはさむ形ですね。
教材は、必ず最初から始めます
どの子でも、教材の最初から指導します。
子どもによっては、めちゃくちゃ簡単な場合もあります。
それでも、基本的には最初からやります。
理由は、どこまで分かっていて、どこから分かっていないのかを確認するためです。
指導であると同時に、アセスメントなんですね。
「たぶんここは大丈夫だろう」と飛ばすと、あとで戻ることになります。
それなら、最初から通したほうが早い。
子どもにとって簡単すぎても、難しくて分からずストレスがたまるよりも、「簡単簡単!」と楽しく解き進められる方がいいですよね✨️
「答えは合っています」で終わらせない
ここからが、この記事で一番書きたいところです。
ブロックを下から「1、2、3⋯」と数えている子。
たとえば、縦に並んだブロックが6個ある。
その子は、下から順番に数えて「6」と答えます。
正解です。
でも、これはまとまりで見えていないということです。
5のまとまりが見えていれば、「5と1で6」と一瞬で答えられます。
1つずつ数えているということは、そこがまだ育っていない。

見るのは、答えが合っているかではありません。
どう数えているかです☝️
丸をつけて次に行くと、ここは一生見つかりません。
だから私は、正解した後に指導します。
パッと見て答えさせる声かけ
では、実際にどう言うのか。
私の実際のやりとりを、そのまま書きます。

OKOK!
合ってるよ〜!
今は順番に数えてるよね?
それを、パッと見て答えてみて〜。
いくよ〜、はい!

6

そうそう、そんな感じ!
こういうやりとりを、続けます。
もう少し進むと、こうなってきます。

ここまでで5だよね?
だから、これだと、5と3で⋯?

8

そうそう!
5といくつあるかでパッと答えてみて〜。
いくよ〜、はい!
やっていることは、「1つずつ数える」から「まとまりで見る」への切り替えです。
(※専門的に言うと、連続量を基数で捉える、という表現になります)
答えを教えているわけではありません。
「いくよ〜、はい!」は、なぜ主導するのか
パッと見て答えられるようにするために、私は毎回「いくよ〜、はい!」という関わりをしています。
なぜか?
指導者が「いくよ〜、はい!」と主導することで、子どもは「パッと答えなくちゃ!」となる。
だからです。
子どもの緊張感を高めている、とも言えると思います。
「ゆっくりでいいよ」と言えば、子どもはゆっくり数えます。
それでは、いつまでも1つずつ数えるままです。
速さを求めているというより、数え方を変えさせるための仕掛けですね。
こちらがテンポを作る関わりをすることで、パッと見て数えられる力を高めているわけです☝️
変化のサイン
この指導を続けていると、こんな変化が見えてきます。
- 並んだブロックを、パッと見て答えられるようになる
- バラバラに置かれていても、「5と◯で△」と、5のまとまりを意識して答えられる
- 5の合成・分解、10の合成・分解が、素早く正確に言える・できる
- 繰り上がりの足し引きが、さくらんぼ計算で素早く正確にできる → やがて手続きを省略しても素早く正確にできる
- 位取りが、素早く正確にできるようになる
共通しているのは「素早く正確に」です。
できるか・できないかではありません。
処理が速くなったかどうか。
「あ、自動化されてきたな」という手応えが、こちらに返ってきます。
そして、これらの結果として、算数の授業やテストで理解が高まってきます。
ただし、学年相応の理解ができるようになる、という意味ではありません。
誤答が減ったり、気づきが増えたりする。
その変化は、間違いなくあります。
1年で2周。学級で変わるのは、そのあと
この指導で、一番難しいところ。
それは、
すぐには、学級での適応につながらない。
これです。
まぁ、「算数」の指導パーツに限ったことではないんですが💦
もっと言えば、通級での指導内容・指導パーツ全体が、大体そうですよね。
即効性はない。
算数の指導パーツで言えば、教材工房と算数ワークの内容を1年かけて2周指導するイメージです。
そして、2周目に入った頃には通級で、2周目を終える頃には学級で変化が感じられるという感じです。
2周目は、「最初からやったら簡単すぎるよな⋯」と判断した子は途中から始めることもあります。

1年です。
短くはないですよね💦
だからこそ、担任や保護者に最初に伝えておくことが要ります。
ここはFRI編②「教科学習につなげる指導」で詳しく書いたので、そちらを見てください。
終わりの目安
この指導を終わりにするのは、こんなときです。
- 2周し終えて、「文章題まで指導したほうがいい」という関係者の判断になれば、そのまま継続する
- 担任から「算数の授業でも理解できるようになった」というエピソードが出てきた
- 担任から「分からなくても質問して頑張れるようになった」というエピソードが出てきた
3つ目を、意外に思われるかもしれません。
「分からない」のに終わるのか、と。
でも、そもそも質問できるというのは、学習に意欲があるということです。
苦手だった算数で、自分から質問して、頑張ろうとしている。
そして、説明したら理解して解けるようになってきた。
この事実があるなら、通級での算数の指導の優先順位は低くなってきているかもしれません。
よくある質問(FAQ)
Q. 1回に何枚くらいやりますか?
難易度によります。
簡単な数概念の問題なら、10枚くらいやることもあります。
反対に、位取りの複雑な内容なら1枚のときもある。
枚数を決めてはいません。
Q. さくらんぼ計算は、子どもに書かせますか?
書かせるというより、プリントの中に手続きが入っています。
算数ワークは段階になっているので、その通りに進めていけば大丈夫です。
白紙にさくらんぼを書かせる練習は、私はしていません。
理由は分かりますか?
理由は、「子どもに余計な負荷をかけさせないため」です。
まとめ
- 教材は教材工房”なかお”と算数支援ワークの2つ。内容が重なるので混ぜて使う
- 1回5分。足りなければ10分続けず、5分×2に割る。理由は注意を集中させるため
- 教材は必ず最初から。指導であると同時にアセスメント
- 答えが合っていても、どう数えているかを見る。1つずつ数えていたら、そこが指導のポイント
- 「いくよ〜、はい!」で主導する。こちらがテンポを作らないと、子どもは数え方を変えない
地味な指導です。
1年かかります。
でも、ここが固まると、あとの算数がまるごと変わってきます。
焦らず、5分ずつ積み上げていきましょう。

次回は、位取りと九九の指導です。
スマイル式九九プリントの選び方も書きますね💪
大丈夫!
一緒に頑張っていきましょう😊
📖 実際の指導編シリーズ
- ① 指導をひとつに絞らない理由と考え方
- ② 45分を“指導パーツ”で組み立てる
- ③ 「目の運動」対面トレ編
- ④ 「目の運動」プリント編
- ⑤ 「運動」体幹・バランスから体育へ
- ⑥ 「手の運動」巧緻性・運筆・道具操作
- ⑦ 「音読」たくさん読ませる前にやること
- ⑧ 「言葉のきまり」特殊音節の指導
- ⑨ 「文字(仮名)」平仮名・カタカナを書かせず覚える
- ⑩ 「読み取ろう(読解)」聞かれたことに端的に答える
- ⑪ 「作文」5W1Hで文章を組み立てる
- ⑫ 「漢字」①読み・意味編
- ⑬ 「漢字」②形・書き編
- ⑭ 「漢字」③使い分け編
- ⑮ 「意味調べ」教科書の知らない言葉を調べる
- ⑯ 「ことわざ・慣用句」教える/教えないの線引き
- ⑰ 「スピーチ」結論→理由→まとめで話す
- ⑱ 「気持ち・社会性」SSTと般化の話
- ⑲ 「気持ち」ワークシート1枚の進め方
- ⑳ 「気持ち」ワークシート②「どこが」と「なぜ」
- ㉑ 「気持ち」絵カード編(教材の話)
- ㉒ 「気持ち」絵カード3枚の進め方
- ㉓ 「おしゃべり」①ワークシート編
- ㉔ 「おしゃべり」②実会話編
- ㉕ 「言葉(語彙)」プリント3枚で語彙を増やす
- ㉖ 「言葉のイメージ」言葉と言葉をつないで概念を育てる
- ㉗ 「よく見よう」点つなぎで見る力を育てる
- ㉘ 「見て記憶」神経衰弱で見て覚える力を育てる
- ㉙ 「算数」筆算は教えない。位取りと九九は教える
- ㉚ 「数概念」1回5分。答えが合っていても数え方を見る(この記事)
📚 関連記事
- 前回(算数の範囲と線引き)→「通級の「算数」指導|筆算は教えない。でも、位取りと九九は教える【実際の指導編㉙】」
- 45分の組み立て方 →「通級の45分、どう作る? 指導を”パーツ”で組み立てる【実際の指導編②】」
- 検査結果から入るなら →「WISC:FRI(流動性推理)が低い子への通級指導|教科学習につなげる指導【FRI編②】」
- 教材の詳しい紹介 →「WISC:FRI(流動性推理)が低い子への通級指導|教科学習につながるオススメ教材3選【FRI編③】」
- シリーズの全体像 →「通級の「実際の指導」とは?【実際の指導編・完全ガイド】」

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